戦術の伝播
『銀の絃』起動以前から手も足も出ない氷雪相手に、今度は戦闘状況を共有された上で対峙しているのだ。
三人の力を合わせなければ軽く遇らわれるのは明瞭だった。
「なんとか戦術を練れれば良いのだけれど……。」
あすかは剣と盾を構えた状態で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「僕とあすかさんで氷雪先生の行動を封じ込めよう。その隙に達君は思うがままに斧を振るってくれ。」
津雲は先ほどの害獣との戦闘において、一瞬、あすかと『銀の絃』を起動し、彼女の能力を共有していた。
そのため、あすかの戦闘における潜在能力を少し理解していた。
同時に、今までの演習での様子から、この中で最も強力な一撃を与えられるのは達だと感覚していた。
それらの情報を組み合わせて津雲は『銀の絃』を通して戦術の伝播を行った。
まずはあすかが氷雪の銃弾から津雲を盾で守護ながら彼女に接近する。
その後、あすかの天剱流剣術で氷雪と本格的な戦闘を行う。
依然として戦闘能力は氷雪の方が上なので、津雲が加勢する。
天剱流剣術と津雲が体得した火禱で氷雪を抑え込む。
行動不能になった氷雪へ達が思うがままに飛び掛かり、空中から最大火力の斧で決死の一撃を加える……!
それはあくまで、氷雪にも伝達されることを理解した上での情報共有だった。
「面白いじゃないの。やってみなさい。」
氷雪は彼らの戦術を『銀の絃』によって感覚すると、思わず笑みを浮かべて呟いた。




