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当面の目標

 強敵ギガースを討伐して拠点に帰還した俺は、早速ギガント・マキア・ゴーレムのレベルがどれだけ上がっているのか、ワクワクしながら確認を行ったのだが、結果は無惨にも1つも上がっていないという事実だった。

 確認してみたがテラ達はちゃんとレベルが上がっているというのに。


 なぜだ!


 と思っていた時期もありました。ありましたがちょいとよく考えれ見れば分かることでした。

 あくまで俺の予想でしかないが、多分あっていると思う。ヒントはもとの世界で遊んでいたゲーム達。


 よくある話だ。ストーリー後半で加入する高ステータスレベル1の仲間がなかなかレベルが上がらないなどということは。

 おそらくギガント・マキア・ゴーレムもその類いなのだろう。


 ならば問題はない。今の状態でもギガースを相手に互角に戦えるのだ、第4階層では常に一緒に行動しピンチになら無いよう援護を行いながらレベル上げに勤しみ、ギガースを完封出来るようになってからフロアボスに挑めばいいのだ。


 完璧だな。


 そうと決まればまずはギガント・マキア・ゴーレムの傷を癒すことだな。傷と言っても削れた体表が元に戻るのを待つだけなのだが。


 人口精霊に聞いた話では、拠点で身体を休めるとそれだけで身体の傷を癒してくれるらしい。テラ達リビングメイル系系統の魔物やゴーレム系統の所謂生き物ではない系統の魔物であっても同じように身体が修復されてゆくのだという。

 なんとも便利な話だ。


 しかし修復が終わるのにはそこそこ時間がかかりそうだな。

 待ってる間に今後の方針、というか目標を決めるか。ギガント・マキア・ゴーレムに関してはギガースに完封するって目的があるからいいとして、俺はどうするかな。


 今回の戦いでギガースにダメージを与えることができた。が、それはウィクトリアの魔導剣があってこそのダメージだ。ギガース戦ではそんなことはなかったがもしウィクトリアの魔力が切れてしまえば、また前回の時のようにかすり傷のようなだろうがを積み重ねるしかできることが無くなってしまうだろう。


「自力を上げるしか無いよな。

 自力を上げることができれば魔導剣でのダメージも上がるし」


 レベル上げだな。一応の目標は30に設定しておくか。

 テラ達は、そうだな。武具を鋼製の物に揃えることを目標にしよう。

 問題はグランディア達精霊達だよな。ぶっちゃけギガース戦で彼女達にできることは少ない。グランディアはまだ近寄って殴るという選択肢があるからいいが、他はそうもいかないだろう。


 第4階層は彼女達抜きで攻略するか?その代わりに精霊達にはフェンに付いてもらう。そうすればフェンも第3階層のフロアボスに挑むこともできるようになる。


 うん、これでいこう。


「主様!?」


 今後の目的を考えていたらダンジョンから帰ってきたフェンが玉座の間に慌てた様子で飛び込んできた。

 何かあったのか?


「主様のお帰り、お迎えもせず申し訳ありません」


 何事だろうかと思った俺の前にひざまづき、床に額が付きそうなほど頭を下げて慌てていた理由を述べるフェンなのだが。慌ててたのそんな理由かよ。


「いや気にするようなことじゃないだろ。フェンには自由にダンジョンに潜ることを許してるんだし。

 それともあれか?俺ってその程度のことで怒るような理不尽で心の狭いやつだと思われてらわけ?」


 苦笑しながらからかうようにそう問い掛けて見たのだが、そこ問いを聞いたフェンは先ほど以上に慌てて顔を上げた。


「そ、そんなことはありません!!」


「そっか、なら問題はないな」


 よっと、小さく声を出して玉座から立ち上がり、顔を上げたフェンの頭を撫でると彼女は顔を真っ赤にしながら視線を俯かせる。

 玉座の間にはテラ達も狼娘メイドたちもいる。そんな大勢の前で頭を撫でられるのが恥ずかしいのだろう。ただ頭を撫でられるのが嫌なわけではないのが、盛大に左右に降られている尻尾の存在から容易理解できる。


 うん、かわいいな。普段は凛としているだけに余計にかわいい。

 これがギャップ萌えというやつか。


「あ、主様これを!」


 周囲から生暖かげな視線を向けられ、フェンは誤魔化すように大きな声を出しながら一冊の本を差し出してきた。


 ん、本?


「さきほど狼男を討伐したときに宝箱から出てきたものです」


 あ、狼男やりあってきたのか。それで俺達が初めてゴブリンジェネラルを討伐したとき同様に本が出てきたと。


「なになに【アビリティ大全集上級編】と………………」


 ざっと見た感じアビリティ専門の辞典といったところか。これならアビリティの効果を簡単に調べることができるようになるな。


 だがしかしだ。上級編?入門編とか初級編とかそういうのはどこにいった?


