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出かける前は忙しなく

 妹たちの服装に文句をつけた私。

 なんとか着替えてもらえることになって、一安心だ。


 (こう)(あお)があんな服を着てくるなんて、12歳にあれは早すぎる。

 紅と碧が酷い目に合わないように私がこの体にいる間は、しっかり見ててあげないと!


 熱い使命感とともに腕を組み、しかめっ面で映画監督になったかのような態度でソファにドカッと座った。

 対して、(つむぎ)さんは普通にトスンと私の横に座った。


 紬さんを見て、朝ごはんのお礼を言ってなかったことにふと気付いた。

「そ、そういえば!」


 紬さんは微笑みながらこちらを見る。

「どうしたの?」


 私は視線をどこにやればいいか迷って結局俯きがちになりながら、お礼を口にした。

「その、ご飯、ごちそうさまでした!すっごくおいしかったし、カニさんのソーセージもかわいかったです!」


 顔を見なくても紬さんが微笑んでいるであろうことが想像できる。

「ほんと?よかったわ~!お皿、洗ってくれたのね?いい子いい子」

 そういいながら紬さんは私の頭をわしゃわしゃと撫でた。


 紬さんに撫でてもらうといつも幸せな気持ちになる。


 そんな風に話をしていると、ガチャリと音がしてまたしても同時に扉が開き、紅と碧が同じタイミングで部屋から出てきた。

 二人とも幾分か露出が少なくなっている。


 私は顔を綻ばせてスッとソファから立ち上がった。

「いいね!鎖骨が丸見え、脚が丸見えより断然こっちの方がいい!とっても健全!」

 親指を立ててグッドポーズをとった。


 紅は私の方には顔もむけずに腕を組んでそっぽを向いている。

 碧は少し気恥ずかしそうにしている。

 二人とも顔を赤くしている。


 場を仕切りなおすかのように紬さんがパンッと手をたたいた。

「さ、私はちょっと買い物などに行って~、紅と碧は、駅まで送ればいいんだよね?下に行って、待ってるからね~」


 紅と碧は二人同時にうなずいた。

「そう。夜ご飯の前には帰ってくるから。あたしは服が見たいな」

 紬さんに帰る時間を伝えてから碧の方を見て話しかける。

「わたしは本屋さんに行きたいかな?二手に分かれる?」

「いやぁ、う~ん。どうしようかな」


 二人の会話を聞きながらぼーっとしていると、紬さんが階段を下りながら私に話しかけてきた。

「二階でテレビを見てもいいし、私の部屋にいてもいいし、(ゆう)ちゃんはお家でゆっくりしていていいからね~?」

「は、はいっ!」

 急に話しかけられた私は背筋を伸ばして返事をした。


「そんなにびっくりしなくてもいいでしょ・・・・・・」

 あきれたような冷たい視線が紅から送られてくる。

 対照的に碧は私に優しく話しかけてくれる。


「今日はお姉ちゃんたち、帰ってくるの遅いと思うから。夕方?とかかな。夏期講習と・・・・・・」

「部活でしょ。悠姉、気を付けなよ?また、呼吸が変になったらあれだし」

 紅と碧は阿吽の呼吸みたいなのがあるように思う。

 扉を開けるのも、会話も息ぴったりで可愛い。


 碧はもともと優しいが、紅も言い方がちょっと、ううん、だいぶあれなだけで優しいのだ。

 そう、きっと。


 そんな優しい二人にニマニマとしていたら、紅に指摘された。


「悠姉、また顔きもいよ?」

「へぁ!?ひどい・・・・・・」


 前言撤回、紅は優しくない!


 紅は眉根にしわを寄らせて私の顔をじっくりと見ようと近づいてきた。

「あ、あの、それ以上は・・・・・・」

 私は手を前にして近づけないようにした。


 私が緊張しているのを察してか、眉根のしわはなくなり、私の手を前に紅は近づくのをやめた。

「ああ、ごめん。気を付ける。なんていうかさ、笑ってるの?何回か見て思ったけど、ひきつってるようにしか見えないし・・・・・・目もあんまり笑ってないよね?」

 私から顔を碧唯の方に向けて同意を求めるかのように尋ねた。

「え、う~ん。まあ、これからよくしていけばいいし・・・・・・」


 あ、碧ちゃん!?

 ちょっと何?その苦笑い!?

 否定しないということは私の顔は不細工ってこと!?

 いや、これは私の体ではないので、私がかわいくないわけではなくて、しかしながら今、この体は私のものでつまり・・・・・・。


 私が固まって考え込んでいると紅に頬をつままれた。


「ふぇ!ひょっと、なにふふんでふか!」

 紅は真剣な顔でもにもにと私の頬をつまみ、外に引っ張ったり、内側に寄せたりする。


「ぶふっ!ぶっさいくだなぁ!・・・・・・なんかパン屋さんになった気持ちする、かも?」

「あ~!紅ちゃんっ、ずるいよ!私もやりたい!」

 碧が近づいてきた。


 私はいったい何をされているの?

 碧ちゃん、私の頬をつまむのにずるいも何もないよ?


「はの、はそびにひかはふてひいんでふか?」

 すぐさま私の頬から手が離される。


「あ、お母さん待たせてたんだ!碧唯、行くよっ!」

「うん!忘れ物ない!?えっと、悠お姉ちゃん、帰ってきたらつまませてね!」

 紅は肩から下げるカバンを持って、碧は小さくておしゃれな白のリュックを背負って足早に行ってしまった。


 二人ともかわいいなぁ。

 ん?つまませてね?


 碧の言葉に疑問を覚えながらも次は何をしようかと思案をする。


「そうだ。私の部屋の掃除でもしよう」

 静まり返った二階のリビングに私の声が響いた。

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