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でっかいことは良いことだ

玉座に座る俺の前でテラが胸に手を宛て臣下の礼をろとる。その背後には拘束されレザーリビングメイルに囲まれた大量のスケルトン。


「スケルトン30体、準備ガ調イマシタ」


「ご苦労。みんな下がれ」


スケルトンを囲むレザーリビングメイルにそう声をかけて立ち上がり、30体ものスケルトンに手をかざした。


「スキル『配下作成』」


体の奥から抜けて行くエナジーのを知覚していた俺は、違和感を感じていた。

これは失敗かもしれないな。

魔方陣の中心に集まったエナジーは俺の予想を肯定するようにそのまま霧散して消えて行き、そこには拘束されたスケルトンのみが残った。


スケルトンを牢屋に戻すように命じた俺は深く溜め息を吐いて玉座に腰を落とした。


巨人との戦闘からどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。時計も日の登り沈みも無いこの場所は時間の感覚を非常に曖昧にする。それでもわかるのは相当な時間が過ぎているだろうということだけだ。少なくとも俺のレベルが20に達したので、5日以上は過ぎているだろう。


レベルが20に達することでステータスが上がっているが、アビリティの成長は微々たるもので、テラ達の配下に至っては本人とアビリティどちらのレベルも全く上がらなくなってしまっている。俺のレベルが上がったからといって第4階層に進み、あの巨人に挑んだとしても、テラ達は敵の攻撃を盾で受け止めそびれればその一撃で死に戻ることになるだろうし、たとえ盾で受け止めることができてもそれだけで戦闘不能になる可能性が高い。

というか、あの体格差だとどれだけレベルとアビリティを上げたところで攻撃を受ければ吹き飛ばされるのは確定事項なのではないだろうか?

アイアンリビングメイルは見た目は重そうでも中身が空っぽだから見た目より遥かに軽いし。

30体ものスケルトンを仕様した今回の配下作成は、そのような考えから巨人に対抗できる体格を持つ配下を作ろうという意図の下に行われたものだった。スケルトン2体仕様したバトルスケルトンは普通スケルトンよりも2周りも大きかったので、30体も使用すれば巨人と正面きって戦える魔物を作れるのではないかと思って実行したのだが。

あれ?でももとがスケルトンじゃ体格が同じでもスカスカだからよほどの体格差がなけりゃ重さ完全に負けてる?というか骨のボディじゃ巨人攻撃で簡単に粉砕されるんじゃ?


成功しててもあまり意味は無かったような気がしてきた。


「うまくいかねぇな」


あの巨人とやりあうには互角の体格が必要なのは間違いない。魔法が効かない、少なくとも傷を負わせて体内に直接放ってやるんでもなければ効かない以上、接近戦ができなければあの綱渡りを続けることになる。それはごめんこうむりたい。

だがただ体格が互角になるだけでは足りず、あの攻撃を受け止めることが可能な身体を持っていなければ意味がない。


「巨人か、RPGじゃお約束とはいえ実際にやりあうとなるとただひたすらにやっかいだな。

お約束と言えばドラゴンとかゴーレム何かもこの先出てくる可能性があるのか。

…………………………ゴーレム?」


脳裏に浮かぶのは日本におけるRPGゲームの大御所であるドラゴン探しに出てくるレンガ造りの巨大なゴーレム。ゴーレムと言えば本来はユダヤだかどこかに伝わる泥人形のことだったはず。それが紆余曲折を経て今では巨大な石人形などをも含めてゴーレムと呼ばれるようになった存在だ。

そしてゴーレムと言え強固で巨大な身体を持つ物が殆どで、まさしく今の俺が欲している条件を兼ね揃えている存在だ。

ゴーレムさえ作り出せればあの巨人とも互角にやりあえるかもしれない。問題はその素材となる物なのだが。


「鉄鉱石はどれくらいある?」


「400を少々上回ったほどかと。レザーリビングメイルの進化を行うなら13体までならかのうなかずです」


「鉄鉱石全部持ってきてくれ。それと土属性を付与したスライムの核もだ」


俺の指示にグランディアとアエルがレザーリビングメイルを引き連れて駆け足で倉庫へ鉄鉱石を取りに走る。アイアンリビングメイルへの進化13体分か、これで足りるといいんだが。






グランディア達が玉座の間へ運び込んだ鉄鉱石を人型に並べてみたが、細くひょろりとしたなんとも頼りない体型にしかならなかった。正直配下作成を施したところで望む姿になる気が全然しない。俺は即座鉄鉱石を最優先で集めるように命令を下し、全ての配下を第2階層と第3階層へと送り込んだ。

