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【電書全二巻発売中】バッドエンド回避のため、婚約者は打算で選んだ…はずでした。【コミカライズ単話有料配信開始】  作者: 心音瑠璃
番外編

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コミカライズ記念SS-運命が二人を導くまで

ご無沙汰しております。

本編完結後から約一年半ぶりの更新となります。

あとがきにてお知らせがありますので、是非最後までお読みいただけたら幸いです…!

前半はカイル視点、後半はアリシア視点です。

*本編のネタバレがありますが、先にお読みいただいても本編を楽しんでいただける内容になっている…と思います。

(カイル視点)


「っ、はぁ、はぁ、はぁ…………」


 玉のように流れ出た汗が、頭から頬を伝い乾いた地面に落ちて染みを作る。

 本を持つ手が痺れ、力なく膝から崩れ落ちた。


「……っ、くそ!」


 胸元を強く握りしめ荒い呼吸を繰り返しながら口を吐いた言葉は、我ながら貴族らしからぬ汚い言葉だった。


(どうして僕は……、僕の魔力は!)


 この血に流れるのは両親とも兄二人とも違う、百年に一度生まれるという魔法使いの血。

 百年に一度というと聞こえは良いが、それは同じく希少性の高い“光属性”とは比べものにならない、いわば異端であり呪いだった。


 その力こそが“全属性”。

 僕が保有する魔法適正能力だ。

 普通の魔法使いならば、火や水、風といった特化型の属性に分類される。

 ところが僕には特化型の魔法というものがない。

 代わりに、“全属性”という、光と闇属性以外の全ての属性を扱うことが出来るのだけど……。


「っ、なぜ! 強くなれないんだ……っ」


 全属性持ちが“呪い”と言われるのには訳がある。

 それは、ほぼ全ての属性を扱える代わりに、魔力量が弱いということ。

 そのため、特化型の魔法使いほど能力に秀でず、秀でている者でも与えられる職や役割としたら特化型の魔法使いの補佐が限界なのだ。

 しかも、全属性の魔法使いは……。


(扱える属性の全てを満遍なく習得しなければならない。

 そして、少しでもその均衡にズレが生じると、抜きん出てしまった魔法が身体の中で暴走を起こす。……今のように)


 身体が痺れているのと同時に焼けるように熱い。

 先ほどまで火属性魔法の鍛錬をしていたその代償だろう。

 強くなりたい一心で無我夢中で魔法を使っていたらこのザマだ。


「なんで……、僕だけが、こんな……」


 本来辺境伯家の三男として生まれた僕が受け継ぐはずだった……いや、受け継がなければいけなかったのは、水または氷属性。

 それらに秀でなかった末弟の僕は、辺境の騎士団として華々しく活躍している優秀な兄二人と比べて、まさしく出来損ないのお荷物状態。


(僕のせいで、家族まで馬鹿にされ、噂されていることを知っている。それでも家族は、『気にしなくて良い』と言ってくれる。それが余計につらい……)


 だからこそ、こんなところで立ち止まっている場合ではないのに。

 いまだに震え熱を持っている拳をギュッと握る。

 こうなると、治るまで魔法は使えない。


「どうして僕は、生まれてきたんだ……」


 力なく紡いだ言葉は、これで幾度目か。

 運命に必死に抗おうにも抗えていない自分を嘆き、天を仰いだ。






(アリシア視点)


「カイル様ってどんな方なのかしら」


 カイル様にまずは直接お会いし、婚約を申し込んでみようと決めたは良いものの、なぜだか胸がドキドキと高鳴り、なかなか寝付けずにいた。


「小説でも数えるほどの出番、それも口数がとても少ないから口調すらも良くわかっていないのよね……。

 分かることといえば、基本情報である一つ年下で今は一年生に在籍していて、顔半分まで前髪に覆われている。

 髪の色は……、黒? いえ、茶色かしら? それとも紺……あ、あれ? 思い出せない……」


 これは私の記憶力の問題ではなく、とにかく“たがため”で彼の描写が少なかったことにある。


「作家先生、お願いだからメインキャラクターであるカイル様の描写をもう少し出してあげてー!!」


 ……なんて、亡くなってから小説の世界に転生してしまった今言うことではないけれど。


「で、でもたとえ容姿を知らなくてもカイル様は真面目で、隙さえあれば練習場で一人魔法の特訓をしているという情報があるから大丈夫、よね!

 ……って、なんでここだけ詳しく描かれていたんだろう……、まあ良いや。これからカイル様とお話しして彼のことを知っていければそれで」


 物静かで決して社交的とは呼べないカイル様。

 そんな彼に一時的でも婚約者になっていただけたら良いなって……。


「そ、そうよね。一時的とはいえ私から婚約を申し出るのだもの。

 だからこんなにドキドキしているんだわ……」


 胸に手を当て、ギュッと握りしめる。


(ぜ、前世で告白さえしたことのない私が果たして上手くいくのかしら……、あぁ、余計に眠れないわ!)


 まだ顔も見たことがないどころか、容姿でさえも朧げな記憶の中にいるカイル様。

 小説では知ることが出来なかった彼が何を考えているのかを知りたいと、こんなにも思うのはなぜなのだろうか。

 一時的な婚約者になってほしいから?

 それとも……。


「〜〜〜は、早く寝ないと!」


 わざと声に出して目を瞑りながらふと思い起こされたのは、勇者パーティーの面々の挿絵の中に描かれていたカイル様の後ろ姿。


(……どんな方なんだろう)


 まだ見ぬ彼に想いを馳せながら、やはり今夜は眠れそうにないわと結論づけた。





 そうして巡り合った彼らが互いに運命を狂わせ、最愛でかけがえのない存在に、そして、最高の幸せを掴み取ることになるのは、あとほんの少しだけ先の未来のおはなし。

お読みいただきありがとうございます!二人の出会い前夜のエピソード0、いかがでしたでしょうか?

本編から時間が経てもこうして番外編を執筆出来たこと、小説家になろう様サイトがあって、読者の皆様の応援があって本当に幸せだなと感じております。


そして今回はお知らせがあります。

ついに決定していたコミカライズが明日、いい夫婦の日の11/22(金)よりナナイロコミックス様公式サイトにて連載開始いたします〜!

担当してくださる小鳥初夏(ことりはっか)先生のアリシアとカイルがこちら↓


挿絵(By みてみん)


とにかく元気(笑)で可愛いアリシアと年下とは思えない色気増し増しの流し目最高なカイル…!

一話からアリシアが忙しく生き生きと動き回っている姿が本当に可愛く、またウィリアムがスーパーイケメン(性格に難あり)で、クララはキラキラ聖女(性格まで聖女)なので、是非お読みいただきたいです…!!


明日から連載開始のため、明日の連載開始以降いいねボタン下画像を押していただくとサイト様に飛べるよう修正と、活動報告でもご紹介させていただきたいと思います。

是非是非コミカライズ版 #婚約打算 の世界をどうぞよろしくお願いいたします〜!

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