お姉さんは許しませんよ!?
紬さんの朝ごはんを堪能し、碧のおいしいスープを飲み干して食事を終えた。
ちょっとご飯の量とか多かったかも。
あとで、紬さんに少なくしてもらえるか聞いてみよう。
そんなことを考えながら二階にあるリビングのキッチンでお皿を洗う。
いやいや、ご飯の量減らしてもらおうとかじゃなくて、もっと他のことを考えないと!
まず、私の体はどうなっているのか、あのアプリも見つけなきゃだし。
ここはどこにあるのか、そもそもここは地球?
あ~、もう!!なんでこんなことに・・・・・・。
一人悶々と考えていると、そこに一階から誰かが上がってくる足音が聞こえてきた。
「悠おね~ちゃん!あれっ?」
可愛い碧の声だ。
私は返事をした。
「こっちにいますっ!あ~、いる、よ?」
まだ、敬語が抜けきらず片言になる。
タッタッタッ、と碧は弾んだ足取りでキッチンまでやってきた。
「お皿洗ってくれてたんだ~!ありがとう!」
お皿洗いで褒められる経験なんてなかったので、嬉しくなってお皿を洗う手に力が入る。
「え、えへへ、あっ、スープすごくおいしかったです・・・・・・じゃなくて、おいしかったよ?」
敬語だとすらすら出るが、ため口を喋るのには結構、神経使うらしい。
「そっか!よかったぁ」
ラックから洗ったお皿を取って水気を拭き取り、順に重ねていき、最後のを拭き終えて碧に体を向けた。
「うぐっ!?」
碧が私に抱き着いてきた。
スキンシップに慣れていない私はドキドキしている。
「あ、碧?」
碧と私の身長はさほど変わらない。
「悠お姉ちゃん、わたしと紅はこれから外に遊びに行くんだ。お母さんも買い物とかちょっと出かけてくるって!悠お姉ちゃん、一人でも大丈夫?」
そうして碧は、少し離れて私の目を見る。
「はい。えと、大丈夫。楽しんでおいで」
そう返事をして碧を少しだけ抱きしめて頭をなでなでしてあげた。
碧は嬉しそうに目をつむっている。
碧は柴犬の赤ちゃんみたいですごくかわいいなぁ。
心なしかしっぽが見えてきた気がする。
「うん!じゃ、わたし着替えてくるね。あ、お皿はそこに置いてていいからね。」
撫でる手を止めると無邪気に走っていった。
碧は素直だし、かわいいし、気配りもできるし、なんていい子なんだろう。
そう思いながらニコニコしていたら、きつい言葉の持ち主がやってきた。
「うっわ、何その顔。不細工だからやめた方がいいよ」
「こ、紅・・・・・・。さっきはごm」
「まさか、謝るなんてことしないわよね?ぜ~ったいに許さない!」
「でもさっきのは私が・・・・・・」
「んあ~!もういいからっ!張り合いがないなぁ!不細工って言われたら、お前の顔の方が不細工だよって言い返すもんなの!!」
なぜか悪口に対する講座が始まった。
「でも・・・・・・紅は、かわいいよ?」
私の言った言葉に紅はもともとしかめっ面なのを、だんだんとより険しい顔にしていく。
「は?はぁああ!?ああっ!!もうほんと嫌だ!!あんたなんか知らないっ!」
そう言って紅は部屋に行ってしまった。
いったい私が何をしたというのだ。
あんた呼びに変わっちゃったし・・・・・・。
欲を言うなら紅には悠姉って呼んでほしい。
大人しく、フカフカのソファに座った。
しばらくして、碧と紅が扉を同時に開ける音が聞こえてきた。
身だしなみを整えた二人が出てきた。
「へぁ・・・・・・」
二人のあまりの可愛さに変な声が出た。
肩まで伸びる茶色の髪はそのままに、頭に白のキャップをかぶっている碧。
水色のワンピースの上に白のベストを着ている。
すらっと伸びた脚は何も身に着けていない。
碧唯さん、お姉さんは心配ですよ?
紅はウェーブのかかった茶色の髪をサイドにツインテールで結んでいる。
赤色のオフショルダーを着ている。
下は黒のスキニーパンツで脚の細さやラインがわかってしまう。
紅さん、お姉さんは心配ですよ?
「悠お姉ちゃん、どうかな?」
天使のほほえみだ。
「ゆ、悠姉。早くなんか、言えし」
ツンデレだ。
「む、・・・・・・」
「「む?」」
私の発した言葉を二人は繰り返した。
私は思わずゆらぁっと立ち上がった。
「むりムリ無理っ!!!可愛すぎるだろ!?自覚しろよ!?頼むから私以外に脚を見せるな!どこのどいつにその肩を見せに行くんだよ!ダブルデートなのか!?彼氏とデートなの!?もういるの!?ちなみに私は一回もお付き合いなんてしたことないよ!?今いくつだよ!?」
ゼエ、ゼエと私は肩で息をする。
そんな私に圧倒された二人は最後の質問にだけ答えた。
「「12歳・・・・・・」」
「じゅっ、じゅうにさいっ!?ダーメーです。着替えなさい。もっと他の可愛くないのにしてください。お姉さんは許しませんよ!?」
私は断固たる思いで二人に告げた。
そんな時後ろから笑い声が聞こえてきた。
「ぷっ、ふふふっ!あははは!!は~ぁ、面白いわぁ!」
紬さんが涙を浮かべながら笑いをこらえている。
「お、面白くなんかないですよっ!!この二人いっつもこんな格好なんですか!?紬さん!!注意した方がいいです!!こんな格好してたら、どうぞ襲ってくださいって言ってるようなもんですよ!いくら彼氏相手によく見られたいとはいえ・・・・・・」
私の言葉を遮るようにして二人から同時に大きな声が出された。
「悠姉!!「悠お姉ちゃん!!彼氏なんていないからっ!!!」」
紬さんからもフォローが入る。
「そうそう。そんな話聞いたこともないし、今日は二人でお友達と遊びに行くのよ~」
「で、でも。こ、これは・・・・・・。かわいすぎるし、露出が多いと思います・・・・・・」
幾分か落ち着いた私は、意地でも意見を変えない。
「そうねぇ、普段よりはちょっとおしゃれかも~?二人ともかわいいって言ってもらえて満足した?お姉ちゃんの言うことは聞いておいた方がいいわよぉ?」
そう紬さんに言われ、紅と碧は黙ったまま顔を赤らめて自室へ戻っていった。




