戦力向上
お久しぶりです。
この作品を待っていてくださったかた、本当にお待たせしました。本日より隔日投稿で再開します
これからもよろしくお願いします。
ダークエルフの集落を見つけてもうすぐ一月が経とうとしているが、集落にはまだ行っていない。
なんで一月も経とうとしているのになにもしてないかって?
戦力向上とかバックスタッフ、拠点の充実とかあれもこれもとやってたら、気づけばこんなに経ってたんだよ。
でもそれだけの時間をかけただけあって、俺の陣営はいい感じになってきている。
お
まず拠点についてだけど、フェン達の部屋はしっかりと完成した。
結局鍛冶作業兼任になった建築持ちのドワーフが今では10人いる。そのうち最初に作成したドワーフにはペンターと命名してその棟梁をさせている。
ドワーフは他にもイグニフェル専用の部下としてこちらも20人のドワーフを作成している。ちなみに建築持ちは全員男だが、鍛冶専任のドワーフは半分が女性だ。
そしてさらに装飾細工を専攻する11人の女ドワーフも作った。この内の1人がコロナというハーレムの一員である。胸のことをからかったときの反応がかわいい子である。
で、だ。ペンター率いる建築持ちのドワーフ達がフェン達の部屋を作ってもらったんだがそこで一悶着起きた。部屋の取り合いとかそういうのではなく、フェン達は急に個室を与えられたことで飽きられたと勘違いしたのだ。
それでその晩、誤解を解くためにフェン、カーリウス、アピス、コイトゥス、コロナの5人を相手に全力で可愛がってあげたのだが、サキュバスであるはずのコイトゥスを含めた5人全員が翌日動けなくなった。
解せぬ。
おかしいと思って色々調べた結果、俺のエクストラアビリティが増えてた。【せいぎのちから】というエクストラアビリティだ。特に気になるのが『せいぎ』の部分。これ漢字に直したらどの字になるんだ?非常に気になると同時に知ってはいけないような気がするひしひしとするのはなんでだろうか?
まぁそれはそれとして。個人的な大事件がもう1つ。
米ができた。
米だ。
日本米だ。
俺自身はあまり食にこだわりがある方だとは思っていなかったのだが、そこは俺も日本人だったんだろう。魔王の市でコシヒカリと銘打たれた米を見つけた時は衝動買いをしてしまった。
そして久しぶりに食べたお米の味に感動してその良さを再確認し、米を購入した店にてなんとか作り方を教えてもらい、必要なものを買い揃えて拠点に田んぼを作り、稲作を始めてたのだ。
拠点では作物の成長が早くそれは米にも当てはまり、なんと2週間に1度のペースで収穫が可能だという。なんとも日本の米農家の方々に申し訳なくなるような話だ。
そのうち研究班でも作って品種改良を行うのもいいかもしれない。
拠点に関してはこんなものか。
戦力の向上についても色々とあった。まずはカーリウスとアピスの兄弟達、そしてコイトゥスの妹達の増員だ。
まず蛇人達カーリウスの兄弟。現在30人に増えた彼らにはダンジョン内の斥候を行う班と宝箱の回収を行う班の2つに別れてもらっている。
斥候班は文字通り役割だが、回収班の方は宝箱の回収と言ってもリビングメイル系統の配下は常に4人1組で動いて、弓持ちが解錠などの必要なアビリティを持っているため、彼らを必要とするのはアピスよコイトゥスの姉妹達だ。
現在アピスの妹達は20人、コイトゥスの妹達が10人作成されており、アピスの妹2人に対しカーリウスとコイトゥスの妹が1人ずつの計4人で探索を行わせている。
コイトゥスの妹達は、リビングメイル達には必要のなかった治癒要員だ。リビングメイル達はダメージを負っても欠損でもしない限り死ぬまで戦うことが出来るが、カーリウスやその兄弟達はその限りではない。ダメージを受けて血を流せばそれだけで体力の低下に繋がることになる。そのための備えがコイトゥスの妹達だ。
ちなみにコイトゥスの妹達は当然サキュバスで、普通の食事では燃費が悪いというような話をしたと思うが、彼女達の食事はどうしているのか。その解決策として俺は魔王の市で奴隷を買うことにした。
買ってきたのは13才ほどの男の子達だ。彼らをコイトゥスの妹達に1人ずつ与え、カーリウスやアピスの妹達が5人で1部屋のところをそれぞれに個室を与え、少年達を飼わせているのだ。
ダンジョンに潜っているときの世話はメイド達に任せてはいるが、コイトゥスの妹達は彼等を自分の好みに育てようと熱心に夜の教育を施しているらしく、彼女達の部屋を自分達の部屋がある区画から離して欲しいと他の配下から苦情が来るほどだった。
さて、人員の他にも武装の方も向上してきている。中でも最も大きいのはアピスとその姉妹のための専用の装備が完成したことか。
