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恐怖

ロッソ村の出口付近で先行した3人と合流する。

怪我を負った隊員をこれ以上は連れて行けまいとセナが3人に駐屯地まで戻るように指示する。


「セナさんだけを置いては戻れません。戻るなら全員で戻りましょう!!」


若くさっきの戦いで一番奮戦していた若者がそう抗議する。俺に少し敵意、対抗意識を燃やしているようにも感じる。

セナは少し考えてその案に首を振り


「ここに魔獣がいたくらいだからロッセ村の方にも出没してるかもしれない。馬がない以上戻ってたら手遅れになるわ。行って確認しなきゃ。モリアツもいるし大丈夫よ」


そうセナは俺を見て少し微笑む。

それが癇に障ったように睨む若者。あぁ、わかりやすくていいなぁ。

納得できない若者を見てもうひとりの隊員が


「俺が怪我したこいつと二人で戻ります。ニケルは連れて行ってやってください。きっと役に立ちます」


そういって噛みついてきた若者、ニケルを推す。

セナは少し悩んで俺を見る。俺がコクリと頷く。


「・・・わかったわ。3人で行きましょう。気を付けて戻ってね」


セナは怪我をしている隊員を励まし、二人が戻っていくのを見送り


「急ぎましょう」


セナは持っていた雑嚢を若者に手渡す。

若者は嬉しそうに受け取り


「セナさん、全部俺が持ちますよ」


そう言いながら嬉しそうにセナの後ろをついて行く。

俺は少し呆れながら2人に続いた。

暫く早足で歩くと遠くで魔獣の鳴き声がが微かに聞こえてきた。

俺たちは顔を見合わせ慌てて走り始める。

村の入り口が見えてくる。

それに合わせて魔獣の鳴き声は大きく、大量に聞こえ始め、それと同時に人の叫び声も聞こえ始める。俺たちは持っていた雑嚢などの無駄な荷物をその場で放り投げる。

セナもニケルも抜剣し全力で駆け村へ突入する。


村は・・・阿鼻叫喚だった。いたるところに死体が転がりそれを踏みつけ噛みつき、引きちぎる魔獣の姿があった。

セナはカッとなり村人の死体を引きちぎっていた魔獣に突撃して首を斬り落とす。

赤黒い血が噴水の方に吹き出す。

その血の匂いに周りの魔獣が一斉に鳴き始める。

魔獣の大合唱のなかセナは詠唱に入る。

俺も素早く手に持ったパチンコ玉を近くの魔獣に力強く投げる。飛んでった玉は魔獣の頭を粉砕する。


「ニケル、セナの援護を頼む!!」


俺はそう若者に頼むと魔獣の中に躍り出る。

近接戦闘の技術は拙くとも魔獣の気を引きターゲットになることでセナたちの生存率はぐんと上がる。


「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!きやがれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


俺は力強く雄叫びを挙げる。

少しでも魔獣の注意を引かねば。

手に持ったパチンコ玉をさらに投げる。

ヒットして魔獣が砕けるのを確認して次の魔獣へとどんどんと視線を移動させる。


・・・地面に転がっいる村人の死体は見ない。

みればたぶん足が止まる。動けなくなる。

俺は殺意で頭の中をいっぱいにしながら魔獣の群れに突っ込む。


そのときだった。

ふっと視界がブラックアウトする。


え?


なに?急に電気を全部消されたような感覚。

それと同時にすべての感覚が狂う。強い衝撃が体にぶつかり突然頭を殴られるような感覚。痛くはない。

だがそのまま横転する。


「ギィィィィィィィ」


魔獣の鳴き声が周りでたくさんする。

俺の身体に次々と重い物がのしかかる。

俺はもみくちゃにされるがどこになにがあるのか?

俺はどっちを向いているのかすらわからずパニクる。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、セナ、セナ。どこだ?なんだ??うっぁぁぁぁぁ」


俺は意味も分からず叫ぶ。

ただただもみくちゃにされ噛みつかれ襲われる。


恐怖


痛くはないが状況の分からない恐怖は俺をパニックにさせた。

手を振り回すがその手すら噛みつかれ動かすことができない。痛くはない。

だが臭い、生臭い。魔獣の唾液となにか血の匂い。ビチャビチャと身体に纏わりつく液体。

それが血なのか唾液なのかなんなのか分からず俺は酷く狼狽する。


「ああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああ」


俺は出せる限りの声を恐怖を振り払うために叫ぶ。

動かせない手をぶんぶんと振り回そうと試みる。

なにも解決しない。動かせない。重くのしかかる魔獣たちで窒息しそうになる。


「ギィィィィィェェェ」


「ギャィィィィ、ギャィィィ」


「ギギギギィィィィィ」


周りは魔獣の鳴き声しか聞こえない。

触れる物はすべて鱗のような肌をした何か。

俺はそれを殴る。子供が駄々をこねるように。

ただただ圧迫されるようにもみくちゃにされる。


恐怖で頭が真っ白だった。

訪れるピンチ。

普段危険に身を置くことがないとそういう状況になったときは無様にもなにもできないでしょうね。ましてや強さに胡坐をかいてるとなると・・・

戦闘ものはやはりピンチがあってこそ映えるというものです。


そんな中気楽にも欄外ヒロイン紹介を(ぉぃ

3人目は魔女っ娘マーファ

実はまともに魔法を使ってるシーンがない彼女。

その実力を示す時がくるのでしょうか?w

キャラクター自体は一番最後に完成したのですが

それまでは使いどころすら見えてなかった一番あやふやだった彼女。

作者の中では生粋のエロ担当となってしまいました。

友人以上恋人未満のいいぬるま湯を好む男性の理想そのもの。

一番書いてて楽しいです。


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