表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/45

害獣の群れ

四匹の中で最も体躯の大きな個体が遠吠えを上げた。

それを合図にするかのように三匹が一斉に少年と少女に飛び掛かった。

狼のような害獣の爪は鋼を抉らんばかりの鋭さを見せていた。

事実、爪に掻き切られたあすかの盾は微かに傷を残した。

白裂王家の紋章に傷が入る。

あすかは盾で爪や牙の被害を抑えると、反撃を加えるように強か狼を殴打した。

悲鳴を挙げながら吹き飛ぶ獣の四肢を、今度は達が引き裂いた。

自慢の斧を振り翳し、振り回して害獣の肉を断ち斬っていく。

よく見ると、達の斧は紅い火花を散らしていた。

斧の内部から漏れる紅彩はその斧が特殊な斧であることを示唆していた。

紅雨が降り注ぐ度に、斧の迫撃は激化した。

あすかが獣の凶撃を無力化し、達が斧を光らせる。

いつの間にか、襲い掛かってきた三匹は地に臥していた。

「なんて洗練された動きなんだ…。」

津雲は呆気に取られた。驚きを隠しきれぬ表情で彼ら二人を凝視する。

「…一人前の白裂王家親衛騎士にとって、こんなのは朝飯前です。私は…。」

あすかの呟きを掻き消すように、遺された害獣の親分が唸った。

それは遺された悲痛か、それとも…?

「後はお前だけだな。」

達が害獣の親分を睨んだ。

手に握る斧は内側から燃え、火花どころか炎を上げている。

「俺たちを襲ったことを後悔するんだな。」

達は斧を振り上げて駆けた。

空間に紅く尾を引かせながら斧を振り回すと、遂に、親分を斬った。

しかし、断末魔を挙げて壁に打ち飛ばされたのは親分よりも遥かに小さい個体だった。

「なんだと…!?」

確かに親分を吹き飛ばしたつもりであった達は思わず驚きの声を挙げた。

先程の遠吠えを受けてなのか、洞窟の奥から更に多くの害獣が群れを成して駆けてきたのだ。

その数は十数匹以上。

押し寄せてきた大群は津雲を含めた三人を完全に取り囲み、威嚇をして肉迫した。

「なんて数だ、撤退か?これは。」

達が身を低くし、片足を引いた。

「いえ、私は逃げないわ。白裂王殿下を…皇太子殿下を守ることからもう逃げたくはないのよ。」

あすかが苦渋の表情を浮かべ、達に反論した。

しかし、それは反論という形をした、暗い過去の吐露であった。

「王家を守る者として、眼前の敵から逃れることなど出来はしない。

…既に一度、王家を裏切ってしまったから……。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