 中身をもう少し見てみるが【重鎧】?【全ステータス強化】?【魔導複合化】?どう見ても今の俺では手の届かないようなアビリティばかりだし。ほかにも系統別魔物専用アビリティなんてのもある。

 そんでもって今俺たちが取得しているようなアビリティは載っていないと。うん、手にいれるの早すぎる代物だな。当分は死蔵することになりそうだな。ただ使えるのは確かだしフェンのお手柄であることには変わらない。


「よくやったな」


 もう一度頭を撫でてやれば尻尾の振りが加速しよった。かわいいなぁ。

 よし、今晩はおもいきり可愛がってやろう。






 フェンが手にいれてきたアビリティ大全集。当分使うことは無いだろうと思っていたのだが、【大気中魔力吸収】【魔力変換効率化】【鉱石同化】の3つがあったことでいきなり役に立ってくれた。

 まず大気中魔力吸収は動き回らずにじっとしていれば魔力の回復率が上がるアビリティらしい。

 続いて魔力変換効率化。これは魔力を魔法以外に使用するとき、そうギガント・マキア・ゴーレムのスキルであるフィジカルブーストがそれに当たるのだが、魔力の消費量に対する効果を大幅に引き上げてくれるのだという。

 そして系統別魔物専用アビリティの項目に載っていた鉱石同化。岩石系統の魔物のみが取得できるアビリティで、鉄鉱石等を吸収することで自身の強化や損傷の修復を行うアビリティらしい。


 膨大な量のエナジーを使用するだけのことは効果だと思う。

 しかし取得できるアビリティが上級編に載っているアビリティだけって、俺の予想通り、ギガント・マキア・ゴーレムは相当上位の魔物らしいな。必要素材に消費エナジー両方の面から量産なんてできそうにないしな。今は。

 たぶんレベルが上がったときのステータスの伸びもすごいんだろうな。


 よし。ギガント・マキア・ゴーレムの目標にアビリティの習得も加えよう。大気中魔力吸収と鉱石同化はギガント・マキア・ゴーレムが第4階層で連戦するのには必要な能力だし、魔力変換効率化はフロアボス戦でもおおいに力を振るってくれるはずだ。


 それと、ゴブリンジェネラル、狼男と本が出ているということはだ、とうぜん第3階層の…………………………なんだっけ?

 まぁあれだ、あのシャドウなんたらも何かしら本を持っていると考えるべきだよな。

 フェン達にお願いしておこう。







 第4階層の本格的な攻略を開始して結構な時間が過ぎた。

 懸念していた通りギガント・マキア・ゴーレムのレベル上げは難航している。アビリティは鉱石同化と大気中魔力吸収を取得し、俺のレベルも30になろうというのにゴーレムのレベルは1つしか上がっていない。

 ここまで来ると大量素材とエナジーを消費したとはいえ、なんで作成できたのかと疑問に思えてくるほどだ。


 一緒に同行しているテラ達もレベルが上がってきており、ギガース相手に有効な攻撃は出来ていないが着実に成長をしている。

 また、装備の方もテラの鋼剣の他にも鋼の槍と弓が手に入り属性に付与も済ましている。盾もまた俺も含めて人数分揃っている。後は斧だけだ。


 そういえば、拠点でも面白い物が出来たんだ。

 ワイトが取ってきたジャイアントスパイダーの死体をベースに各種染料を一緒に使用して作成した魔物、カラースパイダー。素材にした染料と同じ色の糸を紡ぎ出す戦闘力皆無な蜘蛛型の魔物。こいつらのおかげで絹の染色を行う必要無くなったと狼娘メイド達は作業が短縮できるとよろこんでいた。


「主様…………………………」


 で、その成果が今は俺の腕の中でその身を委ねてくるフェンが着ている黒いチャイナドレスだった。

 黒地に金糸で縁取ったチャイナドレスは、身体にぴったりと張り付き彼女のスレンダーな体型を魅惑的に飾り立て、また腰の上まであるスリットからは白く長い彼女の足が覗いている。

 そして何より黒地のチャイナドレスはフェンの銀色の髪を美しく引き立ててくれる。なんと素晴らしいチョイスなのだろう。


「フェン」


 ノースリーブのチャイナドレスから晒される白い肩を抱き寄せ、耳元に顔を埋めて髪の匂いを楽しむ。


「ダンジョンの方はどうだ?」


「問題なく。

 第3階層のフロアボスもアクア1人で全て終わってしまいますし、ダンジョン内の魔物も脅威にはなりえませんので。

 第1階層と第2階層のフロアボスも油断さえしなければちょうどいい訓練相手といった案配です」


「油断しなければ、ね。連中の相手は慣れたってことか」


「そう、ですね。ゴブリンジェネラルも狼男も、最近では内容もパターン化しつつありますし……………………」


 最初は圧倒された狼男のスピード、今では俺でも対応できるようになっちまったしな。俺よりも早く動けるフェンにかかればそんなものか。


「フェンのレベルも上がってきたし、ギガースが相手でなければ一緒に第4階層に行くのも良かったんだけどな」


 あの巨体相手ではフェンでは火力不足だしな。まぁそれはテラ達にも言えることだけど、彼らには魔法がある。ダメージこそ与えられないが、その代わりに目眩ましなどで俺達を援護してくれている。

 特にテラなどは常に俺のそばを離れず、回避しきれない攻撃がきたときにはその身を挺して攻撃を受け止めてくれている。そんなことがあるたびに大ダメージを受けて戦闘継続ができなくなってしまうが、今までも辛うじて死に戻りだけはせず、最近ではアビリティのレベルが上がったことでダメージそのものを軽減することもできてきている。大ダメージを受けていることに変わりはないが。


「できるだけ早く第4階層を突破しなきゃな。さすがに第5階層までギガースしかいないってことはないだろ。

 普通に闘える相手が出てきたら、その時はフェンも頼むぞ」


「主様お心のままに………………」


 フェンの耳の裏を引っ掻くように掻いてやると、彼女は恥ずかしげに、しかし気持ちよさげに身悶える。


 僅かに顔を上げたところを狙って唇を奪い、中へと舌を潜り込ませると、口の中へと侵入されたことで一瞬身を強ばらせるも、すぐに舌同士を絡ませあい寝室内に淫靡な水音を響かせ始めた。






(自主規制)




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