64話 道
一言で言うならパニックになった。頭が真っ白になりどうしたら良いのか全く分からなくなった。
わ「……か…………瑠花!……瑠花!」
る「………ハッ!」
わ「落ち着いて、今スタッフが探してくれているから。迷子になっただけかもしれないし」
る「……え、えぇ………本当に、お願いします……」
うららが迷子?それはない。あの子はしっかりしてるから迷うなんてそんな……
グループの1人「瑠花、そろそろ続き……」
る「分かってる……」
落ち着くのよ。大丈夫、大丈夫……
ドクンッドクンッドクンッ
グループの1人「瑠花……?………っっ?!瑠花!瑠花ぁ!」
係員「っっ?!大変だぁ!天野さんが!」
係員「なに!一応応急器具もだ!」
その場は騒然とする。倒れた私に人が集まる。
うらら………
◆◇◆◇◆◇
男1「S社やV社に先越される前に俺たちD社がこの天野瑠花を手に入れることが成功と言っても良いのでは?」
男2「あぁ、そのための契約の準備やらは既に完了済みだからな。それにこいつが何と言おうが大人には逆らえない」
私をお姉ちゃんと間違え誰も居ない地下駐車場のトラックの中、私の前で2人の男性が喋っている。どうやらお姉ちゃんは今いろんな会社や事務所からスカウトをかなり受けているらしい。既に入っているのに強引な……
男1「それにしてもライブ前だったのに簡素な衣装だな」
男2「………すぐにでも着替えられたからか?」
う「………」
私は静かにして様子を伺う。こういう時は冷静さが大事。嫌な話だけど前にさらわれてなかったらこんなに落ち着いていなかったと思う。だけど悟られてはいけないので少し怯える表情をする。
男2「………確認だ。お前は天野瑠花で間違いないんだな?はいかいいえで答えろ」
こっちの人は疑り深そうで聞いてくる。仕方がない、お姉ちゃんのフリをするとしよう。私は少しうなずく。
男2「年齢は19、身長は…………」
な、なんでそこまで?それともソレは事務所にとって必要なことなの?撮影とかの関係かな?そんな、細かく……
男1「胸小さくね?」
っっ?!……………………
そうですか………どうせ私はソンナモンですよ……えぇ…………
男1「なぁもういいか?俺もう我慢できないんだが」
男2「少し待て……」
男1「でもようぅ……」
この展開は………アレですね……なんかもうどうでもいいや………これでお姉ちゃんを守れるなら………………ごめんね……
◆◇◆◇◆◇
客「なぁ、休憩長くね?」
会場はざわつきだした。
係員「まずいです。お客さんが……」
グループの1人「瑠花ぁ!瑠花ぁぁぁ!」
どうやら私は過呼吸で倒れたらしくスタッフは必死な対応をしている。私の為に………だったら言いたい、それはうららを探すのに使ってくれと。
私はただ今日のライブを通じて最近元気の無かったうららを少しでも元気付けようとしただけでそんな不審者に巻き込まれるような…………不審者?………どうしてそれが出てきた?
確かに係員が何人か体勢で探していた。それがどうなったのかは分からない。もしうららがその不審者に誘拐されたとしたら……私は……私の、せい?………私のせいでうららが危険な目に合うことになったの?
わ「瑠花!瑠花!きっと大丈夫だからしっかりしなさい!あんたの妹なんでしょ!」
えぇそうよ!分かってる。泣き虫で私と違ってそれでも優しくて……
わ「私がどうこう言うつもりはないけどあの子だってもう1人でいけるような子なんでしょ?」
る「っっ?!」
……そうだ………うららは……もう昔とは違う………まだ泣き虫だし優しすぎるところもあるけど、もう心配いらないって言ってたじゃない!
そうよ……私がしっかりしないでどうするのよ!いつまでも憧れのお姉ちゃんでいないとまたうららは泣いちゃうからね……
る「……はぁぁぁぁ……………ふぅぅぅぅぅ………」
グループの1人「瑠花!」
係員「っっ?!」
る「………ご迷惑をお掛けしました。私はもう大丈夫です」
若井さん、ありがとう。うららは大丈夫、大丈夫なんだから!
係員「ば、場所が分かりました!!」
一同「っっ?!」
みつかった?!本当?
