表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ 『もう一度、最初から』

胸が苦しい。息は吸えているはずなのに、喉で止められているようだった。


残された力を振り絞り、彼は身体を引き離そうとする。だが、もがくほどに圧迫は強まり、身体を容赦なく押し潰してくる。


震える手で、彼は崖の岩間から伸びる根を掴んだ。


『くそ……』


だが、力はすぐに尽きていく。指を動かそうとするが、反応はない。四肢の感覚が消え、痺れがゆっくりと広がっていった。


『重い……』


胴体の中央を締め付ける圧力。骨が鳴ることはない。だが、砕かれていく感覚だけは確かにあった。


心臓が不規則に脈打つ。まるで、まだ動くべきか迷っているかのように。


世界が脈打つ。視界が狭まり、色が失われていく。闇が、弱まる鼓動に合わせて視界の縁を侵食してきた。


彼は挟まれている。逃げ場はない。


わずかに身体を動かしただけで、圧力はさらに強く返ってきた。ここに、彼の居場所はないのだと、世界が告げているようだった。


意識は、まだ残っている。それが、何よりも残酷だった。


すべてを感じ取れるほどには覚醒している。だが、抗えるほどの力はない。


身体の中心から熱が広がる。思考を焼き尽くすような感覚。それが本当に熱なのか、ただの痛みなのか、彼にはもう分からなかった。


薄れゆく意識の中で、思考は次第に乱れていく。


意識が、ゆっくりと消えていった。必死に身体を支えていた手が震え、指先から力が抜け落ちていく。


『ここで……終わるのか?』


瞼が重い。彼は、それを閉じることを選んだ。


意識は途切れ、闇がすべてを覆い尽くした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