26.おい、勝手に来るんじゃない。
うっす、ミランダっす。
本日も機嫌は最悪っす。
また日も登らぬうちからたたき起こされ、体を隅々まで磨かれ、化粧をされ、発注した記憶のねぇドレスに着替えさせられて、またロビーに打ち捨てられました。
あのねぇ打ち捨てられるまでに4時間ですよ。
4時間ですよと。
今日はねぇ追加でリサが持ってきた物語の、男性主人公たちのぬいを作ろうかと思っていたんですよぉ。
それがですよ、何の説明も無しに4時間も拘束され、この有様ですよ。
まぁ言葉のあやであって、別に本当に打ち捨てられたわけじゃないけれどさ。
眠いのなんのって。
この流れ、絶対王族関係。
「今日は王子殿下がいらっしゃいますよ」
今度こそ聞いてないぞお母様。来るってか。来るんじゃない。
思わずしかめっ面をしてしまうと、お母様から軽くデコピンをもらう。
くそぉいてぇじゃねーか…
「もうすぐドッティール殿下がいらっしゃいます」
我が家の執事セバスチャンがお母様へ報告に来た。
先触れが着いたか…もう逃げられんな…朝たたき起こされた時点で逃げられなかったわけだが。
何が楽しくて王子とまた会わねばならんのだ…
しばらくするとお母様に連れられのそのそとロータリーへ。
11月とは言えすでに9時半。
今日はとても良い天気でポカポカしている。
寝てもいいですか。
「起きなさいミランダ。不敬ですよ」
「あんな時間に起こされて無茶を言わないでくださいまし…」
冬が近くなって空気が澄んでるから昨日も天体観測して夜更かししてたんだよ。
ちゃんと前日に言えって。
「ミランダちゃんは言ったら逃げそうだから黙っていたんです。日ごろから規則正しい生活をしなさい」
「…はーい」
くそったれ、よまれてやがる…
先駆けの騎士の人がもう着いちゃったよ。
それに続いて黒光りした高級馬車が入場してくる。
王家の馬車なのにずいぶん地味だな。
エングルービングもされてねぇし王家の紋章もないじゃん。
本当に王子殿下きたのか?
目の前に馬車が止まると従者の人が先に降り立って扉を開ける。
「ドッティール殿下のおなりです」
えぇみりゃ分かりますよ。
くそ、女顔のイケメンが下りてきやがったぜ。
前のお茶会の時と同じようにキラめく金髪に、赤みがかった瞳、まーた下手すりゃ女性より色白なんだよ。
王族なんだから体も鍛えてるだろうけどれど、細身だし…うーん女装させたい(不敬)
「ようこそおいでくださいましたドッティール殿下、わざわざおいでいただきましてありがとうございます」
お母様があいさつするので合わせて頭を下げる。
「お気になさらず、こちらが無理を言って急に押し掛けたのでかしこまらないでください」
では、頭を上げてお庭の方へ。
貴族としても仕事だ、仕方がねぇちゃんとお茶会は付き合ってやるぜ…




