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軍事演習

清々しい朝日を受けながら、女性の教官が挨拶をした。

立て続けに本日の日程を説明し始める。

整列している少年少女たちの幾人かは、夜通し活動をしていたかのように眠気眼でそれを聴いていた。

鋭い刃の付いた弓を持つ少年は(たま)に首を縦に振っていた。

「本日は、一組三人に分かれて小手調(こてしらべ)程度の軍事演習を行なってもらうわ。これは昨日みんなに渡した『銀の絃』の使い方を学んでもらう意義も含まれているから、意欲的に頑張って頂戴。」

その教官は、自らも『銀の絃』と呼ばれる機器を左親指先に巻いている。

細長く、一見、ただの紐のようだ。

しかし、両端には微かに光を放つ四角い鋼鉄が幾何学模様を見せていた。

両端を彩る幾何学模様は人によって異なっていて、誰一人として同じものはなかった。

そのため、彼らが互いに取り違うことも、持ち主を見失うこともなかった。

「さて、組み分けをしましょうか。」

氷雪が学生の名前を呼んで組を指定する。

『特別軍事支援課』九名は、それぞれ三人ずつの三組に分けられた。

その分かれ方は、氷雪が決めたのだろうか。

(ある)いは、他の誰かが、ある一定の基準とともに組んだのか。

彼ら学生には計り知れぬ思慮があるのかもしれない。

組み分けを終えた津雲たちは氷雪とともに校舎の裏の方へ向かって歩き始めた。

道中、氷雪はこの軍事演習の目標を説明した。

「今日はかつて、この学園で使われていた演習場を利用させてもらうわ。演習場と言っても、今はもう誰も管理していないから、既に魔獣の巣窟となっているでしょうね。」

氷雪は悪戯っ子のようににやりと笑った。

鎖鎌を持つ目付きの悪い少年は大きな欠伸をして、面倒臭そうに説明を聴いた。

氷雪はそれを見逃さなかった。

「刃振くん。説明を聴いていないことで後で貴方が困っても知らないわよ。」

鎌士郎は罰が悪そうに舌打ちをした。

その後、すぐに溜息を吐いた。

「まぁ、いいわ。貴方たちにはそこで、棲み付いた魔獣を駆除してもらいつつ、最終的に『然るべき相手』と戦ってほしい。」

『特別軍事支援課』の面々に疑問符が浮かび上がる。

「あ、あの、氷雪先生。『然るべき相手』ってどなた…でしょう…か…?」

一人の女子生徒が弱々しく聞いた。

「ん〜……。秘密よ。」

氷雪は笑顔で答えた。

しかし、その内容は生徒たちにより一層、疑問を抱かせた。

校舎裏に着くと、そこには普段あまり人の立ち入らない小さな丘があった。

津雲自身は、入学以来初めて立ち入る場所に小さな緊張感を覚えた。

芳しくない予感を渦巻かせながら、人気のない丘に辿り着くと、丘の麓に扉が現れた。

錆び付いて、触れることを拒みたくなる扉だ。

そればかりか、開けようとしても(きし)んで上手く開かない。

氷雪はどうしたものかしらね、と呟いた。

それと同時に彼らの中で最も大柄な少年が快活な笑顔で躍り出た。

拒絶の扉は、斧を持った大柄な少年が体重を乗せ、力付くで吹き飛ばすまで、彼らの入場を許さなかった。

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