客間
「ふー。なんか疲れたな」
俺は通された豪華な部屋の豪華なベットにダイブする。室内は相当広く学校の教室2つ分くらいある。その割に光量が足りておらず薄暗い。
だが空が白んできてるようでバルコニーへ出るための大きな窓からうっすらと明るくなった空が見える。もう朝方ということか。
俺はベッドの上で天井を眺めながらあの後のことを思い出す。
俺の思いつきの魔王討伐の話でルシアナは焦っていたが法王のじーさんはそれを聞くと大いに高笑いをした。
「グハハハハハハ、魔王討伐だと?面白いことを言うではないか。『女神の使い』殿は。いいじゃろう。そちの言、ここにいる多くの者たちがしかと聞いたぞ。必ず我らの女神のために魔王を討伐してみせよ!期待しておるぞ!!」
じーさんはニヤニヤしながら王座から立つ。
「猊下!!それはあまりにも・・・」
ルシアナは慌ててじーさんにくってかかる。
法王のじーさんは手を挙げてルシアナの言葉を遮る。
「聖女よ。お主が言ったのだぞ?その者が『女神の使い』だと。よってわしから命ずる。聖女ルシアナ、そちはこれから『女神の使い』カザミ殿を助け魔王を討伐してみせよ。これは勅命である!!」
ダンッ!!じーさんは立掛けてあった立派な杖を取り地面を打ち鳴らす。
ルシアナはなにか言いたそうに口を開きかけてグッと思い留まり、その場にストンと座り頭を下げて
「勅命、謹んで承ります」
と畏る。
じーさんは満足げにニヤニヤしながら頷き
「うむ。良きに計らえ。カザミ殿も尽力なされよ。期待しているぞ。」
そういいながらいやらしい目でこちらを見て鼻で笑った。そして
「本日はこれまでとする。みなもこのような時間によくぞ集まってくれた。感謝する。夜が明けるまであと少ししかないがゆるりと休まれよ」
法王はそういうと杖をもう一度軽く鳴らした。
全員が膝をつき首を垂れる。
それを満足げに見届けるとじーさんは王座の裏から別室への扉へと消えていった。
俺はルシアナを見る。
彼女は少し悔しそうな表情をしていたが俺の視線に気づくと少し陰りはあるがやさしく微笑んだ。そして立ち上がり俺の横にきて
「カザミ様。今日はもう遅い時間ですので部屋をご用意します。ゆっくり休んでください。明日、お時間を作りますのでお話を聞かせてください。ではよき眠りを」
彼女はそう言うと俺に会釈をして最初に俺を取り押さえていた兵士に何やら指示をする。そしてもう一度俺に会釈をするとほかの人たちの所へ移動していった。彼女が近づいていくとすぐに周りに人だかりができた。
「ではカザミ殿、これよりお休みできる部屋へご案内させていただく。こちらへ」
俺は兵士に促され広い王座の間を出ると結構な長さ歩かされて、やたら豪華な部屋へ放り込まれた。
うーん、どうもやらかした感が強かった。俺は少しがっくりする。
もしかしたら魔王はとてつもなく強くて太刀打ちなんてできない、とかだったらどうしよう・・・。
いや、俺の『スキル』も棄てたもんじゃないとは思う。名前だけならきっとほかの追随を許さない強力な物なのは確かだ。
・・・・・・・・とりあえず寝るか・・・・。
俺はルシアナを思い出す。
どこかで会ったことがある気がするが記憶にはない。
年の頃は16、7くらいだろうか。しっかりしてはいるが容姿的にはだいぶん幼い。なにより仕事のせいで無理しているのであろうというのがひしひしと伝わってくる。
それでも頑張っているところが力になってあげたいと思う理由だった。
いや、あの水辺でのエロさのせいでは断じてない。
・・・断じて
・・・・・・
・・・・
・・・
童貞には刺激が強すぎた。
・・・いかんいかん、今は考えるべきことが多かった。
彼女は・・・彼氏とかいるのだろうか・・・・。
いや、聖女というくらいだし彼氏はさすがに・・・・
いやいやいや。そうじゃない。
俺は現状を整理する。
どこからきたのか?なにをしていたのか?これからどうすべきなのか?
さっぱりわからなかった。
情報が少なすぎるのだ。
・・・・・
寝よう。明日ルシアナと話をしてから考えよう。それだけが楽しみだ。
俺はそう考えてゆっくり目を閉じて
ふかふかの布団へもぐりこむ。
・・・・・彼女の柔らかい太ももが忘れられず
彼女の優しい笑顔を思い出し
彼女の甘い匂いが鼻をくすぐる。
そんなことを考えていたらゆっくりと意識が途切れていった・・・・・。
ただの変態でした。ほんとうにありがとうございました。
だいたい2000字を目途に1話を作ってますがこれがちょうどいいのか少なすぎるのか・・・。
ただ、繋げると長くなりすぎな気もするのでこんなものなのか・・・。
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