旅立ちの日
ダンジョンを購入してから数日、残ったお金を使ってダンジョンまでの護衛クエストを募集した。
そして今日、遂に依頼した護衛メンバーが集まったそうで、冒険者ギルドに行ってみるとすぐに冒険者パーティーの『鋼の意思』を紹介された。
「俺はこの鋼の意思でリーダーを務めるシプナスだ。よろしくなお嬢ちゃん」
「私はリア・ミスリードです。こちらこそしばらくの間よろしくお願いします」
シプナスさんはがっしりとした体で、背中には大きな剣を背負っていた。
顔にはいくつか傷跡があり、身長が高くこちらを見下ろすようになっていることも相まって怖く思うけど、同時に歴戦の戦士のようにも感じた。
鋼の意思のパーティーはシナプスさんを含めた4人メンバーで、シナプスさんから残りのメンバーを紹介してくれた。
急所のみを守るように作られた軽い革鎧を着て両腰に短剣を下げた斥候で女性のグリア
ローブを羽織って捻じれた木の杖を持った魔法使いで若い女性のシュワン
黒い修道服(通称スータン)に十字架の首飾りをかけた支援役の細身の男性ランビエ
というバランスを重視したパーティーのようです。
シナプスさんと話し合って、明日の朝に荷物を取りに来てくれることになった。
荷物は既にまとめてあるから移動の間の食事を準備しないといけないね。
ということで宿に帰る途中で色々な保存食とちょっとした道具を買い揃えた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
予定通りの早朝に荷物を受け取りに宿屋まで馬車を走らせて来てくれた。
「遅かったかな」
「いえ、私が早く起きすぎただけですから気にしないでください」
私ははにかみながらシプナスさんにそう言った。
ダンジョンが楽しみでいつもよりも早起きしたなんてとても言えない。
自分で考えて恥ずかしくなってきた私はさっさと荷物を積んでもらい町を出ることにした。
「それでは行きましょうか!」
シプナスさんは頷いて手慣れた手つきで荷馬車に乗り込んで馬を牽いてくれた。
いざ、ダンジョンへ!