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5話

投稿されてなかった…差し込みです。

 便宜上最後の部屋に入った俺と江藤さんが見た光景は、もともと置いてあったであろう家具類が蔓に覆われてクローゼットは開かないし、椅子も座面が見えない。奥に目をやれば何かが描かれているレリーフが見える。その手前には焚き火にあたっているゴブリンが二体いた。


「さっきと同じ要領で行きましょう。俺は右、江藤さんは左をお願いします」


「分かった。ミスらないでくれよ!」


 江藤さんが先陣を切ってゴブリンに迫る。ゴブリン達は江藤さんに反応し、自身の獲物であるこん棒を構え、江藤さんに向ける。だが、後ろから追いかける俺に気づき、こん棒を横に構えて防御の体勢をとる。江藤さんの警棒は防がれるが、俺のククリはゴブリンのこん棒の持ち手から反対に位置取り、パリィの届かない角度から振り下ろす。ゴブリンは防御が間に合わず、肩に切り込む。骨に当たった感触が伝わり、深くは入らなかったが、確実にダメージは入った。


 江藤さんの方も善戦している。武器を落とそうと持ち手を狙いながら、時折フェイントを挟み攻めている。ゴブリンも持ち手を守りつつ隙を伺っているが、徐々にダメージを蓄積させている。


「グギギ……グギャアアアアア!!」


 ゴブリンへの攻撃は止めない。一度止めたらそこから隙となる。俺はゴブククリを振り回してゴブリンとの距離を保ちつつ、ゴブククリをこん棒に当てて刃を入れる事で固定。こん棒を奪い取る。ゴブリンは地団太を踏んでこん棒を奪い返そうと手を伸ばす。刃に刺さったこん棒を素早く外し、ゴブリンの手にゴブククリを振り上げる。ゴブリンの手は肩と違い刃が通る。突き刺すように振り上げたゴブククリはゴブリンの手を貫通し、スナップを利かせて切り裂く。手が負傷した事に後ずさるゴブリンへ追撃に駆ける。奪ったこん棒を投げて、相手の避ける先を予測しゴブククリで切る。予想は的中し、ゴブリンの脳天にゴブククリをヒットさせた。ゴブリンが真っ二つになる事はなかったが、倒す事はできたのだろう。黒ずんで消滅した。


「よし、江藤さん!」


「こっちも終わったよ。今丁度って所だけどね」


 互いに怪我がないか確認し、奥のレリーフに向かう。描かれていたと思っていたレリーフは一部が剝がされたように削られ、何が描かれていたのか分からなくなっている。


「これは…レリーフの一部を探せって事かな?」


「多分…この部屋内にありますかね?」


 俺達は部屋の隅々まで探す。しかし、レリーフの欠片はどこにも見つからなかった。


「無いな…でもこれが謎解きっていうなら無いはずは…」


「もしかしたら別の部屋にあるのかもしれないですね。ほら、両端の部屋は左攻略した後に右っていう感じだし、ここも同じなんじゃないかと」


 俺の予想に江藤さんもなるほどと頷く。俺達は一度部屋を出て村瀬さん達に事情を話すと郡司さんがついてくと言い出した。精神的なショックは大きいが、民間人の俺が頑張っているのに寝転がってはいられないという。倉井さんはまだ震えが止まらないが、無理をさせるわけにはいかない。村井さんに倉井さんを任せて、右から二番目の部屋に入る。再び入った部屋にはさっきと同じく梯子と木箱が置かれている。俺達はレリーフの欠片が無いか探すがそれらしいものは見当たらない。すると郡司さんが何かに気づいたように木箱を見る。


「なあ、もしかしてこの中に入っているんじゃないか?」


「た、確かにもうそこくらいしかない…ですけど」


 木箱は梯子に届かせるためにあり、それに合わせてかなり大きい。俺の身長が175センチで65キロだが、その身体が余裕で支えられるくらいには強度が高いし、高い所から落とすにしてもそんな場所はない。俺達で動かせたんだから確かに中身は無いだろうけど、俺のゴブククリは勿論、警棒でも穴は開きそうにない。その時郡司さんが腰についている物を取り出す。


「これを何発か撃てば、後は蹴りで壊せるだろう。まずは試してみよう」


 郡司さんは拳銃を構えて木箱を円を描くように六回撃つ。撃ち終えると、郡司さんは押し蹴るように足で踏み抜いた。木箱は郡司さんの予想通りに大きく穴が開く。中は空洞で、そこを探すと小さな欠片が落ちていた。レリーフの欠片だ。


「それ壁画の欠片だよな?ならはやくはめに行こうぜ!」


 江藤さんは謎が解けた喜びで軽口が飛びでている。郡司さんがそれを咎めるように見ているが、すぐにやれやれといったように溜息をついた。


 すぐに部屋を移動し、壁のレリーフに欠片をはめる。すると壁に切れ込みが入り、レリーフの壁が下に沈む。レリーフの壁の奥には瓶の入った宝箱より大きな宝箱が鎮座していた。


「これは…宝箱か?」


「さっき俺が開けましたから、どちらかどうぞ」


「なら郡司さんですね。謎解いたのは郡司さんだし、当然ですよ」


「そ、そうか。爆発したりしないよな?」


「「流石に無いです」」


 ミミックは疑うべきかもしれないけど、爆発トラップは聞いたことない。それに謎解きさせての宝箱なら、ほぼトラップは無い。メタ視点も入るけど最初(?)のダンジョンでトラップは目に見えるもの以外ないだろう。郡司さんも意を決して宝箱を開ける。中身は


「これは…剣か」


「サーベルじゃないですか!RPGなら序盤お世話になる武器っすよ!」


 そこら辺の知識がないからか、静かに手に取る郡司さんと武器獲得イベントでテンションが上がる江藤さん。ステータス画面で装備が確認できる事を伝え確認してもらうと


【鉄サーベル】

 鉄製のサーベル。

 攻撃力:17


「17…君のそれより強いな」


「戦力大幅アップですね。これなら」


 左端の部屋でも太刀打ちできる。郡司さんもリベンジと意気込むようにサーベルを強く握りしめた。

【武器】

装備者の攻撃力を上げる装備。ステータスや装備説明はステータス画面の装備ページから確認できる。ダンジョン内では主に宝箱やモンスターから奪う事で獲得できる。

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