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第2話「ツンデレ貴族、爆誕」

第2話「ツンデレ貴族、爆誕」


冒険者学校、特別区。


爆発事件……もとい、私が「うっかり創造魔法で試験会場を半壊させた」ことで、私は学校側から“特別措置”を受けていた。

簡単に言えば、「他の生徒と隔離」というやつだ。


まあ正直、楽でいい。わざわざ知らん人とワイワイやるのも疲れるし。ひとりで黙々とやるのも悪くない。


「……って、なんで私の訓練スペースに誰かいるの!?」


そう。朝から張り切って自主訓練エリアに来たら、すでにいた。金髪巻き髪の、いかにもなお嬢様が。


剣を構えている。……つーか、うまい。フォームがガチだ。踏み込みの一つ一つが正確すぎる。あと顔が整いすぎててなんか腹立つ。


「……何よ、見られてると集中できないんだけど」


第一声からこれだ。

私、まだ何も言ってないけど!? いや、言ったけど「なんでいるの」くらいでこの反応。


「えっとー、ここ私の練習エリアだったんだけど?」


「知らないわよそんなの。黙って見てるなら、まあ許してあげるわ」


すげぇ……!! 何この上から目線!

見た目通りの貴族! 自己中心のお嬢様ムーブ! なんかちょっとテンプレすぎて逆に感動した。


「はーいはいはい、お嬢様のお気に入りの場所だったわけね?」


「そうじゃないわよ! ここしか空いてなかったのよっ!」


……今のトーン、明らかにちょっと焦ってた。


「もしかして、お嬢様……友達いない系?」


「だ、誰がよ!?」


あ、図星だこれ。


「そもそも私はアリサ・レイシュタイン。王都レイシュタイン家の娘で、魔法剣術の成績もトップ、何もかも完璧な才媛なのよ。友達なんて、べっ、別に必要ないし?」


いやもう、ツンデレテンプレ大爆発。

だんだん面白くなってきたぞこれ。


「ふーん、そうなんだ? でも爆破した私より隔離されてるってことは、なかなかヤバい子なんじゃない?」


「なっ……! 私は、訓練中にちょっとだけ……あの、魔力が暴走しただけで……っ!」


「ほらー、やっぱりヤバいやつじゃん!」


「ちがっ、ちがうったらぁぁ!!」


ふむ。私と同じ“規格外枠”ってわけね。


アリサ、思ったより親近感あるじゃん。


「じゃあさ、一緒に訓練しよっか。孤独者同士でさ」


「だ、誰があんたなんかと……!」


ぷいっと顔を背ける。でも足元だけ、すごく小さく一歩だけ私のほうに寄ってきてる。あざといか! 可愛いか!!


「んじゃ、勝負する? 魔法一発ずつ撃ち合いで、強いほうが勝ちってことで」


「望むところよ!!」


こっちが挑発したら、満面の笑みで剣を構え直した。


まっすぐで、負けず嫌いで、意外とノリもいいじゃん。


「《創造魔法・フレイム・ランタン》」


こっちは見た目だけ派手な、低出力火球。大丈夫、調整してある。


「《エンチャント・エッジ:風》!」


アリサの剣が風をまとい、魔法の剣気が火球を切り裂いた。おお、なかなか!


爆発しないのに妙な緊張感が漂ってて、私は――


なんか、楽しくなってきた。


「ふっふっふ。あんた、悪くないじゃん?」


「……ふ、ふん。あんたもね。ちょっとだけ見直したわ」


「ありがと♪ でも私の方が可愛いけどね」


「そこ関係ないし!!」


うるさいくらいの叫びと一緒に、アリサの剣が再び閃いた。


私はそれを軽く躱して、笑った。


こんなやつが、これからの相棒になるかもしれない。


そんな予感がした。



──その夜、夢の中。


「やあ、今日も仲間が増えそうでなによりじゃな、春野小春」


「ジジイ、お前さぁ……なんでアリサの暴走記録、先に教えてくれなかったわけ?」


「え? あ、それは……面白くなるかと思って」


──ドガッ!!


「ぎゃああああ! 老人虐待反対! 神にも人権があるんじゃああ!!」(顔面)


「そのセリフ、もう3回目だからな!!!」



(ウィンドウ表示:「アリサとの関係:気になるライバル → 友達?(仮)」)


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