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やりこみゲーマーの異世界生産職冒険譚  作者: スコッティ
第二章 パーティ結束編
20/37

き○たマスカット切って

 

「うお~でっかいな……坑道っていうより広めの鍾乳洞みたいだ」


「モリア坑道の2~3倍はありそうだぞ」


「これ、人の手で作ったんでしょうか? ちょっと信じられないですね」


 街を出て半日程度にあるアマヴァンス大坑道。

 フランツ帝国でも有数の坑道。

 相当な手間暇をかけているのかその広さはちょっとしたものだ。

 槍を使って大車輪をかましても壁に当たらないくらいの道の広さである。

 

「やっぱ奥に進めば進むほど狭くなっていくのかね」


「ふむ、ここが掘られ始めてから数百年以上の歴史がある坑道だ。それに大量の人が投入されたとも聞く。それなりの広さが続くだろうな」


「ほぁ~~……」


 セシリーが呆けたように口を開けて呆然としている。

 淑女にあるまじき行動だが、俺はちょっとキュートだったので放置しておくことにする。

 

「もうこのへんは掘り尽くされたって感じだな。壁際には反応がない……まあ天井にはチラホラそれらしきものがあるみたいだけど」


「なるほどな。そうやって天井も高くなっていったというわけか」


 上部にも鉱石が含まれていたんだろう。

 だが人の身長には限界がある。

 掘ろうとしても手が届かないんじゃ堀りようがないもんな。

 

「さて、ここでこうしていても仕方ない。先へ進むとしよう」


「ほいさ」


「はい」


 俺達は奥へと足を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!」


 アイラが剣をなぐ。

 

「えい!」


 セシリーが魔法を放つ。

 

「ふん! ふん! ふん!」


 俺がツルハシで鉱石を採掘する。

 

 いや、別にサボってるわけじゃないのだ。

 強い強いと言われていた魔物だったが、20レベルもいかないくらいの魔物が多いらしく、天目一箇神の腕輪をもつアイラ一人でも対処できるくらいの魔物しか今のところ出てこなかったのだ。


 セシリーの援護も必要ないといえば必要ないのだが、セシリーは俺達に比べてレベルが低いため、積極的に戦闘に参加してもらっている。

 いやしかし大口真神の外套の効果は素晴らしいな。

 前は採掘にかなり力を入れないといけなかったんだが、強化されたツルハシの威力は壁を破壊せんばかりである。

 どこからかブレイク、ブレイクと社歌が流れてきそうなくらいだ。


 しかしこの坑道、まだ序盤とはいえ良い鉱石が出るな。

 鉄鉱石はもちろん既にジルコンまで出始めている。

 しかも品質は+2とか+3だ。

 まさに宝の山。

 モリア坑道ではかなり深くに行かないとジルコンなんて見かけなかったからなぁ。

 

 そうしてひたすらガンガン掘っていると戦闘が終わったようで、アイラとセシリーが俺の元へやって来た。

 

「どうだリュウ、いい鉱石は見つかったか?」


 俺の作業を後ろから顔をのぞかせるアイラ。

 

「いや、なかなかだぞ? それ程奥にすすんでないにも関わらず、既にジルコンが出てきた」


 そういって掘り出したジルコンをアイラに見せる。

 セシリーも興味深そうにそれも見やる。

 

「コレがジルコンの鉱石ですか。ジルコン自体は見たことがありますが、鉱石では見たことが無いです。リュウさんが持っている武器が確かジルコン製でしたよね? あの槍は薄い赤色をしていましたが……」


「ああ、鉱石自体が赤いわけじゃなくて、精錬すると赤くなっていくんだ。これはまだ精錬していない状態だからな」


 鉄にしろ銀にしろ洗練すれば色や形が変わる。

 その辺の原理はスキルを使ってパパっと済ませてしまうため、俺にもあまり原理はわからない。

 精錬している職人がきいたらラリアットをもらいそうではあるが。

 

「やっぱり掘り尽くしたとはいっても、残り物はあるみたいだな。観察眼を持った人っていうのはやっぱりそうはいないのか」


 この世界ではスキルと言う概念がない。

 っていうか観察眼は人のHPなどを探れる能力でもあるため、もっている人自体がいないのかもしれないな

 

「よし、これで最後かな」


 鉱石を取り出しバックパックへと放り込む。

 多少ずしりと来るが、膂力+100は伊達ではない。

 袋をパンパンにしても問題なく進めそうだ。

 

「じゃ、先に進むとしますか。セシリー良薬草はまだストックがあるよな?」


「あ、はい。まだ大丈夫です」


「そっか。じゃあレッツゴーだ」










「ふい~……さすがにくたびれたな」


 採掘が終わり坑道を出た入り口で、鉱石がたんまり入ったバックパックを地面におろし、一つため息を吐く。

 いや、なかなかの収穫だった。

 出来ればもう少し粘りたい所でも合ったが、セシリーのMPの都合もあって、頃合いを見て引き返してきたのだ。

 

「久しぶりにいい運動ができたぞ」


 ウキウキとしているアイラ。

 顔には満面の笑みが浮かんでいる。

 実に戦闘狂だ。

 

「はひ……ふぅ……疲れました……」


 荒い息を吐くのはセシリー。

 坑道に入るのはコレが初めてのようで、薄暗い中の戦闘でだいぶ参っているようだ。

 まあ、最初は俺もそうだったからな。

 MPの消費による精神的な疲れも馬鹿にできないし。

 

「後は街に帰るだけか……ってももうこんな時間だしなぁ」


 辺りを見ると日は既に落ちており、深夜とまでは行かない間でもかなり遅い時間帯だろう。

 このまま帰るとしても街につくのは深夜過ぎだろう。

 ヘタすると日が昇る時間帯になってしまうかもしれない。

 どうしようかと考えていると、

 

