66.婦人科医を作れ!
うっす、ミランダだよ。
ティルとの密約…もとい自分事の今後のために、現代で言うところの産婦人科を作りたいと思いたち、今は文献調査を始めたところ。
1ヶ月ほどたったけど、分かりたくなかった現実を突きつけられた感じ。
あのね、無いのね。そういうの。
日本では産婦人科というけれど、今欲しいのは”婦人科学医”が欲しいと思うのよ。
ただ、そういった分野の研究を進めている医師がいなさそう。
それと、この国男性医師しかいない。
いや、今だって日本の産婦人科医は半分以上が男性というので、高望みかもしれない。
ただよ、基本的に異性に肌を見せるのは、何がアレな時しかないような国で、男性医師に股おっぴろげるなんて、もってのほかだ。
じゃあ、女性医師を育てるしかないが、そんなもの直ぐ育つわけはない。
しかも、医者の基準がとっても曖昧。
民間治療の薬剤師も医者だし、祈祷師だって少しは現役だという。
ティルよ、まず医療改革じゃね?
「というわけで、まずは医療改革じゃねーかと思うのよ」
「それは今、父上がやっているよ。そこに産婦人科をねじ込もうとしてる」
「かーやっぱり偉い人は、先に思いつくもんだね」
「あーえーとね…それミランダのせいらしいんだ」
「私が何をしたっ」
そんな話聞いたことないぞ。
「5歳の時高熱を出して寝込んだって言ってたろ?そのあと記憶喪失になったせいで、ミランダの病気を見ていた王城勤めの医者だと豪語していた人は、ヤブ医者騒ぎになって失脚してね。宰相、つまりはミランディール公爵が医者の基準を決めないとダメだと…今に至る」
あーそういうこと。
そういえばあの時、ヤブ医者だって飛び出してったような気がするぞ、お父様が。
それで医療改革に手を出していたのか。
「すでに、内科医は資格が必要になったのと、薬剤師が登録制になったでしょ、次が外科と、徐々に範囲を広げているんだよ」
「そこに産婦人科をねじ込むと」
「そうだね」
なかなか考えているなティル。
王子の提案としてねじ込むつもりなんだな。
「ところでティル。この国の女性医師人口は0人だけど、どう思う?」
「うーん、厳密には違うんだよねソレ」
ちょっと難しい顔をしたティルが、頭をひねりながら答える。
なんだよ、厳密にはって。産婆を含めるのか?
「実はね、女性錬金術師や親が医者の娘や妻は、医療行為を補佐したりしていたんだ」
「看護師ってニュアンスじゃなく?」
「うん、ちゃんと医療行為だね。ほら、未婚女性の裸を男が見るわけにいかないだろ?貴族は特に」
「あーなるほど、そういうののサポートか」
「そう、それで何となく医療行為は行っているし、女性特有の病気と言われている物にも精通している人たちがいたんだよ」
「いたんだよって、もう調べたの?」
「うん」
「はえーな、こういうことやらせると…」
ティルよ、まぶしい笑顔を向けるんじゃない。
神々しすぎて直視できん。
「というわけで、ミランダにも協力してもらって、産婦人科ってものを確立しようと思う」
「私何を手伝えばいいの?置いてけぼり感すごいんだけど」
ティルが真剣なまなざしを向ける。
「場所と体かして」
「草」
なんだよ体貸せって、人体実験か?
「すでに数名に声をかけたんだけど、そういった女性の医療従事者からは好感触なんだ、ミランダが後援すると言えば、研究は飛躍的に進みそうなんだよね」
「そういうことでよければ、場所ぐらい幾らでも貸せるように、お父様に聞いてみるけれど、体貸すってなにするのよ」
「新型ナプキンとか、痛み止め薬の被験者」
「おい、こら婚約者」
「これに関しては、ミランダが実際に来てからの話だけどね」
「そうだろうさ、まだお子様だぞ私は」
「それまでは、研究者同士で互いを被験者にするっていうから、2年後にはある程度形になって、ミランダに届けられるんじゃない?」
「…それを私が使っていると宣伝して、国に広め、あわよくば隣国への輸出もって事か」
「そゆこと」
抜け目ないなティルめ。
本当に、こういうことはティルのほうが上手だな…悔しいぜ。
ミランディール公爵家はこの提案を受け入れてくれるのか!?