鉄鉱石はコボルトの通常ドロップアイテムで宝箱を開ける必要が無いため普段はチームで動かしているエレメンタルナイツと精霊達はその実力を鑑みてソロでダンジョンへと潜らせ、宝箱は無視してもいいと命令してある。代わりにアエルなどの罠解除の技能持ち遭遇した場合には放置してある場所を教えて回収させるようにとも指示を出した。

もともとドロップ率の高くない鉄鉱石を俺が望むゴーレムの作成に必要となる量を集めるとなればどれ程の時間がかかるか、正直想像も出来ないが巨人と互角に戦えるようになるに現状気の手段しか思い浮かばないので致し方が無いだろう。

第4階層で確認されている魔物は巨人のみ。他にいるかどうか不明であり、いるかもしれないしいないかもしれない。もしも第4階層に出現する魔物が巨人だけだった場合、第4階層のフロアボスも巨人である可能性が高い。であるならば少しでも早く巨人と互角に戦える手段をてに入れる必要があると考えている。


全戦力総出で行われた鉄鉱石回収作業ことコボルト狩りは、大量のエナジーを得るという副産物を俺にもたらしてくれた。今まではスライムやシャドウストーカーの存在から第3階層にはあまり多くの配下を送り込んでいなかったのだが、思いきって配下の精霊を増やしてその精霊にスライムやシャドウストーカーを優先的に狩るように指示を出して送り込んだのだ。正直かなりの量のエナジーを消費することとなったが、結果今まで見たことのないペースでエナジーが集まるようになったので結果として大正解だったようだ。

今までに無いペースで集まるエナジーでレベルを上げて行き、俺の望むゴーレムの作成に充分だと確信させるだけの鉄鉱石が集まる頃には、レベルは25に達していた。


「『配下複製』か………………」


レベル25となり獲得した配下関連のスキル『配下複製』。配下作成が5、配下命名が15で取得できたことから、こういった配下関連のスキルというのはレベル5から10レベルが上がるごとに取得できるらしいと予想できる。

そしてこの配下複製のスキルはどうやら現在配下に存在する配下命名を施していない魔物を複製することができるらしい。このスキルでの複製時に必要なエナジーの量は少々割高となるが、アビリティの成長度もそのままコピーできるうえに素材も必要としないことを考えると十分に許容範囲である。それに一度に複製できる数にも制限はなく、むしろ多ければ多いほど1体辺りの消費エナジー量は少くなるようだ。配下作成を仕様したときの消費量を下回ることは無いようだが。


スキルについてはそれくらいにしておこう。今はそれよりもゴーレムの作成だ。

鉄鉱石は玉座の前に巨大な人型となるように並べられ、その中央には20個もの土属性を付与したスライムの核。さらには間接となる部位には下級魔力薬を配置している。下級魔力薬を素材として使用するのは、ゴーレムの魔力を上げて魔法への耐性上げられればと考えてのことだ。スライムの核は俺の感である。ゴーレムは間違いなく魔法生物のカテゴリに含まれる魔物だと思っている。となるとだ、魔法生物としての核をこちらで用意してやれば、多少の能力引き上げが行えるのではないかと思ったのだ。フロアボスが巨人の可能性があり、ダンジョン内にあれだけの力を持つ魔物がいる以上、最低でもあの巨人と同程度の力を持っているのは確実だろう。巨人系統のボスなら確実に力は上のはずだ。

そこまで予想できる以上、でできる限り強化を試みるのは当然のことだと俺は思っている。


「スキル『配下作成』」


もう慣れたエナジーが抜けてゆく感覚。そう、慣れたと思っていた感覚だった。

いつもと変わらないと思っていたエナジーの放出が一気にその勢いを増した。今までは翳した腕を伝って放出されてゆく感覚だったのが急に全身から、それも根こそぎ奪い取られてゆくかのような暴力的な放出となり、その急激な変化と喪失感に膝が崩れそうになるのをなんとか堪えた。


「くっ、ぬぅぅ………………。レベルをもう1つ上げてまだ余るだけのエナジーがあったのに、まるで全部、いや、マジで全部持っていかれた!」


俺が知覚しているエナジーは玉座の間の床に描かれた魔方陣の中心ではなく、玉座の間の天井を覆い隠していた。それがまるで天井が落ちてくるかのような圧迫感とともに素材へと降り注ぎ、注ぎ込まれてゆく。そして立ち上がる光の柱は今までに見たこともないほど強烈に光輝いていた。

