アバターガチャ騒動
知る人ぞ知るMMORPGでのフレンドさん達との触れ合いのちょっとした場面を描いてみました。
アバターガチャ騒動
月末最終日の日付変更まであと少し。
連戦を繰り返し0:00ピッタリにパーティーは解散される。
月初めにショップに並ぶ「アバターガチャ」が連戦中の話題になる。
「かわいい服だといいな」
「今回は全部揃えたい」
「来月こそ」
なんて会話も楽しみの1つだ。
とあるMMORPGでのお話である。
そもそも「アバターガチャ」とはなんぞや?
説明しよう。ちゃんとできるかは疑わしいが、こういうものだと伝わればいいなぁ(弱気)。
少し古いゲームである事はあるのだが、運営が続いている良質なゲームと言っていいだろう。いいよね? やってる人にとってはそうなんですよ。もう敬語使うのか、タメ口で行くのかハッキリさせてもいいところなのだが、まぁ辛抱してくれるとありがたい。いえ、ご辛抱ください。
ざっくり言うとね?
最初に、自分のプレイするキャラがメイキングできるんですよ。名前、性別、髪型、髪色、表情、初期の服装などなど。最近の凝ったものでは無いので決めるのはこれだけなんだけど、まぁ種類が多い。楽しいんですよね、キャラメイク。
いざ作ったキャラが動き出す感動もあるものの、最初のチュートリアルにのめり込んじゃって、あれよあれよと勝手にレベル16になってしまう。そしてようやくじっくり自分のアバターを眺められるんですが、これがまた楽しい。
チュートリアルが終わって、自由に動き回れるようになるとモンスターを倒したくなるじゃないですか?
倒すじゃないですか?
そうするとね、装備品がモンスターからゲットできてしまうんです。
ここまで割と普通ですね。いや、この先もですよ?
で、この初期の装備品を装備すると、見た目が変わるんですね。今動かしているキャラが、今モンスターからせしめた(今後ドロップ品と表現)装備に着替えてくれるんですよ。最近の凝ったゲームなら当たり前のシステムですが、ドラ〇エ初期からやってた人には衝撃です。勇者の見た目なんて変わったこと無かったから、どれだけ弱い装備だろうが、強い装備だろうが、ずーっと一緒の見た目でプレイしていた人からしたらそれはもう嬉しいものですよ。
で、初期に手に入れられる装備ですが、そりゃぁまぁアレです。弱い上にかっこいいとは言い難いものが多い。当たり前っちゃ当たり前ですね。例えば栗の形の帽子とか、アバターの頭より2倍くらいでっかいバンダナとかね。
初期の装備だけではなく、最新の装備も色々と形が面白いものも多いんです。能力値が凄く高くて素晴らしいんですが、他の装備との兼ね合いがマッチしない。地味な剣持ってるけど、ど派手な盾構えたり、可愛い杖振り回しているけど胸当てが筋骨隆々のものだったり、色合いが合わないんですね。最強装備と言われるものを揃えても見た目はぜんぜんかっこよくない。
ここでようやく「アバターガチャ」の登場ですよ。
画期的です。服装、装備品、装飾品と3つの見た目を変えられる素晴らしい商品がショップで買えるわけです。ちゃんと色合いも然ることながら、デザイナーが手掛けたオシャレな、そして魅力的なアバター服が用意されるんです。買いたくなるのも肯けます。だって最強の装備でも、だっさいんだもの。
しかも月ごとにオススメアバターなるものを紹介してくれるわけですが、これがまた「商売上手め」と言いたくなる仕様なんですよね(笑)
どういうことかと言うと、オススメアバターガチャの装備3種類、服、装備品、装飾品が揃うと、ゲーム中の貰える経験値やモンスターから得られるドロップ品の中でもレアドロップというものの得られる確率が上がるんです。おわかりですね?
特に服はなかなか当たらないんですよ。レアなんですね。だからガチャ回すじゃないですか? 当たらないじゃないですか? またガチャ回すじゃないですか? 儲かってますよね、確実に。「商売上手め」
だけどこれまた救済策とでも言いましょうか。毎日ログインしてるとですね、「ガチャチケット」くれるんですよ、運営さん。10枚くらいかな? いい仕事してますよね。
ガチャチケット回すじゃないですか? 当たらないじゃないですか? またガチャ回すじゃないですか? で、10枚使っても服は当たらないことの方が多い。それじゃ、課金して回すじゃないですか? もったいない? うん。でもね、奥さん。服あるなしで、その月のレアドロップ品に差が出るんですよ。圧倒的な違いを残してね。そうして服が当たるまでガチャ回す人が多いと聞きます。「商売上手め」
で、ですよ。当たったんですね、服。アバターガチャチケット10枚と1枚のガチャチケットを使って。そうです。お金かからずにです。
勝利を確信した私はショップから急いでゲーム中へIN。そしたら残ってたんですよ。
さっきまでご一緒したパーティーメンバーさん達が。
自慢したくなるのを堪えます。まずは様子見ですよ(笑)
そしたら案の定、服は当たってないそうです。ニヤリ。
「服あたた」
服当たったって言いたいけど、メンバーさんには通じるんですちゃんと。ゲーム用語かはさておき、「っ」を入れなくても通じちゃう軽さがいいですね。もちろん人を選んで発していますよ。仲良いメンバーやその仲間たちの間ではお堅い話では距離感じますしね。いやぁ、良い仲間をもって幸せです。
そして会心の笑み(ゲームだから見えません)でドヤるわけです。
でもみんな羨ましがる前に言ってくれるんですね。「おめでとう」って。癒されます。
「見せて見せて」
とせがむフレンド登録者(以降"フレさん")とパーティーメンバー(以降""パテメン)。
待ってな。この輝くドロップアバターを、目をかっぽじって見るがいい。
結論から言うとね。
大爆笑されたよね。
私も思わず発しました。
「だっさ」
何がって?
