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第四回 誰だっけ?

テーマ:静寂

禁則事項:一人称と三人称の使用禁止

 することが何もなくて、とりあえずその辺をふらふらしてた。

 そんなときだ、お前を見つけたのは。とはいえ、お前がどんな奴だったかも、お前の名前も覚えてなかった。だから、見つけた時に声をかけようと思ったんだけど、呼び方を迷ってたら素通りされた。というわけで、もう「お前」でいいか。考えるの面倒だし。思い出すのも面倒だし。まあ結局その後も、何か懐かしい顔があるなぁ、なんて思って引っ張られるようについていったわけだ。あれだな、万有引力とかいうやつだ。きっとそのせいろう。

 まったく見当外れのことを言ってる気もするけど、そこは気にしない。

 ともかく、お前を驚かせてやろうと思って、その部屋に先回りしてたんだ。



「よう、久しぶり」

 しかし、部屋に入ってきたお前は、そんな声は聞こえないというように何の反応も示さない。持っていたスポーツバッグを部屋の隅に投げて、ベッドに倒れ込んだ。

「なんだよ、連れねえなぁ。実に数ヶ月振りに会った親友に挨拶の一言もねえのかよ」

 不満を微塵も隠さずに言うけれど、お前は俯せになって布団に顔を押し付けたまま動かない。十秒ほど待ってみたがやっぱり何の反応も返ってこなかった。

 数ヶ月ぶりに会ったどころか、お前が親友だったかも覚えてないわけだけど、殆どのことは綺麗さっぱり忘れてんのに顔に見覚えあるってことは、それなりに関係がんだろうし、あながち間違ったことは言ってないだろう。

「ああ、そうかよ。お前にとっちゃ親友なんて、そこにいてもいなくても同じ存在なんだな? そういうことなんだな?」

 自棄になったって、慰めてもくれやしない。お前はいつの間にそんな情のないやつになっちまったんだ。

 ぐちぐちと言い続けていると、お前はようやく動く気になってくれたようだ。何度も潰されて中の綿が固くなってきている布団の上に、何かを探るように手を這わせてから起き上がった。

 さてと。お前が起き上がって話を聞く気になってくれたのかと少し嬉しくなったわけだか、予想虚しく読書とは何事だ。

「部屋に二人の人間がいるのに、お前は会話をするという選択肢を持ち合わせてねえのかよ」

 狭い部屋の中に虚しく響く声に少しくらい言葉を返してくれたって、別にお前に罰は当たらないと思うんだよ。うん。

 今現在お前は本の中の世界に入り込んでるっぽいし、文字以外には何も見えてないし聞こえてないんだろうけど。だから、そんな状態のお前にいくら話し掛けたって無駄なことはわかりきってることなんだけど。まあ、そうでなくとも会話は成り立たないんだし、気にしない。気にするな。……気にしたら負けだ。

「うぅ……」

 無視されるって辛いんだな。イジメ耐えてるやつとかマジで尊敬するよ。

「な、何読んでんだ?」

 言って、お前の目の前にまわって本の表紙を確認する。何か難しい言葉が書かれていて、題名からして意味不明だった。真下からお前を見上げるような形になってるわけなんだけど、……反応を期待するだけ無駄なんだよな。泣いていいかな?

 仕方ないから、お前が本を読み終わるまで待ってることにしよう。

 とはいえ暇だ。これじゃあその辺ふらふらしてるのとなんら変わりがない。暇すぎて死にそうだったから、何かやることはないかと無理矢理にでも探してみた。そしたら、以外とすぐに見付かった。

 お前が誰だかを考えてみよう。

 まず、帰ってきたときお前はスポーツバックを持ってた。ってことは何かスポーツやってるんだろう。何をやってるんだっけ? 中身を見ればもっとよくわかるんだろうけど、それは人としてどうかと思われるからやめておこう。

 次に、今、難しそうな本を熟読してるところからすると、読書好き? つーか頭いいんだろうな。

 それ以外は……短髪の男。でも、髪型なんていくらでも変えられるし、男友達なんていくらでも……。

 ってあれ? お前以外の友達って、どんな奴らだったっけか。それ以前に知り合いまで含めても一人としてまともに覚えてる奴がいない。

「って、ぇぇえぇえぇええ!?」

 予想外の事実に思わず大声を上げてしまった。普通なら何か取り繕うところなんだろうけど、お前は何も聞こえていないかのように微塵も動かないから、この際どうでもいいとする。

 それよりも問題は、知り合い含めて誰のことも思い出せないことで。

「なんで? え、なんで?」

 部屋の中を——床はもちろんベッドの上や壁や天井も——ぐるぐる回っていると、

「つまんねー」

 お前はいきなり本を投げ出してテレビをつけた。

 キィィッ——

 直後に部屋に響いた甲高いブレーキ音。何かと思ったら、お前が見ているテレビの音だった。お前は画面の中で起こった自動車事故を自分の目に映して固まっている。って、何か様子変だ。

「もういないんだよな、兄貴」

 ぽつりと、自分に言い聞かせるようにお前は言った。


 そうだ。

 お前、弟だった。

禁則事項破りまくってたら申し訳ありませんっ><

活報で皆さんいろいろ書いていましたが、結局よくわからなくてこうなりました。


そして、「静寂」もちゃんと考えて書いていたのですが、読み返してみるとテーマになってない orz...

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