魔法剣士 セナ・ドルトン
「がはっ・・・・・・」
もう何度ひっくり返されたか分からないくらい、シュレンは容赦なく斬りつけ、蹴り上げ、殴り倒してくれた、
まったく痛くはなかったが日頃運動しない俺は飛ばされ、転がり、起きて、立ち上がるを繰り返すだけでもうヘトヘトだった。
うぅぅぅ、吐きそう・・・・・。
喉もカラカラで声もでない。
シュレンは汗ひとつかいてない。
「ここまでやってもダメージはなさそうですね。すごい『スキル』です。稀に見る貴重な能力ですね」
ファイネンがいつのまにかシュレンに近づき飲み物の入ってるであろう革袋を渡しながらそう言った。
シュレンは革袋の水をゴクゴクと飲むと
「ですが使い手がコレではせっかくの『スキル』が無駄ですね。6歳のうちの弟の方がまだタフだし体力があります」
そう言いながら俺に革袋を放り投げる。
俺は地面を這いずって革袋にたどりき、むしゃぶりつくように水を飲む。勢いよく水を飲み過ぎてむせる。
「ごはっ・・・・ごはごほっ・・・・」
それでもすぐに革袋に口をつけて水を飲む。
喉が渇きが潤い落ち着くと呼吸も落ち着きはじめ、
身体がずんと疲労で重くなる。
(くそ・・・・思った以上に不甲斐ない)
今まで体なんか動かしたことなかった。高校を卒業してからは運動らしい運動なんてしたことなかったからな・・・・。
強力な『スキル』があっても体力は簡単には増えないらしい。
「さて、まだ続けますか?あなたが動けなくとも『スキル』は発動しているようですし。逆に意識がなくともスキルが発動するのか?とか興味ありません?」
こわいこと言い出した。シュレンを見てみるとただのジョークだったのか少し笑っていた。
あ、笑うと雰囲気ががらりと変わるな。
俺が見てるのに気づき仏頂面に戻る。
「まだ元気そうですね?もうしばらく試し斬りの相手を付き合って頂けるんですか?」
嫌味な言い方をする。だがここで根を上げるのはカッコ悪い気がする。それにここまでやられても傷一つないんだ。『完璧防御』、これがあれば死ぬことはないだろう。
「まだいけますよ。もうしばらくお付き合いください」
せめて額に汗くらいはかかせたいっ!!
俺は立ち上がる。膝がガクガク震えている。これが膝が笑うってやつか。
シュレンも根性を見せる俺に少しは興味を持ったのかさっきより本腰を入れてくれてる気がする。気がするだけだが
「シュレン!!あんたが本気で斬りかかったらこの辺の木々に損害がでるわ。その辺でやめときなさい」
木の上から女の子の声が聞こえる。
俺は声のした方向をなんとか見上げる。
「やっと降りてくる気になったようですね。私が攻撃を続けるよりあなたがやる番だとは思っていましたよ」
シュレンは攻撃の構えを解きつつそう声をかける。
ガサッガサッと木が騒がしく音を立てるとなにか大きな物体が落ちてきた。
落ちてきた物体は地面に衝突する寸前にフワリと浮きストンと着地をする。
降りてきたのは小さな少女だった。
身長はシュレンの頭1つ分小さくたぶん150センチメールに届くか届かないかといったとこか。
綺麗な肩まである金髪がとにかく目を引く。キラキラと光が乱反射しているようだ。服装は軽装でシュレンに比べればおしゃれに着飾っている。腰には短めの剣をぶら下げている。
「しっかし、すごいわね。シュレンのあれだけの攻撃が一切効かないなんて。こんな魔獣がいたら走って逃げるわよ」
ニヤニヤしながら少女はヤレヤレといったジェスチャーをした。
シュレンが少しカチンとした顔をしたがなにか思いついたように少し意地悪そうに口元を歪め。
「そうですね。これだけやってもダメージがいかない以上セナでは役不足かもしれませんね。マーファを呼んできてもらえますか?」
