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小手調

数々の空薬莢が回転と共に空中を舞い、洞窟の闇に消えていく。

放たれた銃弾は常闇の空間を駆け抜け、無慈悲にも学生たちの肩に傷を与えた。

「ほらほら、実弾じゃないからって油断してると頸を掻かれるわよ〜。」

凶弾を掻い潜り、氷雪の懐へ忍び込んだ達へ彼女は小刀を振り翳した。

特殊な機構を備えた斧を振るう余裕も与えず、小刀が振り下ろされた。

達は刀身の閃きを斧の柄で防いだものの、額に銃口を突き付けられたことにより、攻撃の機会を見失った。

そればかりか、氷雪が引鉄を引けば達は頭部にそれなりの傷を受けるだろう。

それは彼を一時的に戦闘不能にさせるには十分な銃創であることが予想された。

まるで氷のように冷たい銃口が唯ならぬ恐怖を放ち、達の身を凍結させた。

「達君。貴方にはしっかりと警告していたはずよ〜。身一つで衆敵に飛び込み、戦術も何もない無鉄砲な暴行を止めるようにね。」

その言葉を聞いた達はすぐさま氷雪を睨むと、身体を翻し刀身と銃口から逃げながら斧を回転させた。

回転によって駆動した戦斧が火を噴いた。

「鉄砲は無くとも、俺には斧がある!」

達が怒号を上げ、電光石火の一撃を繰り出す。

しかし、斧から棚引く炎が氷雪を捉えることはなかった。

氷雪はその場から瞬時に姿を消していた。

姿形も気配も影すらも掻き消えた中で氷雪の声だけが響いた。

「貴方に斧があっても、戦術がなければ、それはただの棒切れよ。貴方の戦術無き暴力を私は無鉄砲と呼んでいるのよ。」

言い終わると共に、達の背中に爽やかな風が吹いた。

どこからともなく顕れた氷雪が小刀を一閃していた。

完全に不覚を取られた達は体勢を崩し、演習場の石畳に倒れ込んだ。

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