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緊急事態

~モリアツがセナと魔獣に追われ、山で彷徨う8時間前~


隊長室でシュレンと討伐隊隊長のドゥーラントと3人で魔獣が発見時の『時空自在』を利用した討伐手順を議論していた。

そこに慌てた隊員が飛び込んでくる。


「隊長!!狼煙矢が上がりましたっ!!中継駐屯地から赤、そして・・・白ですっ!!」


シュレンとドゥーラントが勢いよく立ち上がる。

俺は狼煙の色を思い出す。赤はたしか増援、白は・・小型魔獣の発生。


「状況の詳細をを至急確認してくれ。魔法通話を急げ。全隊員に緊急増援準備。大隊規模での出撃と通達をだせ!!」

大隊規模、総動員体制に近い。


「俺はどうする?とりあえず先行して飛ぼうか?」


ドゥーラントは少し考えて


「いや、情報を待とう。小型魔獣は数が多い。もし戦闘になっているのなら・・・最悪最初に遭遇した隊は全滅しているかもしれない・・・」


「私は出立の準備を急ぎます。第一陣は私に任せてもらってもいいですか?」


シュレンは部屋を出て行きながらドゥーラントに確認する。


「ああ、頼む。できる限り人を集めて出てくれ。少数投入は被害を広げるだけだからな」


「わかりました。後続部隊の方、よろしくお願いしますね」


シュレンは慌ただしく出ていく。

俺も一緒に出て装備を整えるために資材部へ行くことにしてシュレンを追う。


「小型魔獣は初めてだけどそんなにやばいのか?」


そうシュレンに訊ねる。シュレンは急ぎ足で歩きながら俺を見て緊張しながら答える。

「ええ、小型は基本、群で出現することが多いのです。少なくとも20体以上は同時ですね。中型は

我々が連携を取れれば被害が少なく討伐できるのですが小型はあちらの方が連携を取ってきます。我々より上手く連携をします。連携が習性というべき魔獣です。そして個体個体の死を恐れない」


続けて


「私も過去2度ほど討伐に参加したことがありますが悲惨でした。味方の損害は相当なものでした」


そう言って眉をしかめるシュレン

これは相当だな。と思い俺も気を引き締める。

俺は足を止めて彼女の歩く姿を見て


「シュレン、あまり危険なことはしないようにしてくれ」


彼女の心配をする。この剣聖の少女はその責務を全うするためには自分を顧みない傾向が強い。

シュレンも足を止めて俺を振り返り、心配そうな俺を見て少し微笑み、近づいてきてそっと頬に触れた。優しく撫でられる。


「わかっています。あなたこそ『スキル』を過信しすぎて無茶をするのは控えてくださいね」


俺は頬を撫でる彼女の手に触れて


「ああ、俺たちはお互いのストッパーだ。無理しない、無茶しない。で行こう」


俺自身は傷つくことがないが彼女は何度も怪我をしている。それだけは避けたかった。



資材についたので部屋の前でシュレンと別れて、いくつか必要な備品を整える。

その後隊長室に戻ると


「モリアツ、いいところに来てくれた。すまん、君はやはり先行して行ってくれ。君なら小型相手でも問題なく立ち回れるだろう?」


ドゥーラントはかなり緊迫した表情だった。


「・・・だいぶん状況が悪いのか?」


そう聞くと


「ああ、近くに駐屯所が3つあるのだが3か所から小型魔獣の目撃情報が出てる。・・・3か所の距離は相当離れているがそれでも目撃されているということは広範囲に、しかも大量に発生している可能性がある。その一つのバジフィッグ砦から出た偵察隊がすでに交戦して戻ったそうだがそれでも相当な数らしい。

魔獣は『嗅血獣バイケングゥ』血の匂いに惹かれて集まる習性の強い魔獣だ。魔法現象は起こさないが魔法自体を阻害する鱗粉のようなものを出す。ちょっとやっかいな相手だ。数は・・・100はいるかもしれない・・・」

ドゥーラントはかなり切迫した顔をしていた。そして手に持つ資料を俺に渡してきた。

今回の魔獣に関する資料のようだ。俺はそれに目を通しながら


「じゃあ俺は先行して戦闘してればいいのか?」


それだけの数が相手か・・・。どうなるか見当もつかないな・・・

初めての状況に俺も想像ができない。

なんだかんだあれから中型魔獣は相当数狩った。

ここ2か月ほどは例年稀に見るほどの魔獣出没量らしい。そのせいで討伐隊は忙しく俺も日単位で聖都から別の場所へ飛ぶということがざらになっていた。

おかげでルシアナの顔もここ数日は見ていない、

マーファとのだらけた時間も取る暇がなかった。

シュレンとは毎日顔を突き合わせているがセナは現在駐屯地での出張中・・・

俺の顔が強張る。


「・・・いまパジフィッグ砦と言ったか?」


俺は資料から顔を上げずにドゥーラントに確認する。


「ああ、言ったがなにか?」


俺は地図を頭の中に思い出す。ここ数ヶ月、地図とにらめっこして地理を覚え、『時空自在』を使ってありとあらゆる駐屯地を移動した。


「・・・近くの駐屯所にゲメルドルトが含まれる?」


そう問うとドゥーラントは質問の意味がわからないという顔をしながら


「そうだ、魔獣目撃の駐屯所の1つだな」


そこまで言ってドゥーラントはハッとまる。


「まてっ!!モリアツ!!準備をしっかりして・・」


その言葉を最後まで聞くことなく俺は『時空自在』を使った。

・・・なんか世界観が急に殺伐としてきた気がする。


ここらで欄外ヒロイン紹介のコーナーでもしますかね

まずはシュレン

4人の中ではとりわけ難しい部類に入るヒロイン。

一番最初にイメージが固まり、キャラクター性も完成していたんですが

如何せん取り扱いが難しいイメージです。

今後どう転がるかどう転がすかを一番悩んでたりします。

責任感が人一倍強くまじめ。そのせいで周りが見えてないタイプ。

女の子らしいということに恥ずかしさを感じる可愛い面がありますね。


そんな欄外コーナーを楽しみにしてくれる人はブックマーク、高評価、シュレン押しと感想をお願いします。

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