捕捉話 警備兵たちの雑談
「ふぅ。お疲れさん」
そう言いながら中年の男が休憩室に入ってくる。
「あ、お疲れ様です、休憩ですか?」
若い男は座っていた椅子を蹴って立ち上がり頭を下げる。
「いいよいいよ。お前も休憩中だろ。俺は今日はもう終わりだから。ちょっと座ったら帰るさ」
そう言うと若い男は頭を掻いてへへへと笑い座っていた椅子に座り直す。
「しかしジンガさんも災難でしたね。こないだの舞踏会の件、聞きましたよ。犯人、逃げたそうじゃないっすか」
若い男は興味深々に乗り出しながら質問をする、
ジンガと呼ばれた中年の男は渋い顔をして
「その話は緘口令がでてるんだぞ。・・・まぁみんな知ってるか。
そうなんだよ。せっかく捕縛したのに3日後に消えちまった。現れた時も突然だったし、捕縛するときに戦ってた「女神の使い」も触れないようなことを言ってたらしい。上の人の話だとそういう消える『スキル』だったんじゃないかという話だ」
ジンガは疲れたように椅子に深く座り大きく息を吸う。
「それでも3日は拘束したんでしょ?ジンガさん尋問に立ち会ったって聞きましたよ。引き出せた情報も多いんじゃ?」
若い男はさらに深く聞きたがる。ゴシップの好きな若者だった。若者は席を立ってお茶を入れ始める。
そんな若者を横目にジンガもまんざらでもない感じで喋りだす。
「捕まったやつはもともと討伐隊の中堅クラスの男だったらしい。腕前はなかなかで魔獣討伐も1体やったことがあるって話だ。先月までは聖都の外周りの待機組をやってたらしいんだがその時たまたま街で斬りつけたご婦人と知り合う機会があったらしい」
若い男はお茶を入れたカップをジンガに渡し前のめりになって夢中で話を聞く。
「それで、その二人は恋仲だったんですかい?」
お茶を一口すすったジンガは一息つく。若い男はジンガが話だすのを待っている。
「いや、その時ちょっと知り合った、ってだけでな。だが男は運命的な出会いを感じた。その後仕事をそっちのけでそのご婦人を追い回してたそうだ。女性は大変迷惑して討伐隊に相談するほどだったそうだ。そしてその男は辺境の砦に送られた。めでたしめでたし」
ジンガはめんどくさくなり話を切ろうとしたが若い男は食い下がった。
「いやいや、ジンガさんそらないっすよ。その後男は舞踏会に殴り込んだってことでしょう?あれ?でも透明になれる『スキル』持ってたんなら女性を付け回してもばれないんじゃ?それにバレた後だってふつう警戒するもんですよね?そんな『スキル』持ってる奴のことなんて」
なかなか鋭いなこいつ、とジンガは感心して本腰を入れて話すことにする。しっかりと座り直し
「なかなかいいところに目をつけるな。その男は『スキル』なんて元々持ってなかったんだよ。だから警戒なんてされてなかった。左遷先で行方不明になったのも先月だそうだ。その時一応聖都の本部には連絡がきてたらしいが男が聖都に入った報告はないそうだ」
ジンガはニヤリと笑った。
若い男もこの話に食い入るように聞き入っている。
「それじゃあそいつが『スキル』を得たのは聖都以外ってことですかい?聖都以外に「スキル発現の儀』ってやれないんじゃなかったんですっけ?」
若い男は詳しくない知識を頑張って思い出そうと考える仕草をする。
ジンガはふふん、と鼻で笑い
「詳しいじゃないか。聖都以外では行えないことになってるがそれは上が言ってるだけかもれないってことになるのかもな。ま、下手なことをよそで口走るなよ。俺たちはそういうやつを取り締まる側なんだからな」
ジンガは厳しい顔をして若い男に釘を刺す。
若い男はへらへらと笑い
「それくらいはわかりますよー。俺だって馬鹿じゃないんですから」
そういうとお茶のおかわりを自分のカップに注ぎ、ジンガにも差し出す。
ジンガも追加を注いでもらいながら
「ま、そんなわけでそいつがどうやってスキルを得たのか。厳しく尋問をしてたわけなんだが、なにかの薬物をやってんのかブツブツ言って容量を得ない。視線もずっと泳いでるしな。ありゃ本物の狂人だろうな。」
ジンガはそこでいったん区切り
「ただ消える前日の尋問最後の時にその男が言ったんだよ。『魔王様に頂いたのさ』ってな」
ジンガはそう真顔で言った後、馬鹿らしそうに鼻で笑った。
舞踏会偏の締めとなります。いやー適当にぶち込んだ話にしてはいい終わりになりました。
物語は中盤に差し掛かりここから真の敵の登場です。
次は中盤最大の山場のストーリーへと移行します。
ただね・・・主人公のスキルが強すぎて手に余ってんですよね・・・。
ピンチがピンチにならない・・・。
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さて次を作らねば。




