36.社交シーズンのお茶会
社交シーズンがやってきましたよ。
先月突然押しかけてきた王子のおかげで、ぬいの量産体制が整いまして、本日のお茶会と、夜のお母様が開催する夜会で発表することになりました。
王子の食いつきがすごかった。
うちの派閥はもともと紡績業がつよいのはあるんだけれど、王家お墨付きということで、お父様はごり押しされたらしく、私の型紙とデザイン画が押収…もとい参考として提出させられ、今日のお茶会まで取り上げられていたわけ。
まぁその間に型紙作り直して、もう数体ぬいを増やしたんだけどさ。
下町が舞台の、男爵令息と平民の商人が街で起こる様々な事件を解決する、推理小説のキャラをつくりましたわよ。
この作品、ライバルキャラに伯爵令嬢とそのメイドというコンビがいる。
メイドがおてんばな伯爵令嬢をしっかりと支えていながら、高位貴族が犯人の時、メイドがピンチになると駆けつける結構かっこいい役どころだ。
意外と互いに支えあっていて、百合な関係性がある。
ほのかに漂う百合成分が最高にいいのよ。
なので、この二人も作ったりした。
さぁ!お茶会の開始ですわよ!
今日は室内で行うので、いままでもらったぬいぐるみとは別に、テーブルに完成品のぬいを並べて、お客様をお出迎え。
マーガレット様の食いつきがすごい。
ほかの伯爵令嬢や子爵令嬢も結構食いついている。
なお今日は、カーシャ様のほかに、こっそりトランスティーナ様も来ていたりする。
あの後、じんわり仲良くなって、何回かお茶をしていたりする。
彼女、やっぱりかわいいものが大好きなようで、我が家でのお茶の際は必ずぬいぐるみをだっこして、お茶をしている。
「家では絶対見られないお姿です」とはトランスティーナ様付きのメイドの話。
お家ではかなり大人びた感じでおられるらしい。
メイドさんとの信頼関係がしっかりされてるのね、ご実家からのお咎めもないもんね。
「皆様、今日はお越しいただきありがとうございます。本日発表したいものがございます」
皆が集まったホールで、テーブルに並べてあったぬいぐるみの後ろに立ち声をかける。
おお、注目されている。みんな興味津々で見てたもんな。
「ご紹介いたしますのは、新しいタイプのぬいぐるみ、キャラぬいです!」
わっと拍手が起こる。
興味なくても付き合ってくれている令嬢の方たち、ありがとう。私高位貴族だから機嫌損ねるわけにいかないもんね。
でも後で忌憚ない意見を聞きたいので、ぜひ手に取ってね。
「是非皆様におさわりいただいて、ご意見をいただきたいと思っております。モデルは様々な小説のキャラクターを作ってみましたの。明日にはミランディール家が持つ服飾店に並ぶ予定ですわ!」
お、何人か目がキラキラしている。
意外とほしい人が多いようでよかったよ。
私が個人的に満足するだけかと思ったからね。よかったよかった。
「私は、このアルベド様とルベド様が欲しいですわ」
「私は探偵コンビがいいですわね」
「さわり心地もよいですわ。ほかの小説の子たちも欲しいですわね」
うんうん、なかなか好感触。
ほら、やっぱりこっそり皆重ねてるじゃない。
やるだろ?絶対
「…必ずやりたがるんですね、あれ」
リサが声をかけてきた。
「そうでしょう?みんなわかってるのよ」
「腑に落ちません」
そうか、理解できないか。
ただこれは売れるぞ!
ふっふっふ、これでもっとお金が稼げるだろうさ。




