第5話「ジジイ(神)の語り──世界の裏側はそんなに甘くない」
第5話「ジジイ(神)の語り──世界の裏側はそんなに甘くない」
夢の中。いつもの神の間。
「さてさて、春野小春よ、今日はお前に大事な話がある」
ジジイが椅子にどっかり座り、真顔で語り始めた。
「リリィという幼女はな、ただの幼女ではない。別世界からの転生者、その世界最強の破壊者だったのだ」
私は思わずコーヒーを吹き出しそうになった。
「はあ!? なにそれ? 幼女が世界最強!? 超絶厨二設定じゃん!」
「いや、これは真実じゃ。あの子の魔力は神話級、わしの力をもってしても管理しきれなかった。ゆえに、別世界へ追放したのじゃ」
「なんでそんな重大なこと隠してたわけ!? つーか、そんなん私に言う前にどうにかしろよジジイ!!」
ジジイはしゅんとなった。
「まあ、わしも平社員レベルの神じゃ。上には上がおるんじゃよ。部長クラスの神がリリィを選び、わしはその尻拭いをしておるにすぎぬ」
「神にも階級ってあるの!? ていうかお前、マジで平社員!?」
「老人虐待反対!神にも人権!!」
「お前、いつも同じこと叫んでんな!!!!」
私は思いっきりジジイを殴った。
「いたたたた……これも仕事じゃ……」
ジジイがふらふらになりながら続ける。
「リリィは、神の存在を見ると恐怖に震える。記憶を操作されておるゆえに知らぬことじゃが、実は追放されたのは部長クラスの神なのじゃ」
「つまり、リリィは神に恐れられてる超ヤバい存在……ってことね」
「そうじゃ。ゆえに、討伐対象となっておるが、わしがこっそり許可を出した。コハルの監視下に置くならば、だ」
「は? ジジイが許可!? やれば出来るじゃん!」
「ぐはあああ!! また殴られた!! 老人虐待反対!!」
私は得意げに笑った。
「いい加減にせえ!! でも、これで話が繋がったわね。これからが面白くなるってわけだ」
「そ、それは……うむ。期待しておるぞ、小春よ」
ジジイは倒れこんだ。
「老人虐待、いや神虐待はやめてぇぇぇ!!」
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(ウィンドウ表示:「レベル7」「新スキル:《創造・真理解放》《感情爆発:暴走寸前》」「リリィとの関係:妹?」「ジジイとの関係:殴り合いの悪友」)