まず共通の装備であるレイピア。このレイピアの腹には柄から走る極細の溝が彫られており、蜂人が指先から分泌する毒液がこの溝にそって刀身に行き渡るようになっている。これのおかげで以前のように攻撃前に刀身を指でなぞる必要がなくなり、彼女達のベストパフォーマンスが維持できるようになった。
次に作られたのはサブウェポンだ。こちらは全部で3種類あり、それぞれの好みによって装備しているらしい。
その3種類の内の1つがスティレット。錐状の刺突用短剣だ。このスティレットの尖端付近には非常に小さな穴が開いていて、その穴はは柄本へと繋がっていてレイピア同様に彼女達が分泌する毒液がそこから溢れ出るようになっている。
2つ目はクリスナイフ。刀身の腹に溝が彫られているのはレイピアと同様でありながら、レイピアと違って波打つ刀身をしているために溝も波打たして彫られていてそこから溢れ出る毒液の量が多くなっており、短剣でありながら一度の攻撃で敵に与える毒の量が多くなっているのが特徴である。
最後の1つがマン・ゴーシュだ。このマン・ゴーシュの刀身は刺突専用になっているのだが、その作りは先のスティレットのものとはまるで違う作りになっている。
このマン・ゴーシュの刀身は細長い円錐形をしておりその表面に螺旋状のヒダが、一言で言ってしまえばネジ状の刀身を持っているのだ。
そして刀身は柄に固定されておらず、これで刺突を放つと刀身が回転しながらナックルガードに収納され、ネジ状の刀身がドリルのように鎧に穴を空け、ネジ状のヒダ部分にたまった毒を敵に撃ち込むのだという。
正直鎧に穴を空けてという部分はしっかりと試しているわけでは無いらしく、俺は妄想の類いだと思っている。
それでも生身の魔物には十分な戦果をあげているというのだから分からないものである。
これらのサブウェポンの中で最も人気なのがマン・ゴーシュだ。ただその理由は性能ゆえではなく、広いナックルガードの表面に好きな細工飾りを施せるからだという。
お前らは今時の女子高生か!
後は彼女等の元でもある翠玉巨雀蜂の甲殻を使った鎧が完成して彼女達に使用させている。エメラルド色をした綺麗な、しかし軽くて丈夫な鎧だ。
さて他にも新たに作られた装備がある。例えばカーリウス達の使う短剣類で、アピス達のものとは違い溝を掘っていないクリスナイフ、コラムビ、カランビットナイフ、ダーク等を専用の革鎧各所に備えられた鞘に納められており、武器そのものは頑丈に作られているだけで、革鎧の方にこそ特殊な仕掛けが施されている。
なんでもこの革鎧には所々に鉄の管を挟むことで防御力を向上させ、この管は襟元から各所の鞘に繋がっており、襟元の管を咥えて毒液を流し込むことで、鞘に敷き詰められた綿に毒が満たされ、納められた刀身に毒が塗られるようになっているのだという。
名前もなんと毒蛇の鎧と言い、なんともおっかない鎧である。
そういえば最近は別行動だったテラ達も専用の武器を作って貰ったらしい。
と言っても凝ったものではなく、シンプルな物だが。
例えばテラの剣。今までの剣はの形状がブロードソードと呼ばれるものだったのがバスタードソードに代わり、盾もバックラーからナイトシールドへと変更された。
アエルは森で良質の木材が採れるという話で、木材と金属を用いたコンボジット・ボウを使用している。
フルーメンも槍が三又のトライデントとなり、テラ盾よりなお大きなタワーシールドを装備している。
イグニースもハルバートをメイン武装としながら、投げて使うことのできる手斧も持ち歩いているらしい。
他にもイグニフェルが自分用の巨大コンボジット・ボウを作ってたな。アロスと一緒に第4階層に潜ってギガースを大量に射殺して来たらしい。
あの巨体が扱うコンボジット・ボウだ、放つ矢だって槍より太くて長いのだ。さしものギガースもたまったものじゃなかったんだろうな。
武装についてはこんなものか。
後話してないのは……………………、進化についてだな。
戦力の充実を図るに当たって当然進化だって試している。これによってテラはアイアンリビングメイルからアースメイルに、アエルはウィンドメイル、フルーメンはアクアメイル、イグニースはフレイムメイルにそれぞれ進化することに成功した。これによりレベルが1に戻ってしまったが、あのシャドウメイルよりも全体の性能も上がっているように感じる。
とてもいいことだな。
ただ残念なことにグランディア達は進化ができなかった。彼女達のレベルが足りなかったのか、なにか必要な物があるのか、そもそも進化することができないのか。
彼女達は確かに強いのだが、最近は能力が伸び悩んで来ている。このままではそのうち力不足となってゆくのは否めないだろう。
何かいい解決策は無いだろうか?
