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9話

コロナになってました。

 最初に入った部屋。今度は俺一人しかいない。先ほど手に入れた槍を右手に握りしめ、ゴブリンの集団を見やる。未だゴブリンはこっちに気づいていない事から、いくらか近寄らないと気づかないのかもしれない。俺は端から下へ続く下り坂を降りて行った。下の巣の半分を囲うように作られた下り坂、一人が動くには十分だが、複数のゴブリンには並んで叩く戦法は使えない。なんとも都合の良い舞台だ。


 下まで降り切った俺に気づいたゴブリンは、威嚇するように叫び声をあげる。5体の装備はこん棒が3体とゴブククリが2体。俺はすぐさま来た道を戻り、ゴブリンを坂へ誘導する。現状を考えればこれが一番良い戦法のはず。そう信じて俺は槍を構えた。リーチでいえば圧倒的に俺が有利だが、石扉に描かれている程だ。油断はできない。


「はああっ!!」


 横薙ぎにゴブリンを叩く。微増とはいえ上がった攻撃力は確かにゴブリンへ強力な一撃を加えるに十分だった。壁に叩きつけられたゴブリンは力無く地面に倒れ伏し、その屍を踏みつぶしながら迫る。俺は槍を少し短く持ち、突きの体勢をとる。迫ってくるゴブリンに対し、前に出てくるやつから突きを繰り出して距離を開けつつ、強攻撃に合わせて持ち直し一撃を与える。こちらでペースを掴めていたが


「ゲギギ!!」


「っ!っておおおおおおお!!!」


 強攻撃の隙を突かれた形でゴブリンから一発貰ってしまった。それだけじゃなく、踏ん張ろうとした所で足を踏み外し、真下へ落ちてしまった。素人の俺に受け身なんてとれるはずはなく、背中から落ちるようにするので精一杯だった。


「おおお……い、いてぇ……」


 背中とはいえ衝撃をまともに喰らってすぐに動けるはずもなく、ゴブリン達は安全圏から飛び降りて走ってくる。槍を長く持って振り回し、ゴブリンが近寄らないようにしながら体勢を整える。端に詰められて劣勢に立たされるが、不思議と恐怖は少なかった。槍術スキルのお陰だろうか。


「さあ、来い!!」


 槍術スキルの構え通りに上段に構える。ゴブリンがいっせいに飛び掛かるが横一文字に薙ぎ払い、一体に向かって突きを繰り出す。これを回避されるが囲まれる前に左足を軸にしてゴブリンの胴へ薙ぎを入れる。穂先がめり込んだゴブリンは他のゴブリンへ飛んでいくが、仲間のゴブリンはそれを回避。死んだら仲間じゃないと言わんばかりに俺に集中している。少しは仲間を労われと皮肉を言いたくなる。


「次ィ!!」


 そんな考えをすぐに思考の端にどかして、壁に近いゴブリンに向かって構える。ゴブリンは自分の獲物であるゴブククリを俺に向けてくる。駆けだしてきたゴブリンの手に穂先を当ててゴブククリを落とし、すかさず喉笛を狙う。後ろによけようとするが、それは結果として穂先が喉を捉え、切り裂く事となった。残り2体となり、残りと向き直る。3体を屠った事にゴブリン達は後ずさるが、俺が合わせて迫る。しかし、ゴブリン達が最初に集まっていた焚き火でゴブリンがニヤリと笑う。何を狙っているか、思案する前に身体が動いた。俺のいた場所にはこん棒が振り下ろされ、仕留めきれなかったゴブリンが俺を仇のように睨みつける。


 しかし、流れは今俺にある。ダメージを受けている方ではなく残った2体を狙っていく。2体の間に振り下ろして分断し、右のゴブリンへ向かって突く。脇腹を掠ったが、動きを止めるには至らない。しかし、左目の端にもう1体のゴブリンが襲ってきているのが見えている。槍を両手で握り直し反転、胴を狙うように薙ぎ払う。ダメージを受けているゴブリンも攻撃の後隙を狙い攻撃してきたが、槍の柄を盾にして防ぐ。空中で飛び掛かる関係上、一度押し込まれるが、軽い体躯のため無理やり押し切った。倒れた所を槍を持ち直してとどめを刺す。2体はやけを起こしたように飛び掛かってくるが、俺は落ち着いて狙いを定め、横一文字に薙ぎ払う。地面に落ちたゴブリン達は起き上がる事無く、呻き声をあげた後に黒く朽ちて消えた。


 ほっと溜息をついた所に奥に光の渦が現れる。渦は数秒で消滅し、後には宝箱が残っていた。開けると中には緑色の宝石が彩られた手袋が入っていた。装備品のように見えたため、装備して確認してみると


 【翡翠のグローブ】

 防御力+1

 翡翠の宝石が施されたグローブ。宝石はゴブリンの体内で生成された魔石を用いた物で、ゴブリンのセキュリティキーにもなる。


 色々生々しかったりゴブリンの社会性に疑問の声もあるが、これが石扉を開ける鍵なのだろう。俺はゴブリンが落とした武器を拾って坂を上り部屋を後にした。

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