スキル発現の儀
目の前の盆に置いてある紙に俺は目を落とす。
ただ紙かと思ってみたらクリスタルのように輝きそして透き通っている。一瞬ガラスかと思ったが材質は紙のように見える。サランラップを紙の材質にしたような感じだ。しかしその美しさはサランラップの比ではなかった。
「では・・・・そういえば君の名を聞いてなかったな。」
神官の人がいまさらな質問を問いかけてきた。
「・・・・・加佐見 盛斡だ。」
男に名乗る名前ない!!とか言おうかとも思ったがここで面倒ごとを増やすほど俺も子供ではない。
神官の人は聞きなれない感じの名前に少し眉をしかめていた。
「ふむ・・・・カザミ・モリアツか。変わった名だな。ではカザミ、目の前の紙に手で触れたまえ。」
そこまで言ってから神官の人はまたしてもふと気が付いたように
「そうだ失念していた。君は『スキル発現の儀』をやったことがあるのか?」
悉くいまさらかよ。と俺は少し不機嫌になる。こいつら抜けてんじゃないのか?
俺は首を横に振る。んなもん知るか。
「ふむ。では紙に触れたまえ」
俺は言われるがままに盆の上の紙に掌を置くように触れる。
薄くもろそうなのにしっかりしていてつるりとしたいい触り心地だった。
神官は俺の前に立つと両手を広げ天を仰ぎ目を閉じる。
「偉大なる我らが女神アファーナよ。ここにいる信徒カザミ・モリアツの内なる力を顕現させたまえ・・・・」
神官の人が祝詞のようなものを唱えると
紙は微かに光り、温かみを帯びる。
そして掌の下でなにか熱いものが走っているのを感じる。
すると、突然頭の中で何かがフラッシュバックする。
夕焼けと優し気な群青の瞳の女性の微笑。
潮と微かに漂う花のような体臭。
優しい手と暖かい膝枕。
それと同時に頭の中を文字が走る。
1つ・・・・
2つ・・・・・
3つ・・・・・・
そして・・・・・・
紙の光は徐々に収まり最初の状態に戻った。
「手を除けてください」
神官の人の声でハッと我に返り、俺はさっと手を除ける。
そこには焼き付けたような走り書きで文字が写っている。
神官の人が紙を手に取り、驚きの声を上げる。
「おお!!!スキルが発現いたしました。
な、なんと・・・・3つです。過去に例をみない・・・・」
神官の声と共に周囲にどよめきが起こる。
さすがの法王のじーさんも王座から半立ちとなる。
この場にいた人間で唯一ルシアナのみは動じることなく、こちらを振り返ることすらせずに堂々と座っている。
「な、なんという『スキル』だ。早く読むのだ!!」
法王は焦った声で神官に問う。
神官は少し呆然としていたがすぐに紙に目を落とし
「あ、はい。『完璧防御』『時空自在』「必中・・・ぁぁ・・・・。」
読んでる最中に紙はポロポロと綿あめが溶けるように消えてしまう。
「も、申し訳ありません・・・・」
神官の人が崩れるように土下座をする。
法王のじーさんが真っ赤になって怒りをあらわにしながら怒鳴る!!
「ええいっ!!なにをしておる!!最後の1つはなんだったのだ!!!見たのだろう!!申せっ!!!」
神官は頭を地面にこすりつけながら
「申し訳ございませんっ!!!!『必中・・・までしか読むことができませなんだっ!!」
神官は自らの失敗でパニクッて慌てふためいている。
そんな姿を見ていたら俺はかわいそうになったので
「『必中必殺』ですよ。」
と答えた。
この場にいた全員がギョッとして俺を注視する。
「お、お主がなぜ知っておる?」
法王がびっくりしながら問いかけてくる。
これにはさすがのルシアナも驚き立ち上がって振り返る。
「・・・・え?頭の中に出てきたでしょ?」
そう言うと呆気に取られる者、それを聞いて隣とボソボソとなにか話す者など場に明らかな困惑の色が見て取れた。
俺うっかり口走ったを後悔した。あ、この反応、なんかほかの人とは違う状況らしいぞ。黙っとくんだった。
「頭の中にスキル名が出たのですか?」
ルシアナも驚いた表情で問うてくる。驚いた彼女も可愛いな。
そんな彼女の問いなら仕方ない。
「・・・・ええ、一瞬でしたが頭の中にスキル名らしきものが浮かびました」
俺は正直に答えた。そして俺も気になったことを質問をすることにした。
「逆に教えてください。この『スキル』というのはなんなんですか?」
魔力感知の球でなくてすいませんw
でも近いものだからいいよねっ!!w
書き忘れてますがこの謁見にはそこそこ人が集められてます。
プロット通り進行していますがすでに線路は外れ始めた感じがしてきました・・・・。
書き溜めが尽きたのでしばらくは一日1話更新でがんばりたいと思います。
頑張る力がほしいので感想ください(脅迫