演習結果
『特別軍事支援課』の九人は軍事演習の結果を聞いていた。
夕陽がゆっくりと建物の裏側へ消えて行く。
学生九人のうち六人は浮かない顔付きをしていた。
「今回の軍事演習で一定の水準で目標に達したのは三名だけよ。」
氷雪は淡々と結果を発表する。
軍事演習が失敗に終わった者に反省させ、成功を実らせた者に更なる能力向上を求める態度である。
「残りの六名は彼らを見習うように。」
「まぁ、それでも『銀の絃』実戦投入の貴重な記録が取れましたから……。」
氷雪の隣で気の弱そうな男性教官が氷雪を宥めた。
『特別軍事支援課』が発足したあの日に、白い布に包まれた師匠の大剣を津雲へと届けた男性教官である。
彼曰く軍事工学を担当していて、氷雪から依頼を受けて『銀の絃』の設計や製造などに携わったとのこと。
気が弱く大した拒否も出来ないまま開発を行なったため、本来やるべき軍事工学担当教官としての仕事が捗らず、睡眠不足に陥っているらしい。
顔色が悪いのにも関わらず、生徒を庇った男性教官は氷雪にぴしゃりと言われると、そのまま黙ってしまった。
「宿題として今回の軍事演習を通して自分自身の課題と解決策を記載して明後日までに提出すること。これは九名全員に出してもらうわ。」
六人のみならず、成功を収めた三人の顔色も曇った。
「何だよ、合格貰ったのに反省文かよ。」
達が斧を掴んで立ち上がった。
「実際、達君は暴れ回ってただけではないでしょうか。」
「天剱さんの言う通りだわ。」
あすかと氷雪が『銀の絃』を起動しているかの如く同調して釘を刺した。
「それでも達君が機転を利かせたからこそ、氷雪先生を超えられたんだと思います。」
津雲は透かさず達を庇った。
達は「流石、殿下、分かってるなぁ。」と津雲と肩を組んだ。
軍事演習で一定の水準以上の目標達成を収めたのは津雲、達、あすかの三人だった。
津雲は沈みゆく夕陽の明かりを受けながら軍事演習を思い出した。