「リュウ、考えたんだが宿屋に泊まるのはやめたほうがいいかもしれないな」


「……ん? なんでだ?」


 アイラの言葉で顔をそちらへ向ける。


「いやな、これからもこういった夜までの探索を行うだろうし、その都度宿屋へ帰るも手間だ。なによりお前の錬成は失敗すると爆発を起こすだろう。宿屋で爆発なんて起こしたら迷惑どころか損害の補填で金がいくら掛かるか……」


「確かに……」


 防具は今まで失敗しかしていない。

 まず間違いなく爆発を起こし、素敵なカーリーヘアーを披露することになるだろう。

 アイラの言うとおりその都度アマヴァンス大坑道にむかうのも効率的によろしくない。

 となるとアレか、

 

「………野宿かぁ」


「まあ、それが一番だろうな。幸いこの辺は森が多く、お前の大好きな野草も群生していることだしな」


「俺は別に野草が好きなわけじゃない! 薬草なんかの材料として欲しいだけだっつーの!」


「テントも一応持ってきてあることだし、取り敢えず今日はここで寝泊まりするべきだとおもうぞ?」


 俺のツッコミはスルーかい。

 もう慣れたけどさ。

 

「俺は別に構わないけど、セシリーはどう思う?」


「ボクは特に……野宿にはなれてますから」

 

 セシリーも冒険者の端くれである。

 いつも宿に止まっているわけではなかったのだろう。

  

「ん~……じゃあ、そうするか」


 そうして俺たちは第二弾、武具を求めて合宿大会をすることになったのである。

 宿屋で払った前金がもったいないけど、背に腹は代えられないしなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふんふふん」


 鼻歌交じりに今日の収穫物を、テントの中に広げて選別する。

 ゴロゴロと転がる鉱石。

 鉄鉱石、銀鉱石、ジルコン等など。

 モリア坑道で発掘出来たモノが大半を占めている。

 しかし、モリア坑道ではついぞ発見できなかったものを見つけ出した。

 金鉱石である。

 金!

 それは永遠の輝き!

 ……いやそれはダイヤモンドか。

 まあ、それでも価値はかなりのものだろう。

 とはいっても武具に活用できるかはわからないけどな。

 

「採掘した時も思ったけど、この石っころがあの金になるんだよな」


 金鉱石を手にとってかざしてみても、全く光輝きもしない。

 昔の人はよくこんな石から金を発見して延べ棒みたいに精錬出来たものだと感心してしまう。

 ぱっと見は普通の石だし。


 しかし改めて考えると最初に何かをする人ってのホント偉大なんだな。

 なまことか納豆とかを食べて、コレは食べれると後世に伝えた人たちのことを思うと、なんか壮大な宇宙が見えたような気がした。

 凄いよな。

 海に漂うグロテスクな物や腐った豆を食べようって思うこと自体、相当なチャレンジ精神だ。

 人はかくも未知を求めるものなのか。

 

「まあ、それはいいや。早速錬成してみるか」


 金鉱石を持って意識を集中する。

 手順は鉄鉱石や銀鉱石と同じような感覚でいいだろう。

 石と金を分離して金だけを纏めるイメージ。

 すると、金鉱石が薄く光を放ちだした。


 いい兆候だ。

 金が加工できるという証左でもあるし、しているという過程でもある。 

 しばらくして、俺の手のひらには半分が優しさでできている錠剤程度大きさの金が乗っていた。

 

「成功……だけど少なっ!」


 銀鉱石や鉄鉱石はもう少し多かったんだがなぁ。

 やっぱ金は取れにくいものなのか。

 

「まあ、まだあるし一気にやってしまうか」


 選別した金鉱石を一箇所に集め、同じ要領で錬成を繰り返す。

 量が多いので多少手間がかかったが無事成功した。

 したのだが、

 

「なかなかに金玉だな」


 大きさはペットボトルのキャップ位だろうか。

 手のひらにあるのは光り輝く黄金の玉。

 略して金玉である。

 俺は今金玉持っているのだ。

 別にお姫様は逃げてこないが。

 

「これは防具に向く向かない以前に集めるのに一苦労するな」


 アマヴァンス大坑道の奥深くに行けばまだたくさんあるにしても、この量の感じからすると防具を作るには相当往復しなければならないだろう。

 同じ大きさの鉱石から採れる割合は鉄が10としたら銀が7、ジルコンが6、金が2くらいである。

 

「うーん、最初はやっぱり大量に取れる鉄鉱石でとりあえずの防具を造って、そこから色々試行錯誤するべきだな」


 ひとまず問題を先送りにして、俺は運び込んだ残りの鉱石を錬成することにした。

 

 

^^^^^^^^^

 

 

・リュウ LV20


 HP・167 MP・63

 

 膂力・・171 魔力・・45 耐久・・55

 精神・・35  敏捷・・165 器用・・107

 幸運・・60


 攻撃力・356 防御力・105 魔防御・86


・装備


 ジルコンスピア+3

 布の服

 スニーカー

 冒険者のピアス

 大口真神の外套


・スキル


パッシブ

『直感』『経験値Ⅱ』『弓Ⅰ』『槍Ⅱ』

アクティブ

『調合』『錬成』

ユニーク

『良縁』『鑑定眼』『観察眼』

『言語理解』『メニュー閲覧』


・パーティーメンバー

 1、アイリィ・ラドネイ LV22

 2、セシリー・マルティニーク LV16


・パーティーボーナス

 経験値上昇(小)

 LVUPステータス上昇補正(微)

 レアドロップ確率(微)

 

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