2話
話の中で足りない部分は後書きで補足します。
目が覚めた俺が目にしたのは、複数人の警察官だった。一人はインカムが使えないことに頭を掻き、他の警察官は周囲の警戒に勤しんでいる。その中の一人が俺に気づいた。
「君!無事だったのか…」
「えっええと……俺、確かゴブリンと戦って…」
「君もか……通報を受けて来たけど、いったいどうなってるんだ?現実にあんな化物がいるなんて」
漫画の世界でもあるまいし…と警察官は零す。ここには何人来ているのか聞くと、今見えている四人で全員だという。ゴブリンに遭遇した時、俺と同じようにククリを振り回して襲ってきたが、人数の差で押し切ったのだそう。俺を発見した時、腕からの出血に気づいてすぐに応急手当してくれたらしい。それはそれとして説教された。助けたい人がいると言ったがそれはそれ、これはこれと一蹴されてしまった。
「引き返そうにも、入ってきた所は何故か出られない。何とかして出られるように探ってみるから、それまでおとなしくしていてほしい」
確かに言う通りだ。戦闘素人の俺より、警察学校で手ほどきを受けているこの人達に任せた方がいい。それが正しいと分かってはいるけど、俺はどうにも納得できなかった。
「ありがとうございます。でも、俺も戦いたいです。俺も守りたい人がいて、その人を助けたい。それなのに他人におんぶに抱っこはダメだと思うんです。だから、俺も戦わせてください!」
「それは君が緊張状態にさらされた事でハイになっているだけだ。冷静になってからやっぱ無理と言われても困るし、何より市民を危険にさらす事はできない。悪いが分かってくれ」
全くもって正論だ。警察としての仕事だし、俺は子供。判断を誤っていると思われている。ゴブリンに勝ったのだって奇跡だし、怪我もしてる。そんな俺に無茶はさせられないと判断されても仕方ないし、出血してハイになってると判断されるのもわかる。でもここで食い下がらないといけない気がした。それを察したのか溜息交じりに俺の同行を許可してくれた。
「別に君の能力を認めたんじゃない。ここで突き放したらどうなるか分からないから、近くにいた方が安心できると判断しままでだからね」
でも、その判断がとても嬉しかった。俺に守るチャンスをくれたんだから。俺は立ち上がって調子を確認する。怪我をした腕は痛むが、それでも吐いて身体を休められたからか、気絶前よりかなり動けるようになった。
「そういえば、君はスキルは持っているかい?」
「スキル?そういえば開放されたとかあったような」
「スキルをセットしておけばその能力が使えるようになる。あそこにいる『郡司剛』っていう僕の先輩は【火球:微】ってスキルを手に入れて、今唯一魔法を使えるんだ。君もゴブリンを倒しているならスキルをセットしておくと良いよ」
スキルセット。できるのならそうしたいけど、俺は何の説明もなくゴブリンを倒してた上、その後すぐに気絶してたからどうやれば良いか分からない。すると、さっき郡司と呼ばれた魔法使いの人が近づいてきた。
「スキルをセットしたいなら、まずはステータス画面を開きなさい。左右どちらでも良いから指二本で上から下に振るんだ。スマホのフリックみたいに」
言われた通りに人差し指と中指を合わせて上から下に振る。すると気絶前に見たような羊皮紙が出現した。俺のステータスとスキル、装備の項目が出てくる。
「よし、出て来たな。後は本当にスマホと同じだ。見たい項目をタップすれば、それを見られる」
試しにスキルをタップする。羊皮紙なのにスマホみたいな感じで大丈夫か?と思ったが、新しい羊皮紙が2枚現れて、空欄ばかりで上に【0/15】と書かれたものと、俺が手に入れたのだろう『ストレージ』『攻撃強化:微』『耐久強化:微』と書かれたものだったため、これで正しいのだろう。スマホの容量というのなら、これはドラッグして移動させられるのだろうかと試す。その予想は当たり、『攻撃強化:微』の項目が指に張り付くように指の移動に合わせて動いた。空欄の羊皮紙に移すと指から離れ、数字が【1/15】に変化する。
「スキルには上限がある。それが個人の才能なのか、或いはレベルで上限も上がるのか…これから要検証だ」
郡司さん、先輩って言われてたからか、丁寧に教えてくれる。責任感が強いのか、気を引き締めているけれど、気配りを忘れないんだろう。その後も色々教えてもらい、改めて出発した。
ちなみに『ストレージ』はスキルスロットの必要枠30だった。ちくせう。
スキル
最初のレベル獲得、他様々な方法で獲得できる。スキルを使用するにはスキルスロットにセットする必要がある。スキルスロットには上限があり、上限を上回る場合はスキル選択欄に戻される。