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【電書全二巻発売中】バッドエンド回避のため、婚約者は打算で選んだ…はずでした。【コミカライズ単話有料配信開始】  作者: 心音瑠璃
本編

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晴れて両想い…って、それなんです!?

 好きです。

 そうカイル様から直接的に、真っ直ぐと告げられ動揺を隠せない。


「え、カイル様が、私を、好き? そんな、まさか」

「まだ信じられませんか?」

「だ、だって! ……っ」


 口を開こうとしたけれど、叶わなかった。

 それは、彼の長い指が私の唇に触れたからで。

 そうして私の言葉を制したカイル様は、甘やかな笑みを湛えると、口を開いた。


「好きです」

「ひぇっ」

「大好きです」

「っ」


 そういうと、今度は顔を近付けてきて……。


「愛しています」


 その言葉に、今度は私が膝から崩れ落ちそうになってしまって。

 危うく呼吸困難、意識が吹っ飛びそうなる私を見たカイル様は、満足したように笑って呟く。


「……くせになりそうですね」

「っ、やめてください! 絶対に!!

 破壊力が凄過ぎて死んでしまいます!!!」


 全力で口にした私に対し、カイル様は少し息を呑んだ後、繋いだ手に力を込めて言った。


「なら、僕の想いを信じてくれますか?」


 その言葉に全力で何度も首を縦に振る。

 カイル様はクスッと笑ってから、口角を上げると言った。


「では、今度は貴女の番です」

「……へっ?」

「貴女の気持ちを、お聞かせ願えますか?」


 そのカイル様の言葉と表情を見て気付く。


「わざとですね……!?」

「貴女が悪いんですよ? 一方的に婚約解消を突きつけられ、傷付いたのは僕の方ですから」


 その言葉に、うぐっと喉に声を詰まらせる。

 先程の必死さを見せられたら、傷付けてしまったというのは嘘ではないと思ったから。

 私は意を決して、口を開く。


「……好きです」

「……!」


 そう口にした瞬間。また止まっていた涙が堰を切ったように溢れ出した。

 それを見て、カイル様は困ったような顔をしたけれど、私の目元を指先で拭ってくれる。

 そして、笑みを浮かべた。……心から嬉しそうな笑みを。


「やっと、聞けた」

「!」


 そう言うと、ふわりと優しく抱きしめられた。

 そして。


「これで僕達、両想いになったんですね」


 そう口にしたカイル様の言葉と伝わる体温に、嬉しさがじわじわと込み上げてきて。


「っ、はい……!」


 返事をして、ぎゅっと抱き締め返すと、カイル様は出会った時より低い声でクスクスと笑った……刹那、爆弾発言を投下する。


「結婚式はいつにしましょうか」

「……は?」

「ウェディングドレスを着た貴女を早く見たいです」

「……ちょっ、さすがに気が早過ぎません!?」


 思わず顔を上げ、そう彼に向かって言うと、至近距離で視線が交じり合って。


「……っ」


 その近さに息を呑んでいる間に、カイル様の顔が近付いて……、目を閉じようとしたけれど。


「あの、カイル様」


 思うところがあって控えめにカイル様の胸を押すと、カイル様は少し怒ったように口にする。


「この期に及んで何です? 両想いになっても僕はお預けを食らわなければいけないのですか?」

「!? お、お預けを食らわせているわけではないんですけど、ってそうではなくて!

 ……何か、先程から声が聞こえるような気がするのですが……、誰かに見られていたり、しませんか?」


 カイル様は私の言葉に、視線を落とし……、あ、と声を上げた。


「そういえば、忘れていました」

「忘れていた?」


 そう言うと、急に着ていたマントを翻す。

 それによって彼の腰あたりに何か、ランプのようなものがぶら下がっているのが見えて。

 でもよく見れば、それはランタンではなく、ランタンの形をした中に“何か”が蠢いていて……、って。


「ま、ままままままままま魔王!?!?!?」


 これ以上ないほど驚き、思わず大きく後ずさる。

 そんな私の言葉に、カイル様は心底驚いたように口にした。


「どうして分かったんです?」

「そ、そそそんなこと今はどうでも良くてですね!?!?」


 まさか前世の小説の挿絵で知っていますなんて言えるわけがなく、混乱に乗じて誤魔化すことにした私は、彼に対して質問責めをする。


「なぜ! 魔王がいるんですか!?」

「存分にこき使ってやろうと思って」

「……はあ!?!?」


 何が起こった、いや、何が起きているの!?


(え、魔王討伐って、魔王を魔界へ封印するのではないの!? 百年前もそうしたって歴史で習ったし、原作でもそうだったもの!

 まさかこんなところにいるはずが)


「本当は斃すつもりでした。そのために今まで身を削る思いでほぼ全ての属性を網羅したのというのに」

「?????」


 カイル様の言っていることのほぼ全てが理解不能で、そしてそれを理解したらダメなような気がしてキャパオーバーを良いことに黙っていると、彼は言葉を続けた。


「決して許しがたい所業を行ったので、ここでもし斃してしまったらこいつにただ楽をさせるだけではないかと。

 ……だったら死ぬよりも辛い目に……、僕の下僕にしようと思い、いつしか読んだ“物に封印された神様”を参考に、このランタンの中に封印することにしました」


(何か聞いたことあるよその“物に封印された神様”……! けれどね!!)


「魔王を封印するなんてありえないでしょおおおおお! というかその所業って一体何なんですか!?」

「……休憩中に送られて来た貴女の手紙……、婚約解消を申し入れてきた手紙を読んでいる途中で現れて燃やした罪です」

「タイミング悪ぅううううう!?」


 というかそれ、ほぼ元凶私なんじゃ……。

 恐る恐るランタンに入れられた魔王を見る。

 何やら喚いている、本当は軽く5メートルは超える身長を持ち、魔界で最強のはずの魔王は、今。


(約20センチくらいのサイズになって封印されている……)


 それを、目の前のこの人が、一人で。

 ……って。


「カイル様、それはいくらなんでも解釈違い過ぎませんかーーーーー!?!?!?」


 両想いになった嬉しさより、解釈違いすぎるカイル様のチート能力(原作では一年かけて勇者パーティー全員で魔王を封印し帰ってくる……はずが、三ヶ月でカイル様一人で魔王を下僕にし帰ってきた)が際立ってしまい、思わず叫んだその言葉で、カイル様に置いていかれ、探していた勇者パーティー一行が激怒しながら現れたのは、この後すぐのお話。

次回、最終回です!

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