31.敵の敵は味方ではなかった
今日はトランスティーナ嬢が来まーす。
表向きには、アークレイ様と呼ばないとだめよね。
てか、本当に来てくれたよ。
最悪親に止められて、来ないと思っていたもんな。
しっかりと状況を説明して、ぜひトランスティーナ嬢に将来の王妃になってもらえるようにしなくては!
「お招きいただき、ありがとうございます。ミランディール様。今日はあいにくの曇り空ですが、先日お会いした時と変わらずお美しいですわね」
「お越しいただき、ありがとうございます。アークレイ様。あいにくの天気ではありますが、アークレイ様の御美しさを見れば、この天気も気にはなりませんね」
うぅ、がっつり貴族的な挨拶なんてふだんしねーから肩がこるぜよ…
「早速ですが、私の部屋にご案内いたしますわ。おいしいお茶とお菓子をご用意しておりますの」
「そうですわね。ここでは話せないこともあるでしょう。よろしくお願いいたしますわ」
ホホホホ、ウフフウフ。
こえーよ、わたしらまだ一桁歳やぞ。
こんな年齢から貴族のあれこれで雁字搦めなんていやだー。
だが仕方がない、お互い敵対派閥、ましてやトランスティーナ様は敵地に乗り込んできている感覚だろうから、肩ひじ張ってないとお連れの人に、あとから言われてしまうだろうし…
「こちらですわ、少々遠くて申し訳ありません」
「いいえ、ミランディール家は我が家と比べ大差ありませんわ。むしろ狭いとさえ感じます」
うぉ、嫌み攻撃だ。
アークレイ公爵家は中道右派、我が家は国王派だけど穏健派なので、中道左派のカーフテトラと仲が良いのよね。
アークレイ公爵家は貴族がより権力を持つ側へという感じ。現在の世界の潮流とはちょっとずれがある。
きっとお家もうちより広くて豪邸なんだろうさ。
早速部屋の中に入ってもらったのだが、出迎えるのは我が家の大量のぬいぐるみたち。
綺麗に整列してテーブルの周りにおいてありますよ。
最近できたぬいたちも参列させている。
お、トランスティーナ様の顔が若干緩んだ。しめしめ。
「ミランディール様は、ずいぶんぬいぐるみをお持ちですのね」
「はい、5歳の時、高熱を出して寝込んだ際に頂いたぬいぐるみたちがメインですが、今も大切にしております。アークレイ様はお好きですか?」
「え、えぇまぁただ私、もうぬいぐるみで遊ぶような年齢ではございませんので」
「遊ぶといっても、私も今は愛でている程度で、もっぱら作っておりますよ」
「ぬいぐるみを作る?」
「はい、これとかがそうですね」
そういって円卓の賢者たちをテーブルに並べる。
「まぁ、かわいらしいですわね」
「そうでしょう?これならカバンの中に入れて一緒に連れて歩けるんですよ」
「ミランディール様、本題は王太子殿下についてでしょう?」
お、早速切り込んできたな!では早速切り替えそう。
「はい、私、王太子殿下には興味が…」
「その件ですが、ぜひミランディール様にお譲りいたしますわ」
「な、なんですとぉー!?」
私が考えていた戦略がこの時すべて瓦解したのである。
大した戦略でもないけれどさ…え、なんで?どうして?
皆さま、いつも誤字報告ありがとうございます。
自分ではどうしても発見しきれなくて助かっております。
これからもよろしくお願いいたします




