43.ドッティール殿下の誕生日(1)
日も登らぬうちにたたき起こされるという、久しぶりの所業をお見舞いされて、先日ティルから届いたドレスに着替えさせられ、今は馬車に揺られております。
朝飯食ってねぇんだが?
とはいえ、これ以上悪態吐くのはやめる。
今日は昼からティルの誕生日なのですよ。
殿下は10歳の誕生日、つまりは婚約者の発表というわけ。
上位貴族は既にもう私が婚約者に決まったことは知れ渡っているといってよく、知らないのは伯爵以下のお家ぐらいなモノであろう。
なぜって?
ドールハウス開発の関係もあって、私の家にばかりティルが来るから。
一応候補として挙がっているトランスティーナ様の家には一度も行っていないのにね!!
ぶっちゃけ、内々にはもう私で確定ということで、アークレイ公爵家にはご連絡が入っておりまして、トランスティーナ様は思い人の侯爵令息が婿入りすることになったんだそうな。
トランスティーナ様曰く、男らしくも可愛い人とのこと。
さいですか、愛ですわね。
本日のドレスは、ティルの髪の色に近い、イエローのプリンセスラインのドレスに真っ赤なルビーの首飾りと髪飾り。こっちは瞳の色やね。
完璧に所有物アピールを施され馬車に押し込まれて15分。
意外と道がすいていて早く着いたわね。
こないだのお茶会の時は30分はかかったのに。
王城裏のエントランスに馬車が停車して、御者の人が扉を開けてくれると、そこにはティルが待ち構えていた。
「ミランダ!今日はとっても素敵だね!」
「おはようございますティル殿下。素敵なドレスを送っていただきありがとうございます」
「うんうん、ミランダはお人形みたいだからドレスの選びがいがあったよ」
そんなこったろうと思ったぜよ。
前世の彼女はコスプレもしていたらしいからな。俺たちが付き合ってた頃にはもう卒業していたので、過去の写真しか知らないが、たしか女性に人気があった少年漫画作品のコスしとったはず。
そういう意味では、いまじゃ男性になってしまったことで、女性ファッションを楽しみたい欲求を私で吐き出しているのかもしれない。ゆるす。
私も可愛い衣装着たかったしな!
折角女の子に生まれたのだからオシャレもしたいわよ。
お金かける気はないけれど。
一緒に来た両親と共に、ティルに連れられて王城の控室に。
てか、王子に案内させていいんかな?
後ろについてきている両親に目線を送ると、微笑ましく眺められていた。
あ、そう。いいのね?
「じゃあ、ミランダ昼食会が始まったら迎えに来るから、一緒に入場だからね」
「わかりましたティル殿下」
なんだよ、ティル変な顔して。
ん?耳を貸せって?
「…殿下って辞めない?」
「せめて婚約発表するまでは表向きは殿下と呼ばないと不敬でしょうがよ」
「じゃあ、婚約発表後は呼び捨てにしてね」
「あいあい、あと覚えてろよ」
「わかったよ、約束したからね、今度付き合う」
離れて二人でにっこり微笑みあって、お別れ。
「仲睦まじくていいわね」
お母様が嬉しそうで何よりですが、この裏で欲望渦巻いていることには気が付くまい。
実は、ティルからドレスが送られてきたときに、着せ替え人形になってやるから、ティルも付き合えという密約を取り交わしている。
折角美少年美少女に生まれたんだから、いろんな衣装を着せたいし、私も着てみたい。
イケメン美少年を男の娘にしてみたいという欲望を満たしてもらうのだ。
数着ティルサイズのドレスを作らせたりと準備を進めている。
どんな感じになるかなぁー
あ、ウィッグも用意しとかないとね。
高いんだよなウィッグ…
まだ、恋愛というより、利害関係が一致した悪だくみのお友達な気がしないでもない二人…




