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思慕

ごちゃごちゃした棚を漁り、お茶っ葉のようなものを発見し、炊事場に行くと洗い物の山だった。

水道、はないので水瓶の水を使い洗い物をしてお湯を沸かそうとするが火がない。


「すんません、火はありますか?」


まるでタバコでも吸うかのような聞き方だなと独り失笑をする。


「ん?火なんて何に使うんだ?」


マーファは珍しいことを聞かれたと顔を上げる。


「いや、お湯を沸かそうかと」


俺は洗ったポットを彼女に見せる。


「ああ、水を入れてこちらに持ってきてくれ」


マーファは合点がいった感じでそう言うので、ポットを持っていくと彼女がポットの底をわしっと掴むとボソボソとなにか囁くと瞬間でポットは湯気をたてて蓋がカタカタとなり出した。おお!人間湯沸器。


「疑問なんですが、さっき俺と握手した時の魔法って・・・」


そう聞くと彼女はニンマリと意地の悪い笑みを浮かべ


「そうだ、この魔法だよ」


と言った。いや、待て、お湯が一瞬だったぞ!火傷じゃすまんだろ!!笑えねー。

俺は何も言わずにお茶を入れる。カップに注ぎマーファの前に出す。そして自分の分も入れてテーブルの近くの椅子に座り一口飲む。

変わった味だが悪くない。


「ふむ。上手に入れるじゃないか」


マーファから合格点がもらえた。というかはじめて煎れたがあってたのか。そう思いながらお茶をすする。

なんとなくそんな感じでたまに話をして、ぼーっとして、ちょっとその辺のものを物色したりしながらマーファとの時間は流れた。

コンコンという音が入り口側から響き俺はびっくりする。扉からそれなりに遠いぞ。これも魔法なのか?マーファは本から顔も上げずに


「お迎えが来たようだぞ。なかなか楽しい時間だった。暇があったらまたきてお茶を入れてくれたまえ。歓迎しよう」


そう言うとやっと彼女は本から顔を上げてニヤリと笑った。

だらしない顔をしてない時はそれなりに可愛いのだなと思いつつ


「まぁ暇があったら寄らせてもらいます。今日はありがとうございました」


俺は立ち上がりお辞儀をして出口へ向かう。

暗がりに目も慣れてたのでごちゃごちゃした部屋の中もスッと避けて出口にたどり着く。

扉は開いており、そこにはファイネンがお辞儀をして待っていた。


「お手数をおかけします」


そうファイネンに挨拶をすると彼女は何も言わずに回れ右をしてスタスタと歩き出す。

冷たい。

建物を出ると日が落ちてかなり経っているようで太陽はすでに西の向こうへ消え少し暁を残す程度になっていた。俺はファイネンにふと尋ねる。


「今日は夜食はあるのでしょうか?」


なんだか無性にルシアナに会いたくなった。今晩も彼女のあの屈託のない笑顔をみたい。そう思った。


「申し訳ありません。本日よりルシアナ様が聖都を離れられていらっしゃるため、私もすぐ追いかけねばなりません。お夜食は夕食と共にお持ちします」


そう簡潔に答えた。うわっ、がっかりだった・・・。

そうか、ルシアナはここにはいないのか・・・。



部屋に戻り、ファイネンはそそくさと夕食を運んでくれ去って行った。どこに行くのか聞こうかとも思ったが地理も詳しくないから聞くだけ無駄かと思いやめておいた。

夕食を食べて風呂はないので水で体を洗い、さすがに肌寒いので早々に布団に入る。まだ体の筋肉痛はかなり痛い。でも明日になれば少しは動けるだろう。


静かで暗い部屋ですることもなく俺はルシアナを想う。

今、彼女はどこにいるのだろう?。そんなことを考えながら目を瞑る。


空間と時間


今この時も彼女はこの世界のどこかに存在して頑張っているのだろうか?

そんなことを思う。

彼女のあの優しい笑顔を思い浮かべる。



・・・誰かと話す彼女の姿が見える。

いつもの凛々く、落ち着いていて優しい笑みを称えている。聖女ルシアナの顔だ。

なにかのパーティなのだろうか?。

白いドレスのようだが派手さのない服装でその上に肩掛けのようなものを羽織っている。

薄紅色の綺麗な髪もアップにして質素だが高級そうな髪飾りをつけている。

顔にも少し化粧をしているようだ。

いつもの幼さより大人びて見え、品と色気のある表情で微笑みながら周りを取り囲む人たちと談笑している。

周りは煌々とキャンドルが立ち並び沢山の人たちが談笑をしたり食事をしたりしている。

彼女は次から次へと声をかけられその度にお辞儀をし、挨拶をして少し談笑をするを繰り返していた。

人の前に立つ大人びた彼女。

少し背伸びをして隙を見せまいと頑張っている姿。その後ろ姿は一人であるように寂しさを感じる。

俺のベッドで子供のようにむくれたり笑ったりしていた彼女とはまったく別人に感じる。

別人のようだけど美しい彼女の頑張る姿を見ていたらやるせないくらい辛い気分になった。

手を伸ばし彼女の頬に触れ髪を撫でてあげたい。

愛おしい。狂おしいほどに

そんな衝動に駆られ俺は手を伸ばす。

遠くて届かない。

彼女に触れたくて俺は頑張って手を伸ばす。

少しずつ彼女に近づいているような気がする。

がんばって、がんばって

やっと彼女の髪に少し触れそっと優しく撫でる。あの夜のように。

するとルシアナが驚いたように振り返り・・・



俺は手を伸ばして飛び上がるように上半身をベッドから起こしていた。

夢を・・・・見ていたのだろうか・・・・

動悸が激しい。身体が火照る。

でも確かに一瞬だったが


そう、彼女に触れたのだ。


そういう確信があった。

なんだかんだと細かいところが変更されつつ話が進まないまま話数のみ増えております。

こんな回は予定表にはございませんでしたw

『スキル』の習得だけでちと時間がかかっているのですが手探りで何かを得るというのはやはり一苦労ということですやね。


最近は人様の小説を読んで勉強させていただいてるんですがなんか感想書いたりとかつい躊躇してしまいますやね。でも自分がしてもらいたいことは人にしていくのも大事だと思っとります。


そんなわけで書き手さんでも勇気をもって高評価、ブックマーク、感想なんぞ書いてもらえると嬉しいもんです。・・・自分も書くようにいたしますw

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