『白裂王家親衛守護騎士』
天剱あすかは『白裂王家親衛騎士団』の為に建設された兵舎で数々の座学や鍛錬を積み重ねた。
武術。
体術。
そして王家を守護するための精神。
それらについて学ぶ度にあすかは自らの成長を感じた。
そればかりか、あすかの抜群に秀でた実力は周りの者からも賞賛された。
模擬戦では他の『見習い』を薙ぎ倒し、学術の場においては論理が他を圧倒した。
更には、穏和な性格から来る対人関係の円滑さも彼女の株を上げた。
終いには、天剱あすかは今回の『見習い』たちの中で最も早く昇進するだろうと『親衛騎士団』から派遣された教官陣が噂を立てた。
それはまるで、彼女の母、天剱きょうかの後を追う様であった。
数ヶ月と経たない内に、あすかは『見習い』卒業をかけて実戦訓練に駆り出された。
あすかは討伐指令の下った目前の敵に対し、若さ故の恐怖を抱いてはいたが、持ち前の聡明なる頭脳と鍛えられた剣撃を以て実戦訓練を完遂した。
遂にあすかは『見習い』を終え、武家の出である事と本人の強い意志を評価され『白裂王家親衛守護騎士』に就任した。
彼女は幼い時より母きょうかに厳しく躾けられていたが、『守護騎士』に昇進した時には、優しく抱きしめられ、温かい笑顔を向けられた。
きょうかの口から出た言葉はもちろん、彼女への賛辞であった。
あすかの心象が至福に包まれたのは言うまでもない。
『科兎山戦役』勃発はもう少し先のことである。




