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077 重大な問題

「ああもう本当に心配してたよー! 透夜くん! ソーニャ先輩!」


「落とし穴はすぐに閉じてしまいましたし、スイッチを踏んでも二度と開かないしで、すごく不安でした」


「ごめんなさいね、絵理、杏花……」


 合流できた絵理と杏花に向かって頭を下げるソーニャ。


 落とし穴に落ちたとき、透夜は気にしないでとは言っていたが、自分のせいで離れ離れになったのは事実だ。


 しおらしい先輩を前に、絵理と杏花は慌ててフォローするかのように明るい声をだす。


「まあでもこうして合流できて良かったです! ね、杏花ちゃん!」


「ええ。本当にお二人とも無事でなによりです」


 そんな後輩の少女二人に、ソーニャもようやく笑みを浮かべた。


「ありがとう。そちらは大丈夫だった?」


「ええ。この広間に他の落とし穴があるんじゃないかってずっと調べてたんですけど、敵も現れませんでしたし」


「透夜君とソーニャ先輩のほうはどうでしたか?」


「こっちは初めて見る敵がいたよ。全身にトゲがびっしりと生えてて二足歩行する魔物。ソーニャ先輩と協力してなんとか倒せたけど」


 透夜が隣のソーニャに視線を送り、彼女もうなずく。


 その言葉に杏花も過去に見た敵の姿を思い出した。


「全身にトゲがびっしりですか……上の階でも似たような魔物がいましたね。全身ではありませんが、腕がトゲだらけの」


「そうね。たぶんそいつの上位版だと思うわ」


 かつて上の階で見たその敵は身長もせいぜい1メートルくらいだったと記憶している。透夜の背丈なみの高さがあった上位版に比べてはるかに小さかった。


「けっこうしぶとかったわ。私のファイアージャベリンを喰らってもまだ立ってたもの」


 さすがに上の階にいた小さい方に火の槍をぶつける機会はこれからもなさそうだが、おそらくファイアージャベリンなら一撃で始末しておつりがくるはずである。


「それに全身がトゲに包まれているせいで、上にいた魔物よりもさらに接近戦がやりづらくてね……アースバインドで動きを封じたりもしたよ」


 言い添える透夜の言葉に、絵理は深々と頷いた。


「覚悟はしてたけど、まだまだ知らない敵はいっぱいいるってことだね……」


「そうですね……これからも気をつけて進みましょう」


 杏花の発言にもちろんいなやがあるはずもない。全員が瞳の中に新たな決意を込めた。


「……ところで重大な問題があるんだけど」


 そんな仲間たちを前にして、透夜がとつぜん深刻な顔で口を開いた。


「ど、どうしたの透夜くん?」


 いったい何があったのかと、尋ね返した絵理だけでなく杏花とソーニャも透夜に注目している。ひょっとして、さきほど落とし穴に落ちた時になにかあったのだろうか。特に透夜を巻き込んでしまったソーニャは気が気でない。


「その小さい方はトゲトゲって名前で呼んでたんだけどさ、上位版はどう呼べばいいのか思いつかないんだ」


「それぜんぜん重大でもなんでもないよっ!」

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