76話 問題
私たちは島の中央に位置する高い塔付近にやって来た。『アウトキャスト島』は人工的で作られていて島のバランスをとるために『浮遊石』が使われているけど、他にも中央にある塔がバランスをとる役目をしている。いわゆる軸だね。
そんな塔の中へと入りエレベーターでかなり高い階まで登った。その階にある部屋でロザリントさんはノックと挨拶をして入った。
ロ「失礼しますロザリントです!熊木さん、お客様をいきなりですがお連れしました!」
中ではガタイのいい名前通りみたいな中年のおじさんが居た。そしてその人は人間だった。島を管轄下に置いているのは人間だからそれもそうか。あと本当にいきなりなのによく入れたね。
熊木「ちゃんと予定を決めてから来て欲しいと言っているのだが……」
ロ「すいません」
熊木「初めまして私このアウトキャスト島の管轄を任されております熊木大雅と申します。世界的に認められているこの島の頂点が日本人の私ですが、まあ何はともあれロザリントが連れて来たんだ。だいたいのことは聞いたかな?しかもわざわざアメリカ辺りからお越しに来たのだろう?」
う「あ、いえ、私生まれも育ちも日本ですが」
熊木「そうなのか?確かに日本語ペラペラだな。いやはや失礼。この島に居る獣人やエルフは少数だが世界から集まっているので英語を話す者もいるがだいたいは日本語が多いな」
『アウトキャスト島』は獣人やエルフが存在する現在に居場所を世界的に認められるために作った島。だから世界中の人外が集まる場所でもある。でも日本語話してる人が多かった気がする。
その後、全員軽く自己紹介を済ませ早速本題に入る。
熊木「近年アウトキャスト島は少々問題が多発していてな……」
そもそも『アウトキャスト島』が出来たのが約15年前と私が生まれて間もない頃だった。それより前は人外は普通に世界各国に居た。そして人間から差別、蔑まれたりしていたため守るために作られた。
「人間の策略だ」だの「まとめて殺す気だ」だの怪しむ人外も当然居た。肌が白か黒かで差別される世界だ。人種が違うと差別されてるのはもう仕方がないことだ。差別される側も差別している側を嫌うのも分かる。
だけど島が作られて以降、年々に人外の数は増えて行って信頼される、信頼出来る島へと変わっていった。そして近年……
熊木「まず力を持つ者と持たない者の出現と衝突だ」
獣人の場合はその型に合わせた力(例えば叶夏ちゃんならチーターの走る力や熊型の獣人の熊のようなパワーなど)、エルフは単純に魔力量、それらに格差が出て来てその差が開きすぎているということ。
そしてそれは自然界の摂理というか決まったようなもので力を持つ者同士、持たざる者同士が1ヶ所に集まって行き集落として出来ていくことになっている。本当によく出来た世界だよ自然とこうなっていくんだもん。
そしてそこでも差別が問題視されていく。持つ者が持たざる者を……言わなくてもわかるよね。
熊木「彼らの争いもそうだが、もうひとつは生活に関してだ」
年々増えてきているためその分の衣食住が必要になってくる。ここは人工の島なので土地を増やすのは難しい。増やすにしてもお金や大人の事情などあり困難。
そして食料、これは最近の技術を使えば人工的に作ったり出来るけどその人工的にの部分が不調というか上手くいっていないらしい。その理由は後で分かった。
後、生活に欠かせない必要なのは水。これも島の水道管がおかしいらしく水が出ないところがいくつかあり水の取り合いになっているらしい。その理由もまた後で分かった。
それらも加味して取り合いということは先ほどの持つ持たないのことの問題が出てくる。これも差別だ。
熊木「住民の不満も増える一方で当然ここにヘイトが集まってくる。反乱を企んでいるという噂も耳にした」
いわゆる絶体絶命の絶望的状況。しかも普通の反乱ではなく力を持つ者も居るということを忘れてはいけない。こんな塔なんぞ簡単にポキリといけるらしい。
熊木「丸投げするわけではないがせめて生活だけでもなんとかしてあげたいし、なんとかしてほしいのだ」
言い分は分かる。ヘイトが国を治める代表に集まり結局その代表は辞任したり昔だと暗殺されたりしていた。辞めたい任せたい気持ちも分かる。
か「そのぅ、水が出ないというのはなんでですかぁ?」
熊木「それについてだが近頃こそ泥が現れてな」
こそ泥?なんでそれと関係するの?水を奪ってるとか?