目を貫かんばかりに眩しい光を放つ光の柱に目を細めつつ、かつてない手応えに自然と笑みが浮かんでいた。


そして光が収まってゆき細めていた目を開き、光の柱のあった場所へと視線を向けた。


「でかい…………………」


それが最初に思ったことだった。強烈な光を目にしたことで視界が暗く、その暗い視界の中に映ったのはかの巨人に匹敵する、いや、その分厚く重厚な巨躯はあの巨人よりもなお巨大に見える。

目が玉座の間の光度に慣れてきたきとで、その存在のことがよく見えるようになってきた。

その見た目はまさしく岩の塊だった。高さは4mほどで、よく見ればあの巨人よりも僅かに背丈が低いように思われる。だがその代わりというべきか、大地を踏みしめる両の脚も、前屈みになっていることを除いても床まである長い腕もあの巨人のものよりなお太く、胸板もより分厚く全体のボリュームが桁違いだ。さらに二の腕や間接部など攻撃を受けたり受け止めたりするような箇所には、素材に鉄鉱石を使用したからだろうが、金属の光沢を放っている。






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名前:

性別:無

レベル:1

種族:ギガント・マキア・ゴーレム

クラス:無

属性:土

生命力:A

力:A

魔力:C

素早さ:E

運:F

アビリティ

頑健LV1・剛力LV1

スキル

・対物理耐性/大

・対魔法耐性/小

・フィジカルブースト

・魔法習得不可

装備

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悲鳴を上げそうになった。ステータスを確認したのだがこれは…………………。

生命力と力がAもあるのに魔力がC、そのうえ物理と魔法の両方に耐性があるとか。レベル1の時点でこのステータス、間違いなくうちの最高戦力です。こいつの作成にエナジーを使い果たしてアビリティの取得も命名もできないのが残念でなら内ない。


「すごいぞ、こいつは。

このままでもあの巨人相手に十分戦えるんじゃないか?」


戦えるんだろうな。こいつから感じる力は俺にその確信覚えさせるのに十分な物だった。

しないけどね、いきなりあいつにぶつけるなんて。配下の魔物はレベルと等しい回数だけ死に戻りすることができる。それってつまりレベルが1のこいつは1度でも死に戻りをすれば後がないということになる。どうやら配下はレベルやステータスによってレベルが上がるのに必要なエナジーが変わってくるらしい。そうなるといま作り上げたこのゴーレムはどれほどのエナジーが必要になることやら。そんなこいつが1度でも死んでしまえば死に戻りのストック回復にどれだけ時間がかかるか…………………、そしてその間は常に綱渡りをしているのと変わらない状態ということで。

うん、まずは1つ2つレベルを上げさせよう。


そう思ってテラに指示を出したのだが…………………。


「無理デス。第1階層カラ第3階層ノ通路デハ、コノゴーレムハ通ルコトガデキマセン」


「……………………」


その指摘にギガント・マキア・ゴーレムを見上げると、ギガント・マキア・ゴーレムは岩でできたモノアイを持つ首を傾げる。

なかなか愛嬌があるな。

いやいやそうじゃなくてだ。


目の前のギガント・マキア・ゴーレムを見上げながら第1階層から第3階層までの通路を思い浮かべる。うん、匍匐前進でもしない限り移動できないな。しかもそれでも横がつっかえそうだし。匍匐前進で通れたとしても間違いなく擦るよな。


「第4階層デシタラ問題ハ無イト思イマスガ」


先に第4階層の偵察を行おう。巨人以外に適当なのがいればそれでレベルを上げて、いなければ諦めてぶっつけ本番しかないな。


まずいなぁ、この先通路がまた狭くなったらこいつを使うことがでいないってことじゃないか。使いどころを選ぶ最高戦力。なんだかなぁ。






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名前:黄麻大地

おうまだいち


性別:男

レベル:25

職業:魔王候補生

クラス:魔法戦士

生命力:E

力:D

魔力:C

素早さ:D

運:B

アビリティ

剣術LV36・盾術LV31・鎧術LV12・根源魔法LV35・付与魔法LV25・死霊魔法LV21(LV2up)・ジャンプLV16・ダッシュLV28・鑑定LV35・気配察知LV31・魔力察知LV20・直感LV22・魔物学LV23(LV8up)

スキル

・根源魔法/炎/雷/風/水/氷/光/闇

・付与魔法/炎/風/土/水/氷/雷/光/闇

・死霊魔法/フィジカルカース/コールアンデット

・配下作成

・配下命名

・配下複製

・精強

装備

武器1:魔剣ウィクトリア

武器2:鉄の盾(土属性付与)

頭部:アイアンプレート(冑)(闇属性付与)

上半身:布の服

防具:アイアンプレート(闇属性付与)

下半身:革のズボン

足:アイアンプレート(ブーツ)(闇属性付与)


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