勇者の称号の意味(1)
「生物の三大欲求をご存じですか?」
「食欲=餓えから来る食べたいと言う欲求」
「睡眠欲=疲れているとき等に眠たいと思う欲求」
「そして、性欲=強い子孫を残したいと言うこの世で最も罪深くも美しい」
「美と穢れの両極端を持った欲求……」
「アナタは如何なのかしら?」
女神なのか魔女なのか分からない、
怪しくも美しいその微笑の婦人はクスクスと囁いた。
それ以前にこの状況自体訳が分からない。
自分が誰で、此処が何処で、今まで何をしていたのかすらも分からない。
「あぁそうそう」
「流石に自分の名前ぐらい知っておきたいですよね?」
微笑の婦人はまるで悪戯っ子が早く聞いて欲しそうに
此方を見つめた。
「教えて……下さい?」
自分の名前を知りたい筈なのに、知りたくないような
あやふやな感情が自身の心の内に渦巻く。
「レン」
「それがアナタの名前」
そう告げるや否や謎の微笑の婦人に口吻を奪われ
身体中が発熱を興して動く事は疎か声すら出て来ない。
「アナタにはこれより、勇者の称号を捧げると共に
ある世界へ行って貰います」
「そして、その世界で何をするかは総てアナタに一任いたします」
あまりの展開の早さに付いていけない。
「勇者として魔王討伐も良し」
「帝国の侵略者と戦うも良し」
「自身探しの旅をするのも良し」
「神々や人間相手に戦争をするのは……
あまりお勧めはしませんが、まあ良し」
「そ・れ・と」
「勇者の称号を持つ以上は気を付けて下さ~い」
そう言い残して辺りが暗転した。
名前『レン』
種族『人間』
属性色『不明』
タイプ『不明』
サイズ『L』
スタイル『中量』
説明
「この作品の主人公で記憶と思い出の総てを失い
謎の微笑の女性から勇者の称号を受け取り
何処か分からない世界へと連れて来られた」