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静かな朝食

 一階に降りていくとご飯のいい匂いが漂ってきた。


 一階のリビングではみんなが揃って、テーブルに座っているところだった。

 テーブルの上にはご飯が並べられている。


「おはよう。(ゆう)ちゃん」

 優しく声をかけてくれたのは(つむぎ)さんだ。

 私の方を見て微笑んでいる。


「お、おはようございます・・・・・・」


 私はどうしたものかとオロオロしていると、楓夏(ふうか)さんが私を見て呼んだ。

「悠。そんなとこにいないで、早くこっち来いよ」

 楓夏さんのぶっきらぼうな呼びかけに応じて、私もテーブルに座る。


 依然として、ニコニコの笑顔のままでいる紬さんは手を合わせていただきますと言った。

 それから遅れてみんなもあいさつをする。


「「「いただきます」」」


 私も慌てて挨拶をした。

 今日の食卓は妙な雰囲気だ。

 みんなしてあまり何も話さない。


 私はちらりと楓夏さんと千冬(ちふゆ)さんに目をやった。

 二人ともすました顔をしている。


 二人ともきれいに食べるなぁ。

 モデルさんみたいな顔立ちだぁ。


 (あお)(こう)に目をやった。

 同じく黙ったままもくもくとご飯を食べている。


 碧と紅は誰が見てもかわいい女の子だ。


 最後に紬さんを見た。

 ご飯にはあまり手を付けずに、ニコニコとみんなが食べる様子を見ていた。


 紬さんはあまりごはんをたべないなぁ。


 そうしてぼーっとみんなの観察をしていたら、目の前に鮭が現れた。

「ぉわっ」


 楓夏さんがほぐした鮭を私の口元にずいっと寄せてきた。

 私は反射的に口を開けて食べた。


「悠。よそ見するな。ちゃんと食え。ブロッコリーとトマトもやるよ」

 そう言って、楓夏さんは私のお皿に入れようとする。

「えっ・・・・・・」


 私のお皿にもあるんだけど・・・・・・。


 それを止めに入ったのは紅だった。

「何言ってんのさ」

 紅は素早い動作で楓夏さんの箸を持つ手を左手で押さえつけた。


 その動作に楓夏さんはむっとした表情をして見せた。

「紅。行儀が悪いぞ」


 そんな言葉にひるむことなく紅は反論する。

「どの口が言うのよ。自分が苦手なものを押し付けるのも行儀がいいとは言えないのでは?」


「ぐっ・・・・・・。いい年して姉と一緒に寝るような奴には、私の行動は理解できないだろうな」

 紅からの反論に言い返すことができず、苦し紛れに楓夏さんは別の話題を上げた。


 それに対して紅は眉間にしわを寄せながら少し低い声を出す。

「それとこれは関係なくない?」


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 食卓に気まずい空気が流れる。

 それを破ったのは千冬さんだ。

「ぶふっ!ほんっと~に、楓夏は口喧嘩だめだめだよねぇ」


 楓夏さんは千冬さんの方を睨んだ後、むっとした表情のままで楓夏さんはブロッコリーを口の中に入れた。

 味わうかのように目を閉じて、咀嚼する。

 食べ終えて飲み込んでから、より険しい顔になり、それから喋りだした。

「悠は一人で寝るべきだろう。もう中2だろ?」

 私に同意を求めるかのように尋ねてくる。


「えっと、そうd「ダメだよっ!」


 私の返答にかぶせるように会話に入ってきたのは碧だった。

 碧はお構いなしに言葉を続ける。


「紅ちゃんは一緒に寝たけど、私は寝てない!」

 テーブルに身を乗り出す勢いで、主張する碧。


 ど、どうしちゃったの碧?


 対して、楓夏さんは 呆れた顔をして見せた。

「お前はいくつだよ?小6だろう?もう一人で寝れるだろう・・・・・・」


 そう言い放つ楓夏さんに千冬さんがサラッと言い放つ。

「じゃあ、楓夏だけは悠と一緒に寝なくていいね~」


「は?」

 楓夏さんから低い声が出た。


 千冬さんは目を細めながらまた意地の悪い笑みを口元に浮かべて言う。

「最初は母さん、昨日は紅ちゃん、今日が碧唯ちゃん。なら、次は私でしょ~。ねぇ?悠ちゃん?」

「え、えっと」

 私を置き去りにして、千冬さんは遠慮なく一緒に寝るための構想を練っていく。

「お気に入りのパジャマ来てぇ、好きなことかについて話してぇ、枕投げするの。女子トークしたいなぁ」


 そんな千冬さんに楓夏さんは若干、引いたような目線を送る。

「いや、お前、それはさすがにしないだろう」


「大丈夫、我が家ではするの。というか、私もあんな風に抱きしめられた~い」

 そういって私を見ながら、わざとらしく自分を自分で抱きしめる動作をした。


 私は呆気にとられながらも、段々と顔が赤くなるのを感じた。

 しかし、それは私だけではなかったようだ。


「楓夏姉っ!!さすがにキレるよ!!」

 大きな声で吠えるように紅は言い放った。


 照れているのかと思ったが、違った。

 私は照れていたが、紅は怒っているようだ。


 それを受けて、千冬さんはその動作をやめて、目を開いた。

 私はそっと、目線を外した。


「キレるってぇ?」

 少し声のトーンが変わったような気がする。


 ぴりついた空気になりそうになったが、千冬さんは声のトーンを戻して微笑んだ。

「仕方ないなぁ~。紅は本当に寂しがり屋なんだからぁ。悠とわたしの間に挟んであげる♪」


「べ、別に寂しくなんてないし・・・・・・」

 紅は少し大人しくなった。


 パンパンッ!!


 紬さんが両手を合わせて鳴らした。

「はぁ~い。おしゃべりもいいけど、ちゃんと食べること!」

 紬さんの優しい声が響く。


 その言葉を聞いて各自でまたもくもくと食べる作業に移った。


 私は楓夏さんと千冬さんに目をやった。

 楓夏さんはしかめっ面をしている。

 千冬さんは何を考えているのか読めない顔をしている。


 碧と紅に目をやった。

 碧は神妙な顔をしている。

 紅は楓夏さんと同じようにしかめっ面をしている。 


 紬さんは変わらずニコニコしていた。


 私は誰よりも食べるのが遅く、結局食べ終わったのは最後になってしまった。 

「ご、ごちそうさまでした」


「はーい」

 最後まで食べるのを紬さんに見られながら、何とか完食し、挨拶をした。

 私はお皿を持ってキッチンまで行く。

 今日は楓夏さんと碧がお皿を洗っている。


「悠お姉ちゃん!ちゃんと食べれたね!」

 碧の可愛らしい笑顔に癒される。


「もっと食わせたいけど・・・・・・」

 楓夏さんは私の方をちらりと見てぼそっと呟いた。


「あはは・・・・・・」

 私は苦笑するしかない。


 実は多かったなんて言えないなぁ。


「悠お姉ちゃんはゆっくりしていていいよ?」

 可愛らしく顔を傾げて、碧は皿を洗いながら声をかけてきた。


「で、でも」

 申し訳なく思い、戸惑っていると楓夏さんが声を出した。

「いいから、あっち行ってろ」


「じゃ、じゃぁ自分の部屋の整理でもしてきます・・・・・・」

 そうして、とぼとぼと私は自室に戻った。

次は明日投稿します。

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