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『白騎士』

白き『騎士』たちを照り付けていた灼熱は斜陽となって、今度は彼らの影を伸ばしていた。

しかしながら彼らの装甲が帯びる熱気は未だ持ち主を苦しめていた。

あすかはもうしばらくで日が沈むことに安堵の念を覚えた。

同時に、この日も一日、白裂城へ仇なす凶徒を招かなかったことを誇りに思った。

しかし、彼女はすでに、白裂ばかりか紅穂にまでも戦火を(もたら)す災いの使徒を城内へ入れてしまっていたのだ。

彼女が累陰の存在を凶徒として再認識するのに、そう時間はかからなかった。

黒忍の刺客を追う白き陰が厳かな足音をたてながら白裂城門を叩いた。

「我らが誇る『守護騎士』どもよ。白き清廉なる城門の『守護』、感謝申し上げる。熱き日輪の下、良く耐えた。」

その場にいるどの『騎士』よりも長く(いかめ)しい角を生やした大兜が、(わずら)わしいくらい大きな声で敬礼を行った。

すると、棘の沢山生えた触るだけで切れそうな籠手に鷲掴みにされて、一枚の皮紙があすか達の目の前に突き出た。

「して、この男を見なかったか?」

その皮紙には男が一人、人相悪く描かれている。

「あ、この方は…!」

あすかは誰に言われるまでもなくその男に気が付いた。

先ほどの旅人らしい格好をした使節団員だ。

あすかは彼の柔かな笑顔と恭しい口振りを思い出した。

その特徴を白き大兜に伝えると、彼は狂ったように叫んだ。

「その者だ!その者が刺客だ!彼奴をどこへやった!まさか、城内へ入れたわけではあるまい!」

言い終わる前に白き大兜から生える角が、城門を(くぐ)った。

傷だらけの甲冑から金属音をたてながら、城内へ駆けていく。

「使節団員とのことでしたので、城内へ誘導いたしました。…あのっ、この方は一体…?」

あすかも大兜を追うようにして城内へ駆けていく。

「『白騎士』様!お待ちください。…ああ、もう!君たちは引き続き警戒していなさい。」

それを見て城門の監督者が周りの『守護騎士』たちに行動を命ずると、彼も一足遅れて入城した。

『白騎士』、あすか、監督者の三人の『騎士』たちは縦列になって城内を駆けていった。

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