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一蓮托生

突如、図書館地下の天井が土埃を落とした。

地響きが唸るように聞こえると、夜の闇に隠れた何かが音を立てて弾かれた。

それは鎖のようなものが断裂した音にも聞こえた。

地下の奥の方で、影を(まと)った堂々たる体躯(たいく)(うごめ)いた。

地下に忍び込んだ少年少女四人に対し、あからさまな敵意と殺意を以て、その体躯は吠えた。

「弓弦くん、鎌士郎くん、氷柱さん、今は僕に協力してくれないか。」

津雲が危機感を持って号令した。

和解を()た彼らは静かに頷いた。

地下の天井に衝突しそうなほど大きな体躯がゆっくりと動き出した。

二足歩行の獣のような輪郭(りんかく)が暗闇の中で揺らいだ。

少年らを容易(たやす)く踏み潰しそうな(かかと)が石床を踏み締めた。

そうやって一歩ずつ彼らに近付いてくる。

氷柱が冷静に声を上げた。

「みんな『(しろがね)(いと)』は持ってるかしら。今日渡された連携を促す機器よ。」

「…っコレのことかい?」

弓弦は弓を持つ腕に巻き付けていた。

「…っ持ってるぜ。」

鎌士郎は鎌の柄と鎖を接続する部分に。

「もちろんだよ。」

津雲は大剣の柄の革紐に。

氷柱は首飾りのように提げていた。

母から教わったのだけれど、と前に置き、氷柱は説明を始めた。

「お互いの気魄(きはく)を察知して自動的に起動するらしいわ。機能は戦闘中において、使用者の動作認識の共有…とか言ってたけど、まぁ使ってみないと(わか)らないかしらね。」

一同はその説明に同意した。

すると、津雲が(とき)の声を挙げた。

「『特別軍事支援課』四名、目前に迫る巨獣を撃破する。」

それを合図に、弓弦が跳ねた。

空中を飛躍しながら巨獣の脚元に特殊な矢を放った。

刹那、その矢の軌道がその他の三人の感覚に明確に示された。

まるで未来予知を映像で観ているかのように矢の着弾する位置からその効果までが把握できた。

鎌士郎と津雲は顔を見合わせて笑った。

今までの戦闘とは一線を画する動きを可能にすることは明らかであった。

津雲の脳内に氷雪の言葉が蘇る。

“これを使ってあなたたちには一蓮托生、もっと仲良くなってもらうわ。”

その意味が体感として理解ができた。

お互いの戦闘中の動きや役割が言葉を(かい)さずとも理解できるのだ。

鎌士郎は嬉しそうに巨獣の背後へ回り込んだ。

すると、三人が感覚した通りに床に矢が刺さり、発光した。

照明弾。

彼らが視たものは巨獣の観察を目的とした光を放つ矢であった。

情報把握能力を()いた弓弦らしい一矢。

それを受けて鎌士郎は背後から巨獣を観察しようと迂回(うかい)したのだった。

光を受けて(あらわ)になった巨獣の全貌は奇妙な状態だった。

全身を覆っているはずの肉体はなく、ただ骨格とその中枢たる魂のような火の玉だけが空中に漂っていた。

()わば、獣の(むくろ)である。

生きていたら熊のような姿をしていただろう骸骨は、唐突に放たれた光を受けて、(いきどお)るように咆哮(ほうこう)を挙げた。

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