リル5
屋敷に戻ると、メイド頭に呼び出されました。
「・・・な、何したっけ・・・・?」
こ、心あたりが多すぎてわかりません。
はっ!もしかして、職場放棄がバレたのでしょうか!?
くっ・・・。こ、今度のオシオキはなんなのでしょうね。あぁ・・・なんだか前がぼやけてきます。
コンコン
メイド頭のお部屋です。
はい、彼女には仕事専用のお部屋が与えられているのです。
メイド頭のお仕事は、体を動かすだけじゃなく頭も使わなきゃいけないことが多いようですからね。
決して、ずるいなぁなんて思ったことありませんよ?
「失礼します。リールです」
「あぁ、リル。入りなさい」
扉を開けて部屋に入ったら、見知らぬ人が数人いらっしゃいました。
「あ、あの・・・・・。す、すみません!!」
とにかく、先に誤ります!誤ったもの勝ちですよね!
見知らぬ人のこと?今は関係ありません!!知ってますか!?メイド頭に怒られたら本気で怖いんですよ!!!!
「・・・その謝罪の理由については後でしっかり聞かせてもらいます。今回、呼んだのは怒る為ではありません」
な、何!?怒られるのではない!?
も、もしかして、私は立てなくてもいいフラグを立ててしまったのでしょうか?
ちらりと顔を上げると、顔に『なにやったんじゃ、われ!』と書かれた表情のメイド頭のお姿が・・・。
ひぃぃぃ!数分前の私!!今すぐその口にチャックをしろ!!
・・・なんて、後の祭りです。
「・・・顔をあげなさい。そして、服を脱いでそこに立ちなさい」
はい?
服を脱ぐ?
メイド頭の言っている意味がよくわからないまま顔を上げると、そこには先程までの表情はなく、とびきりの笑顔でそこに立っていらっしゃいました。
・・・・それはそれで怖いのですが・・・・。
「はやくしなさい。リー」
おっと、昔なつかしの呼び名を呼ばれたということは今は上司と部下ではないということで良いのでしょうか?
「・・・どういうこと?おばさん」
「おばさんって言うなって何回言ったらわかるの!!」
痛い!!な、なにもげんこつ食らわさなくても良くないですか!!
「・・・エレナさん。なんで服を脱がなきゃいけないの?」
「採寸するから」
・・・いや、意味がわかりません。なぜに採寸?
「服ならいらないよ?私、もう自分の給料で自分のもの買ってるし・・・」
「いいから、黙って服脱いで立つ!!」
ひぃぃ!!お、鬼の形相ですよ!!これは黙って従ったほうがいいですね!!
「は、はひぃ!!」
くっ、最近噛みまくりです。
「・・・アンタ、いつのまにそんなに育った」
またもや、意味不明です。いや、昔からこの人はそうだった。仕事は完璧なのに、家に帰ると言葉が足りないんです。
「・・・嫌味ですか?どうせ小さいままですよぉ!」
「いや、乳」
「・・・・・・・」
わかりやすいですけどね!!仕事の時と全く違うその性格なんとかなりませんか!?
「終わりました」
・・・見知らぬ人。お針子さんだったんですね。
いつの間にか色々図られていつの間にか終わってましたか。
あなた、気配ありませんでしたが・・・・・。
「・・・りー、もう行っていいわよ。あ、ちなみに、罰として全ての部屋の窓ふきを今日中にしなさい」
「な、なんで!!」
「・・・・何やったかしらないけど、どうせろくなことじゃないんでしょ?いちいち聞く気にもなれないわ。わかったわね?今日中よ!」
お、鬼。鬼がここにいる。
「・・・・さっさとしないと間に合わないわよ」
その言葉に私は慌てて服を着て、その部屋を飛び出ていった。
「鬼婆ぁ~~~」
そんな言葉が廊下に響きわたったとか渡らなかったとか・・・・。ふ、ふふ~ん・・・・。