赤ちゃんホシイ
賢児と一緒にいる時が一番幸せ……
瑠璃絵が賢児に出逢い、丸3年経っている。
(賢児……あなたのゴツゴツとした大きな手が好きよ)瞳を閉じ、瑠璃絵は切ない甘さを胸に抱く。
賢児と瑠璃絵は一緒になれぬ運命だから。
(仕方ないよね……)鏡に向かって、まっ白な肌、長い髪の毛に見入る瑠璃絵。美しくあるよう余念がない。
賢児は優しい。いつも。
でも……賢児には恋人がいる。(あんな女、大嫌いよ)
二人が手を繋ぎ歩いていたって、なんにも出来ない。瑠璃絵は、思いとどまる。振られたらみっともないだとか、そういう理由ではない。
賢児を心底愛しているからだ。
彼女と指を絡ませ歩く賢児はとても幸せそう。
胸が痛いけれど、瑠璃絵は賢児の嬉しそうな笑顔に負ける。
セカンドでも良い。愛してくれるなら。
*
賢児の部屋で瑠璃絵は今、賢児に抱きしめられている。
「瑠璃絵……可愛いよ」
「……」こないだ、本命の恋人とイチャついているところを見たばかりの瑠璃絵は素直になれない。
ガチャリ。
いきなり、瑠璃絵と賢児のスウィートなひと時が繰り広げられているお部屋のドアが、あいた。
「賢児~!」
(あたしには見向きもしない! 気にしもしないで! あたしだけの賢児をっ! いけ好かない、本当にこの女! 今度ばかりは許さない!)
「ニャッ!」
「キャー! いったい! 痛ァ。瑠璃絵ちゃん、今日はごきげん斜めなのねっ。 爪で引っ掻いちゃ、メッだよ!?」
(にゃんこだからって、あたしにそんなことを言う。あたしは賢児に本気よっ?)
「どうした~、瑠璃絵。おいでおいでー」(ほーら、賢児はあたしのほうを呼ぶわ! プンプン!)
のちに瑠璃絵はお見合いをさせられたけど、「フ――――ッ! シャ――――!(ガリ! 猫パンチ)」といった具合で、オス猫はことごとく追い払われてしまった。
未だに賢児は彼女と交際中だが(そんなの良いわっ、へっちゃらよ)
今日も賢児にナデナデしてもらい、のどをゴロゴロ鳴らす瑠璃絵なのである。
ずっとずぅ~っとよー♡




