旅の道
町を出発して旅路は順調に進んでいる。
鋼の意思の魔法使いのシュワンさんが魔法を使っているらしい。
らしいと言うのも獣や魔物が近くに来ると停まって待ち構えて、モンスターが見えたと思った時には首が飛んでいるという手際なのです。
…正直、教えてもらっていなかったら今以上にわかっていなかったと思います。
でも普段は無駄な戦闘はしないでそのまま走り抜けるそうですが、依頼主の私のために安全第一で進んでいるようです。
「そろそろ休憩にするか」
そうこうしているうちに少し開けた場所にでた。
そこは人がよく休憩に使う場所のようで現に馬車がいくつか停まっていた。
シプナスさんが馬車を停めた近くには前の人がそのままにしたと思われる石を積んだかまどがあって、中には炭も残っていた。
グリアさんはそのかまどに少し燃料を追加して火をつけて、食事の準備をはじめてくれた。
することが特にない私は手近にある大きめの石に座った。
「どうぞ白湯です」
「あ、ありがとうございます」
座って一息ついたときにグリアさんが白湯を持ってきてくれた。
白湯をすすっているとふと疑問に思った。
「あの、私、みなさんに護衛してもらう所は馬車は通れないって言いましたよね?」
そうダンジョンのある場所までは馬車が通れる道がないのである。
これのおかげで安く買えたけど不便であることに変わりはなく、もし言うのを忘れていたなら大変なことだと思い聞いてみた。
「いや、近くにある村で馬車を預けてから歩きだすつもりだ」
「それならよかったです」
その後もいろいろな話をして頷いていると
「皆さん、食事ができましたよ」
グリアさんがそう言って私たちに食事の載った木の皿を渡していく。
「それじゃ、飯にするか」
食べた後すこし進んだところで日が沈みはじめ、今日はここまでとなり野営となった。