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白き三つの兜

数分前。

使節団員を追い、白き三つの兜が白裂城内を駆けていた。

最も立派な白き大兜が他二人に説明を行う。

「つまり、彼は『白夜天』から遣わされた使節団員でも何でもない。」

あすかが震えた声で白き大兜に言葉を返す。

「じゃあ、私が城門を通した方は…。」

「うむ。黒忍が白裂を貶めるために放った刺客だ。」

白き大兜が困り果てたように呟いた。

それを聞いたあすかは就任式の時のような不安げな眼差しをして、唇を噛んだ。

白き大兜が状況説明を続ける。

「もしあの刺客が陛下によって白裂国内における立場を得てしまえば、それは確実に黒忍による白裂への侵攻を惹起するだろう。」

白き大兜は少し沈黙した後、あすかを一瞥して言い放った。

「…貴殿が白裂の国難を招くとはな……。」

その言葉の重圧がのしかかる一方で、あすかは僅かな違和感を覚えた。

まるでその言葉に『白騎士』という人物が遥か以前からあすかのことを知っていたかのような感触を感じたからだ。

しかし、その言葉の真意を模索する程に、彼らの状況には猶予が残されていなかった。

「まぁでも、私もいたことですし、天剱さんだけの責任ではありませんよ。」

あすかと共についてきた監督者が優しく声をかけた。

「『守護騎士』は白裂城内外において、白裂王家に関係する全ての人間、建築、物品および、情報を守る者だ。どれだけ安全そうに見えたとしても、それらに危険を及ぼす者の侵入を許すなど、言語道断。…だが、同時に、相手はおそらく黒忍屈指の忍びの類だろう。貴殿ら二人であったとしても、侵入を防げはしなかったかもしれん。末恐ろしい刺客だ。」

白き大兜が現状を憂いて呻いた。

あすかは監督者の厚意に安堵しつつ、自らを含めた『守護騎士』の能力に不安を覚えた。

異国の諜報員とも呼べる存在が現れる中で、それを見抜けぬ『守護騎士』たちが白裂国家の安寧を守れるのか?

現状に対する危惧があすかに再び唇を噛ませた。

すると、突然、城内に爆発音が響き渡った。

ちょうど、あすか達が目指す天守閣へ続く扉の付近に煙が上がっている。

三人が駆け寄ると、天守閣への道とは異なる通路が何者かの爆発によって崩壊していた。

「まずい!刺客は複数人いるというのか!」

白き大兜が怒号を上げる。

「『白騎士』様、ここはお任せください。爆破行為に及んだ凶徒は私が捕らえます。」

監督者は天守閣へ続く扉の前で立哨していた『騎士』二人を連れて煙の中へ消えて行った。

「天剱殿、ここは彼らに委ねて、我らは天守閣へ向かうとしよう。あの刺客が陛下を誑かす前に。」

『白裂王家親衛騎士団』の(おさ)たる『白騎士』と若き精鋭天剱あすかは天守閣へ登るための階段を踏み締めた。

その静寂の中で、しかし、微かながら『騎士』の声が王の間から聞こえてきた。

「それを威圧と呼ぶのだろう…!」

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