熊木「しかもそのこそ泥は犯行が多いものの捕まったりは未だしていないのだ」
なにその完璧な犯罪者は?某白い服を着た怪盗かな?まあそんな話は置いておいて……
熊木「水が流れなくなったのもこそ泥が現れた時期が合っていてな。だから奴の住みかが地下の水道管付近ではないかと推測している。そして奴が水道を止めているのではないかと考えている」
か「どうしてそう言いきれるのですかぁ?」
知りたいことを叶夏ちゃんがすぐに聞いてくれる。
熊木「考えられることはいくつかあるが、まずまだ捕まっていないし犯行を繰り返していること、さっき言った時期が合っていること。隠れる場所にもってこいの場所といえば、と考えると奴は水道管に居ると考えられやすいからだ」
悪魔なのかなぁ?でも自分を見えなくする魔法や瞬間的に移動する魔法とかはエルフにも出来るし、叶夏ちゃんみたいなチーター型の獣人なら速さで見つからないなどあり得るだろうし難しいね。でも島で隠れられるかつ生活に影響が出てくるとなるとそこになるのかなぁ?
あ「こそ泥ねぇ。うららちゃんはどう思う?」
う「あ、はい、確かに気配探知した時地下から気配はいくつか探知したんですけど、こそ泥だとは考えもしませんでしたね」
ロ「気配探知?いよいよもって分からなくなったわ。うららちゃんって何者なの?」
余計なことを言ってしまった。彩さんが振って来たとはいえ彩さんのせいにも出来ないし……
う「あ、えっと……」
あ「まあまあごめんなさい!で、結局のところ私たちは何をすればいいのかしら?」
彩さんもしまったと思ったのかとっさに話を変える。
熊木「そうだなぁ、急に来たから役割を決めてないから決め………」
ドオオオオオオオン!?!!
謎の爆音が突然響いた。
熊木「な?!何事だ?!」
熊木さんは電話を取り出し耳に当てた。ロザリントさんは部屋の窓から外を見て目が見開いていた。ここ高い塔の上だよ?こんなところから見えるの?
そんなことを思いながら私たちも続いて見ると、
う「な、なに……これ……」
島のあちこちの地面から水が噴水のように、しかもかなり高い位置まで噴き出しているのが見えた。
熊木「す、水道管が破裂だと?!だからあんなに……」
か「なんですか……これ……」
ロ「じゅ、住民たちは無事なのか?」
普通の水道管があんなに高く噴き出すものなのかは謎だけど皆慌てている。
う「っっ?!」
ついに感じ取った!獣人でもエルフでもない、この魔力は……
う「私先に下に行って近くで見てきます!」
あ「え、うららちゃん?!」
私はそんな適当な理由をつけて出ていく。彩さんはその魔力に気づいていないようだった。
ロ「そ、そうですよ!うららちゃんみたいに私たちが動かなくては!」
私に歓呼されロザリントさんは電話を取り出し指示を出し始めた。おそらく管理人補佐として他の管理人たちと話しているのだろう。
う『……………遅い』
エレベーターが他の階になっていて急いでいるこの状況では遅いと感じる。………やるしかないか?
私は窓を開ける。……高すぎない?……そう、飛び降りた方が早いのではないかと。………いや、行くしかない!
そして私はそこから飛び降りた。ただ普通に飛び降りたのではなく、ひなただと他から見えてしまう可能性が高いので日陰から飛び降りた。
突然のアクシデントはもう日常茶飯事だ。だからこんなアクシデントも乗り越えて行くしかない!始祖光として使命を果たすためにね。
島の問題を説明するだけで1話終わっちゃいました。でもまあ結構細かく説明したのでだいたいは想像できたのかなぁと思います。さて次回は悪魔の元に着き早速戦闘描写です。(@^^)/~~~では




