表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/45

然るべき相手

「我流火禱『白繡火(しらぬひ)』」

臙脂色の炎を纏う大剣が害獣の残党を十字に斬り裂いた。

「ここはやけに人々に害を(もたら)す魔獣が多いな。」

火花を上げて駆動する斧を薙ぎ払い、達が呟いた。

「長い間使われていなかった演習場らしいから、無理もないわね。」

古き演習場。

津雲はかつて王家で聞いた演習場に纏わる噂を思い出した。

白裂軍の黎明期を支えてきた軍事演習場。

そこには、当時の軍事機密が埋まっているとのこと。

それがどこにあり、具体的に何があるのか?

真実は魔獣とともに闇の中らしい。

「こう暗くて魔獣が多いと、どこに『然るべき相手』がいるのか分からないな。」

津雲は不満を漏らした。

演習場とは言え、そこは古びた洞窟。

松明の明かりがなければ、進むべき道すら分からなかっただろう。

しかし、津雲の不満に答える者がいた。

「ここにいるわよ。」

凛々しい声を頼りにその者を探すと、三人は図書館地下の広場と同じくらいの空間に出た。

そこだけは本当に軍事演習場であったように、石畳が敷かれ、真新しい松明も一定距離毎に置かれている。

他の岩場をそのまま繰り抜いたような洞窟とは異なり、古びてはいるものの建築された様子の空間となっていた。

「なかなか遅かったじゃない。世間話でもしてたのかしら?」

声の主は空間の中心で松明の光を受けていた。

その者は軍事戦術学担当教官および、『特別軍事支援課』担当教官、薄氷氷雪だった。

「氷雪先生!いらしていたんですね。」

あすかが嬉しそうに氷雪に駆け寄る。

あすかは自らの懸命さ故に、氷雪を教官として敬っていた。

一方で達は苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。

「氷雪…先生…。おいおい、もしかして。」

達はその荒々しく孤立的な闘い振りをやめるよう、以前から氷雪に警告されていた。

「ええ。貴方の自分勝手な戦闘方法を改善すべく、ここにいるわ。」

むしろ恐ろしくもある笑顔を見せながら、氷雪は袂から小刀と片手銃を取り出し、銃口を達へ向けた。

「氷雪先生が最終目標…?」

津雲は困惑を呈した。

彼女は演習場へ入る学生たちを見届けたまま、演習場には入っていかなかったからだ。

「そうよ。私が『然るべき相手』。そして貴方達が最後の挑戦者。他のみんなは私が全員片付けちゃったわ!」

松明に照らされて氷雪がお茶目にくるりと回転する。

み〜んな、弱かったわ、などと笑顔で漏らしている。

さらにはその左親指先に『銀の絃』を巻き、小刀の柄の端へと接続しているのであった。

「さ〜て、軍事戦術学および、『特別軍事支援課』担当教官、薄氷氷雪。『然るべき相手』として貴方達に対峙するわ!ぶっ放すわよ〜!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