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戦術兵器

燃え盛る炬火(きょか)が暗闇を照らし出す。

少年少女は旧式軍事演習場で厳粛なる教官と対峙していた。

彼ら四人の手元に結ばれた『銀の絃』が輝きを放ち、照明に拍車を掛ける。

紅と白の光が放たれた空間で氷雪が『銀の絃』について話し始めた。

「『特別軍事支援課』編成の折に貴方たち九人に支給した『銀の絃』。これは私が企画した戦術兵器よ。」

津雲たち三人は武装を解除しつつも、真剣な眼差しで氷雪の説明に耳を傾けた。

「日々、貴方たちは勉学に励んでいるから分かると思うけど、白裂国には特殊な鉱石の採れる鉱山が数多く存在しているわ。」

津雲、あすかは既知だと言わんばかりに頷いた。

達は演習場の隅を仏頂面で見詰めている。

「採取された鉱石は主に工業用の素材として世に出回っているのよ。ちなみに諸外国との貿易にも使われているわ。」

津雲は納得の表情を見せる。

あすかは手帳を取り出して目を輝かせた。

達は眉間に皺を寄せて首を傾げている。

「近年、ある鉱山で新種の鉱石が発見されてね。『銀鱗石』と名付けられたらしいのだけど、これが未知の機能を秘めていてね。その機能を元に『銀の絃』を開発したわ。」

まぁ、細かい話はいいのよ、と氷雪は話を区切った。

「本題の『銀の絃』について、一言で言うと、使用者の意志によって戦闘情報の共有を行う機構よ。」

津雲は何かを思い出すかのように演習場の松明を見始めた。

あすかは必死に手帳を書き殴っている。

達は大きな欠伸をした後で俯きながら目を閉じた。

「実はまだ実用化には至っていないから、測定されていない効果があるかもしれないのだけど、使用者の意志の強さによって幾つもの効果が発動されることは分かっているわ。」

氷雪は睡魔に負けた達を置き去りにし、淡々と説明を進めた。

『銀の絃』はそれを使用する者の意志の発現によって起動を行い、光を放つという事。

意志の強さによって他の起動者の感情や能力などの戦闘状況の共有、さらには行動の結果までも理解できるという事。

挙げ句の果てには、他の起動者の意識の共有すらも可能であるかもしれないと言うのだ。

言葉を介さずに他人の考えや行動が読める、まさに戦術兵器なのである。

完全に眠りに就いた達を尻目に氷雪は自慢の小刀と片手銃を構えた。

「この『銀の絃』を貴方たちに支給した目的は三つ。まずは貴方たち九人全員が『銀の絃』の使用技術を習得する事。さらに『銀の絃』実用化に向けて、発動可能な効果を総て観測し、報告する事。最後に、貴方たち九人全員を白裂の希望ある未来を形作る立派な大人へと育て上げる事。……誰一人欠けることなくね。」

そう言うと氷雪は(おもむろ)に片手銃を達の足元に向けると一縷の迷いもなく発砲した。

容赦なく大地を抉る弾丸。

唐突に響き渡った轟音に達は飛び上がり、斧を構えた。

「まずは『銀の絃』の使用方法を理解してもらうために、今一度、貴方たち三人と戦闘を行うわ。」

氷雪は彼女の説明のほとんどを睡眠に費やした達を睨みながら叫んだ。

「確固たる意志を以てかかってきなさい!」

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