◆◇◆◇◆◇
男1「ブヘッッ??!!!」
男2「っっ?!」
私は男性の1人の顔を思い切り蹴った。
どうでも良い?……そんなわけないでしょ?何自分のステータスを蔑まれただけで落ち込んでいるのよ!バカじゃないの?私はまだまだ育ち盛りなんですぅ!
男2「お前、分かってるのか?これからのマネージャーたちだぞ」
う「……んーー…」
テープで口を塞がれてたから喋れないんだった……
もういい、私は暴れる、お姉ちゃんの為にね。お姉ちゃんを守る為に、未来を守る為に……
大人は汚い人間だと思っていた。だけど今ならその気持ちも分かる気がする。1人の為に誰にも知られなくても影で支えている人だって居るってことをね!
私はそんな1人で良い。私にとってお姉ちゃんは憧れだから、自慢のお姉ちゃんなんだから、私そんなお姉ちゃんを輝かせる為の『道』になる!
男1「こ、こいつ!!ブヘッ!!」
また私は蹴る。そしてもう1人に取り押さえられた。
男2「お前!分かってるのか?!そんなことして今後どうなるのかを………これがきっかけでお前自身が傷つくことになるぞ!それは誰にも言えない状況にもなるってことなんだぞ!」
私に喋らせるのかテープを剥がした。
う「……ぷはぁっっ………何がこれからよ!そんなの私は知らない!そもそもあなたたちが悪いのよ!」
男2「悪い?ハッ、売れる為ならなんでもするのが大人ってやつだ!」
う「そんな大人はすぐに救えなくなるわよ!」
男2「言わせておけば……このっ!!」
う「っっぁぁっ?!」バチンッ!
頬を叩かれる。でも、これくらい……
男2「っっ……しつこい………おい!足持て!」
男1「えぇ!足は嫌だ!」
男2「チッ、じゃあ手ぇ持て!」
う「っっくっ?!」
必死に抵抗するけど大人の男性の力にはさすがに勝てない。どうしよう………魔力を使おうか……?
男2「クソ!おとなしく………」
警察「そこまでだ」
男1、2「っっっ?!」
◆◆◆
る「っっ?!うらら!!」
う「っ?!お、お姉ちゃん?!ライブは……」
る「そんなのどうでもいいよ………それより本当に本当に良かった!私、私……」
警察が来てくれたおかげで魔力も使うことなく男2人は捕まった。お姉ちゃんはライブなのに抜け出してやって来た。
わ「うららさん!良かった……」
る「あ、ケガしてるじゃない!」
う「だ、大丈夫だよ……でもどうしてここが?」
わ「あのトラックになぜか探知機がついていて会場を出る車と言えばアレくらいしかなかったから分かったのよ」
探知機?どうしてそんなものが?考えるのは後にしよう。それより、
う「お姉ちゃん本当にライブいいの?」
る「また明日もあるから大丈夫よ。今は他のメンバーだけでやってるし説明もしてくれているからね。どうしてすぐに助けを呼ばなかったのよ?心配したんだからね」
呼ばなかったというか呼べなかったというか………まあいいや、私は言いたいことを言う。言おう。
う「心配かけてごめんなさい。でも何回も言うけど私は大丈夫だから。お姉ちゃんが無事なら私はケガしても良い。お姉ちゃんが輝けるなら私は汚くても良い。私はお姉ちゃんの為の『道』になるんだもん!」
そう、これが天使の役目だから。人間を導く天使の役目。そう言うとお姉ちゃんはより強く抱きしめて、
る「バカ!そんなの良いわけない!私の為とかそういうのはいいから!私が良くてうららがダメなら元も子もないじゃない!」泣
涙を流しながら言ってきた。それに私ももらい泣きした。
う「っっぅぅ……で、でも…………」泣
私はもう大丈夫なハズなのに、人間とはもう違うのに、私は、私は…………まだ人間らしく泣けたんだ……
れ「僕は知ってるよ。誰にも見られてないこともないよねうららちゃん♪」
なんだか手掛かりとは離れた話を続けてしまいました。裏の話も合わせて繋がるようにするために表現だとかがんばらないとなぁと思いました。(@^^)/~~~では




