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捕捉話 彼女の闘い シュレンⅠ

またしても捕捉話です。

シュレン視点による魔獣討伐。

読み飛ばしてもいいところですが

まぁなんとなくバトルがちゃんと書きたかったので。

朝霧漂う森の中

シュレンは木陰に隠れ魔獣の様子を伺う。

聖都を出て半日以上、夜も休憩を取りつつ進軍して予定よりだいぶん早いカナディアの森の中で魔獣を発見した。

ありがたいことにこちらに気づいていない。

シュレンは音を立てず部隊の皆に手信号のみで指示を出す。

何度も死線を共に潜り抜けたメンバーだ。

抜かりはないだろう。

のそりのそりと歩いてくる魔獣を目視する。

「鰐牙獣 ディアガルヴ」であった。

巨大な顎で獲物に食いつき粉砕する魔獣。

大きさのわりに機敏で瞬発力が高く、魔法に似た攻撃はしてこないものの森や街のような障害物が多い場所ではその動きを捉えることが困難な相手である。

逆に言えばその機動力のため鱗はそんなに堅くないため誰が斬り込んでもダメージが与えれる。

しかもこちらからの先制攻撃なら確実に仕留めることができる相手だ。

被害を出すことなく相手を殲滅するチャンスだった。

シュレンは魔獣から目を離さず皆の準備が完了するのを待つ。

もし魔獣がこちらの動きに気づいた場合はシュレンが真っ先に斬り込み敵の注意を引かねばならない。

魔獣はゆっくりと歩き森を歩いている。

一応目くらましの魔法がかけてあるとはいえ油断はできない。

一足一動に注意する。

シュレンの隠れる木陰と逆側からチカッと光が反射する。作戦開始の合図だ。

突然木々がざわざわと騒ぎ始める。

そして木に巻き付いたツタが伸び、枝が槍のように勢いよく魔獣の身体を絡めとる。

魔獣は驚き咆哮する。

だがすでに時遅し。地面から根も槍のように突き出しさらに魔獣を足止めする。

魔獣は自らを拘束するツタや木の枝を振り払おうと動けない体で暴れる。

動きの止まった一瞬を逃さずシュレンは躍り出る。彼女のスキル『疾風迅雷』は空気抵抗なく加速するスキルである。地を蹴り加速すればするだけ速度が上がる。

シュレンは速度を上げ一気に魔獣に近づくとその速度を維持したまま魔獣の前足を斬りつける。

彼女の剣の業とその速度で魔獣の前足を容赦なく切り落とす。斬りつけたまま速度を緩め駆け抜ける。

そこに他の隊員たちが踊り出て斬りつける。

全員慣れたもので容赦なく足を狙い機動力をもぎ取る。


「グウウウゥォォォォォォォォ」


魔獣が咆哮し、倒れる。派手な振動で隊員たちの足が止まり咆哮の音で聴覚に攻撃を受けたが全員耳を塞ぎ爆音に耐える。

だが木を操る魔法による足止めを試みてたセナとシュレンの従者で大男の魔法使いドレンは集中を切らされ魔法の効果が解ける。

だがすでに魔獣は四肢に深手を負っている。

隊員たちはいったん距離をとり魔獣のあがきによる攻撃に備える。

魔獣は右前足をシュレンによりほぼ切断され各足にも負傷させらて要の機動力をそぎ落とされている状態だった。

シュレンは容赦なく突撃する。スキルを使い一気に加速。だが魔獣も今度は反応していた。カウンター気味にシュレンに向けて起き上がり様に残った前足をシュレンめがけて振り下ろす。

だがそこにシュレンはすでにおらず2、3ステップ入れてさらに加速すると一気に魔獣の首を狙いに行く。

シュレンは駆け上がるように魔獣の首元まで突撃して回転するように魔獣の首へ剣を滑らせる。

ザシュッ!!と首から赤黒い血が噴き出す。

シュレンはすでに斬った場所を蹴り魔獣から離れていた。彼女は2、3回転するとそのまま木に着地してもう一度木を踏み台にして魔獣へと突撃する。

首を半分斬られてのけ反る魔獣の眉間にシュレンは剣を突き立てとどめを刺す。


「グウォォォォォォォォォォ!!!」


魔獣が断末魔の声を上げてズドォンと地に落ちる。


「お見事!!!」


「さすがシュレン隊長!!」


「あっという間だったな」


隊員たちが歓喜の声を上げる。

そして仕留めた獲物がきちんと死んでるかどうかを確認するため隊員たちは警戒を解かずに近づき

死亡を確認する。

シュレンは魔獣が倒れる前にその頭を蹴り近くに着地していたが肩で息をしていた。『疾風迅雷』はスタミナより着地などの物体に接するときの衝撃をもろに受けるため体への負担が激しいスキルである。今回は先制できる状態であったため出し惜しみせず使ったが普段はもう少し慎重に使うスキルであった。


「おつかれさま。立てる?」


セナは痛みで動けないシュレンに近づき声をかける。


「あ、あぁ、大丈夫です、少し休めば動けますよ。セナもお疲れ様」


シュレンの綺麗な顔は少し泥で汚れて眉間に皺が寄っていたが任務達成による安堵の色が見て取れた。


「あたしに見せ場残してくれてもよかったのに。無茶し過ぎんじゃないわよ」


セナは心配そうにシュレンの独断専行を責めた。

『疾風迅雷』が強力であると同時に負担が大きいのを心配していた。


「すまない。明日、弟に剣の稽古に付き合ってあげる約束をしていましてね。早く帰りたかったので

す」


そう苦笑いをしながら立ち上がり


「全員、無事か!!?」


シュレンは隊長としての義務に戻る。

セナはやれやれといった感じで全員の状況を確認しようとしたその時。

大きな物体がシュレンとセナの上に影を落とす。

相変わらず1話で終わらず。

戦闘シーンって難しい。

擬音だけで済ませる人たちに感服いたします。

シュレンのスキルに関してそうとう悩みましたがもうなんとなくそんな感じで。

物理法則とか考えてたんですが頭が痛くなったもんでww

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