とまぁ、これが既存の配下の報告は終わりだ。彼等の他にも新たに作成した配下も幾つか存在する。
その内の1つがフレイムホース。文字通り炎の身体を持つ巨大な馬だ。元々は機動力の劣るリビングメイル達の機動力確保のために作ったのだが、全身が炎に覆われているため、レザー系統のリビングメイルが騎乗すれば煙をあげて燃えだし、アイアンリビングメイルが騎乗すれば鎧が溶け出すという始末。結局フレイムメイルとなったイグニース以外騎乗することができず、一応リビングメイル系統であるイグニースの機動力の確保はできたものの、結果としては中途半端な結果に終わってしまた例である。
おまけにこのフレイムホース、現状使いどころがないのだ。始まりのダンジョンでは狭すぎるし、森では周囲の木々が燃え出すというまさしく駆ける放火魔である。
次がこれ、ツインヘッドウルフ。
狼2頭を素材にした、文字通り2つの頭を持つ狼だ。本当はギリシア神話で有名なオルトロスを目指したのだが、あの俺ではそこまで望むのは無理なようだ。
このツインヘッドウルフは特殊な能力は無いものの、基本的なステータスが高く、索敵能力も高いためアイアンリビングメイルのパーティーで一緒に動いてもらっている。
アームベア。前足が3対ある巨熊の魔物だこれもツインヘッドウルフと同様に特殊な力を持たない魔物だ。力と防御力に優れ、機敏というわけではないが機動力そのものはあるため、敵を追うときにアイアンリビングメイルがその背に乗ることがある。ただ乗り心地がいいとは言えず、騎乗するのは本当に咄嗟の事態のみといった感じ、リビングメイルの機動力向上には至っていない。
他にもリビングメイル達の機動力向上のために作ったアイアンホース。言ってしまえば鉄製の馬型ゴーレムだ。
機動力向上用としては失敗作である。何せ力があるために重いものを運ばせるのには向いているものの、足が遅い。と言うか走れない。駆けれない。機動力の確保のために作ったものとしては致命的だ。
将来的に配下や物資の移送用としては有用かもそれないが、現状求めているものとは違うため、今は畑を耕したり作物の運搬のために使用し、重宝されている。
世の中、なかなかうまくいかないものである。
最後に俺由来ではない配下のことを話そう。
俺由来ではないというのは市場で買ってきた奴隷ということでもなく、アピスとその妹達の眷族のことである。
ことの始まりはアピスが個室以外に空き空間を使わせて欲しいと言い出してきたことだ。
理由を聞いてみると、彼女達の持つアビリティの1つであるその眷族を作りたいと言うことだった。
正直どのようなものか分からなかったが、とりあえずやらせてみようと空き空間を設置して後のことはアピスに任せると、彼女は妹達を総動員して幾つもの蜂塚を築きあげて眷族である魔蜂の幼虫を育て始めたのだ。
彼女達の作り出した魔蜂はサイズ15cmほどのエメラルド色の甲殻をもった翠玉大雀蜂。彼女達の元となった翠玉巨雀蜂の下位互換のような魔物だ。ただしその数は尋常ではなく、その脅威度は翠玉巨雀蜂以上であると俺は確信している。
他にも紅玉大雀蜂、蒼玉大雀蜂、黄玉大雀蜂、黒曜大雀蜂、真珠大雀蜂など宝石の名を冠した魔蜂が生まれてきており、これらはアピスとその姉妹の命令の下、探索や偵察、連絡、襲撃等々色々な場面で彼女達のサポートを行っており、さらに成長して巨雀蜂となれば防具の材料としても使用できるというのがアピスの言である。
俺としては巨雀蜂になったそれらを使用して蜂人にして宝石の名を冠した騎士団を作りたいと思ってるのだが。
とまぁこんな感じに着々と戦力の向上が進んできている。
ダークエルフの集落に向かう日も近い。
 