そりゃ、もうおわかりでしょ?
11枚のガチャチケットで手繰り寄せたあの"オシャレアバター"がですよ。
私は絶賛したはずです。デザイナーが描いた絵を元に作られたアバターですよ? オシャレに決まってるじゃないですか!
えー。
なぜ「だっさい」のか?
聞きたい? 聞きたいですよね? いや、聞いてくださいね、お願いだから。
言いましたよね? キャラメイクが楽しいと。
5年間こだわってなんの変更もしてこなかったキリリとした瞳。輝く金髪。なびきそうなイケ髪型。気に入ってたんですよ、すごくね。このキャラだけは消すことなくずっと使い続けてたんです。愛着半端なかったんですね。そして着せていたアバター服は和装ですよ。着崩した感じの、着物教会からは絶対着物と認定されないカスタムされた白と青を基調としたカッコイイアバター服を着せ、脇差を差し、なぜか自慢のキリリとした切れ長の目をサングラスで隠すという暴挙ではあったものの、気に入ってたんです。
そして入手した新オシャレアバター。
かわいい服ではあるんですよ。
オシャレアバター服の特徴をもうひとつ。
女性キャラと男性キャラでは仕様が異なると言いますか、同じアバター服でも性別によって見た目が違うんですね。そして女性キャラに着せるとこれまた可愛いんです。もうおわかりですね?
私がこだわりを持つアバターは男性キャラなんですよ。言いました、かわいい服ではあると。
じゃぁ、「だっさい」のはなぜ?
その服ね。
なんと
下の服が
「短パン」
なんですよ!
酷くないですか!?
なにゆえ「短パン」なんだよ。
デザイナーさんはきっと悪くは無い。だって全体的にオシャレなんだから。描かれたアバターガチャの宣伝バナーも良いものでしたよ。そりゃガチャ回したくなるよってくらいに整ってるんだから。色合いもバランスも悪くないんです。短パンだってオシャレに見えなくはない。デザイナーが描いたものですからね。
でも待って欲しい。
こだわり抜いた私のアバターは見た目が25歳くらいには大人な感じですよ! それが「短パン」履いたらどうなるか?
大爆笑されるわけですね。
いいですか?
金髪の切れ長の男が短パンですよ。
だいたいね。短パンが許される大人って、TMさんとB'zさんって相場が決まってるでしょ?(そうとは限りませんが)
そして何年もグラサンで隠していたつぶらな瞳がアバター装備品とアバター装飾品に取って代わり、人の目に晒されたわけです。フレさんが大喜びしてバカにしてくれました。文字にするとこんな感じ。
((´∀`*))ヶラヶラ
ちょっと違ったかもしれないが、まぁこんな感じで。
そして私は名を与えました。自分のアバターに。
不名誉この上ないが。
「短パン王子」と。
だって金髪切れ長の目に短パンだよ? オマケに白い膝まであるソックス。王子と言わんでなんと呼べばいいかわからんね。白馬でも連れてきてくださいな。きっと似合うし爆笑されるに違いない。
失意に負け、枕を涙で濡らし。
私の5年のこだわりは霧散した。
次の日の朝に"整形手術"を施したよね。あっさりね。
そうです。キャラメイクですよ。ガチャで外れを引くとですね。髪型が当たったり、表情が当たったりするんです。染色といって髪の色も変えられる。
そして。
お目目をパチクリさせ、髪型も若くしたさ。色も金髪辞めて、アバター服に合わせた落ち着いた薄いグレー。15歳くらいになったよね。
見事に返り咲きましたよ。アバター服は悪くない。
顔が悪かったんだよ。
ぶっちぎり私のせいでした。_| ̄|○ il||li
そして見せに行ったさ。フレさんに。そしたらまた大笑いされてアイドルみたいだと褒めてくれました。それだけではなく、きっと似合うからと、ピアスの装飾品装備をくれたんですね。
「キラッキラ」
と言ってまた腹が捩れるくらい(ご本人談)笑ったそうな。褒めてねぇな。薄々わかってました。
そしてその日。
パテメンだったもう1人のフレさんが私に言いました。
「短パン当たりました」
短パンの第二王子が誕生したのだ。素晴らしい! 友よ。
でもね、彼は違ったんですよ。イケ具合がね。整形手術なんてしなくても似合ってた_| ̄|○ il||li
ぶっちぎり似合ってたよね。でも悔しいじゃないですか。
言ってやったさ。
「だっさい」
楽しい仲間がいて私はとても幸せです。一頻り笑い合ったわけですが、フレさんは、いや、第二王子は言ってくれたんですよ。
「完成度高い」って。
整形手術施した腕を褒めてくれたのかな?
苦渋の選択をして弄った5年のこだわりアバターは運営が提供する今月のオススメアバターにあっけなく敗北をしたのだ。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
ちょっとでも笑ってくださった方は下にある
☆☆☆☆☆を★★★★★
にしてくださると嬉しいなぁ。
ではでは。