それを聞いた金髪の少女、セナの表情が険しく怒りに変わる。
「はぁ!?喧嘩売ってんの?マーファでなくったってこいつを吹っ飛ばすくらい私で十分よ!!」
セナは目を閉じて何やらブツブツと唱え始める。彼女の周りに何やら「力」が集まっていくのを肌で感じる。
カッ目を開きこちらを見て手を差し出す
「インフェルノフレイム!!」
と叫ぶと俺の足元に光の輪が浮き上がる。
「なんだ、これっ」
と口にした瞬間、
火柱が上がる。
「ぐあっ、あっつ」
真夏の昼間の太陽の下に放り出されたような熱さを感じる。
でも痛くはない。だが息苦しい。息が・・・吸えない・・・。
そして炎の中とはこんな感じか。
などとのんびり考えるくらいの余裕はできてきた。数秒間、炎の中で蹲っていたら炎はふっと消えた。
「がはっ・・・・はっ、はっ、はぁ」
周りが熱すぎて呼吸がしづらいので這って移動する。
「・・・すごい、火傷一つないわ」
セナは俺に近づいてきて、怪我、火傷がないのを確認している。
いや、傷はないけど苦しいからね。呼吸困難で死ぬかと思ったんですが
俺は恨めしくこのかわいい女の子を睨む。
セナはその眼が気に入らなかったらしい。一瞬イラッとした顔をして背を向けてブツブツ言いながら離れる。また彼女の周りに力の胎動を感じる。
あ、これはあかんやつや。俺は危険を感じ、ない力を振り絞って立ち上がろうとしたところに
「フローズンジャベリン!!」
彼女が振り返り手をかざすと俺を中心に空中にいくつかの光の円が浮き上がりそこから氷の槍が俺に向かって降り注ぐ。
「ぐがががっっっっ」
連続で降り注ぐ氷の槍を背中に受けて俺は立ち上がり途中からまた地べたに這いつくばる。
衝撃で地面に叩きつけられたが痛くはない。
背中が冷たすぎて寒い。そう思っていると体が押さえつけられてるように動かなくなる。
そして背中からどんどん冷たい面積が広がっている。気が付けば全身が氷に包まれ地面に張り付けにされていた。寒い・・・。
「今度はどう?効いた?」
セナはニヤッと笑いながら情けなく地面に張り付いてる俺を見下す。
「さ、さむいっす・・・・」
俺は歯をガチガチさせながら可愛い笑顔を称える少女に訴える。それを見て少女はつまらなそうに見下ろして
「じゃあもう一度あっためてあげようか?」
セナは腰の剣を抜くと剣に指を触れながらまた呪文を唱える。
剣に青い稲妻が走り始める。
バチバチいう音が派手に鳴り辺りに雷がまき散らされ始めその剣をセナは容赦なく俺に突き刺した。
氷で通電よくなった俺の全身に稲妻が流れる。
「がっ、がっ、がっ、ガガガガっ・・・・」
全身が痺れる。痛くはない。だが体は少し熱くはなった。いや、なんか・・・・違う・・・。
「ふぅ。これでも効かないっと。ほんとにすごいね」
剣を氷から引き抜いて刺さってないのを確認している。
「『完璧防御』名に恥じぬ防御力のようですね。関心しました」
シュレンが近づいてきて賞賛する。
「これはこれでちょっとヘコむけどね。自分の攻撃力に自信を無くすわ」
セナは少し残念そうな表情をしながら氷を蹴り割る。
いや、蹴りが氷だけでなく俺にもヒットしてるんですが・・・・。
俺はすでに言葉を発することすらできず転がっている。
ファイネンがどこから持ってきたのか毛布を投げかけてくれた。
「見苦しいので隠してくださいね」
・・・・気が付けば俺は全裸だった・・・・。
ひたすら主人公がボコボコにされる回。
たとえ強スキルがあってもこうあってほしいと思うのは自分だけではないはずw
ハーレム要員増強中
女の子にボコボコにされたい人は高評価、ブックマーク、どういう攻めがいいのかを感想で送ってください。