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039 クラスメイトがこの階層に来ている?

 続いて左側みっつめの通路へと入っていった三人。


 やがて一度右に曲がった先の突き当りに扉があった。


 今回は壁の横にボタンがあるタイプの扉だ。特に怪しい気配もなく、透夜はそのボタンを押す。


 扉は音を立てて上昇し、新たな空間が三人の前に広がった。


 そこは他に出口のない行き止まりの部屋であったが、透夜たちの顔に喜びの表情が浮かんだ。部屋の一画に泉があったのである。


 敵はいないし広さも申し分ない。室内を調べてみたところ特に怪しい点もなかった。


「ここでいったん休憩しようか」


「そうですね。ちょうどいいですしお昼ご飯にしましょう」


 透夜たち三人は腰を降ろし、魔法で火を起こして食事をとる準備をする。


 もはやモンスターの肉を食べることに慣れてしまっている三人の昼食はつつがなく終わった。


 食事を終え、休憩がてらしばらくは取りとめのない話に花を咲かせたあと、三人は立ち上がって再び探索を開始した。


 来た通路を戻り、やがて階段前の広場が見えてくる。


 しかし通路から一足先に出て階段の方に顔を向けた透夜が立ち止まり、訝しげな顔をした。


「どうかしたの?」


「……ファンガスが死んでるみたい」


「え?」


 尋ねる絵理に透夜が見たままを答え、杏花が驚きの声を出した。


 絵理、杏花もすぐに透夜に並んでそちらの方を見つめる。


 すると確かに、ファンガスらしきものが床に倒れているのが見えた。場所はまだ透夜たちが踏み込んでない通路のちょうど入口付近。


 あの場所でモンスターを倒した覚えはもちろんない。そもそもこの階ではまだファンガスを見かけたことすらなかった。


 透夜たち三人は走ってその場へと向かう。


 そこにあったのはやはりファンガスの死体だった。見たところ、刃物か何かで真っ二つにされているようだ。四階で出会ったあのハイエナのような獣のしわざというわけでもなさそうである。


 通路の先に視線を向けてみると、他にもモンスターの死骸らしきものが床にちらばっているのが見える。


 自分たちが昼の休憩を取っている間に、何者かがこの階にやってきて先へ進んでいったということだろう。


「ひょっとして……クラスメイトの誰かかな?」


「そうかも……」


 透夜たちは顔を見合わせる。


「どうする? 追いかけてみる? といっても、どうせ僕たちもこの道を進むしかないけど……」


「ええ。やはり気になりますから……行ってみましょう」


「うん。あたしもかまわないよ」


 透夜は二人がはぐれていた理由からして、その誰かの後を追っていいものか少し迷っていたのだが、当事者の二人は先に進むことに異論はないようだ。ならば透夜がわざわざその決意に水を差す必要もない。


「分かった。じゃあ行こう」


 透夜の言葉にこくりと頷く絵理と杏花。


 何者かの姿を求めて、透夜たちは新たな通路へと足を踏み入れた。

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